ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

おしらせです(2013年9月30日)

2013年09月30日 16時42分08秒 | 本と雑誌

 管理人の権限を利用して、お知らせです。

 日本評論社から、新・判例解説編集委員会編『速報判例解説 Vol. 13 新・判例解説Watch[2013年10月](法学セミナー増刊)』が発売されました。この中の「租税法3 相続開始後に売買契約を解除した場合の相続税の課税財産が問われた事例」(179~182頁)を、私が担当しています。中身は広島地方裁判所平成23年9月28日判決の解説です。

 御一読をいただければ幸いです。

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戸籍法の記載

2013年09月27日 08時58分22秒 | 法律学

 今日の朝日新聞朝刊37面14版に「出生届『婚外子』記載規定 『合憲だが不可欠でない』 最高裁が初判断」という記事が掲載されています。昨日、最高裁判所第一小法廷が下した判決に関する記事です。

 まずは戸籍法第49条の全体を参照しておきましょう。

 第四十九条  出生の届出は、十四日以内(国外で出生があつたときは、三箇月以内)にこれをしなければならない。

 2  届書には、次の事項を記載しなければならない。

  一  子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別

  二  出生の年月日時分及び場所

  三  父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍

  四  その他法務省令で定める事項

  3  医師、助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には、医師、助産師、その他の者の順序に従つてそのうちの一人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによつて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。

 御覧いただければ明らかなように、問題となったのは戸籍法第49条第2項第1号です。戸籍謄本を見れば一目瞭然ですが、現在も「長男」「長女」などの記載があります。

 かつては住民票も同様でした。正確なことを覚えていませんが、1990年代に住民基本台帳法が改正されたため、住民票の続柄欄の記載については、子であれば嫡出・非嫡出に関係なく「子」に統一されています。「住民票の記載事項」という見出しが付けられた住民基本台帳法第7条を参照すると、「氏名」(第1号)、「出生の年月日」(第2号)、「男女の別」(第3号)、「世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄」(第4号)、「戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨」(第5号)、「住民となつた年月日」(第6号)などとなっており、「子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別」は示されていません。

 戸籍謄本よりもはるかに利用する頻度が高いと思われる住民票で、嫡出子・非嫡出子の区別がなされていないということは、これが実務上も重視されておらず、むしろ必要性の低いものと考えられていることを示しています(勿論、記載が社会問題となったことも覚えていますが)。法務省の幹部も、嫡出子・非嫡出子の別を記載すべき理由に乏しいと認めています(今日付の朝日新聞朝刊37面14版「戸籍法改正案を提出へ 法務省」)。それに、今月4日、最高裁判所大法廷の決定が民法第900条第4号について違憲判断を下しています。同省は、民法第900条第4号とともに戸籍法第49条も改正(より正確には削除)したいという意向を持っています。当然のことでしょう。

 最高裁判所第一小法廷は、戸籍法第49条第2項第1号についてどのように判断したのでしょうか。

 結論は「合憲」であり、原告による損害賠償請求も棄却しました。理由として、同号は「差別的扱いを定めたものではな」いということを述べています。これで一応の一致を見ているのですが、「記載の義務づけが、事務処理上不可欠とはいえない」とも指摘しています。また、桜井龍子裁判官が補足意見を出しており、その中で制度見直しの検討が要望されています。

 合憲とすべき積極的理由はなく、むしろ、記載の必要性が認められなかった訳です。損害賠償請求でしたので、原告の精神的苦痛と法律との因果関係が認められなかったということではありますが、損害賠償請求を認めるか否かを別として、規定を違憲と判断する(宣言する)ことは可能であったのではないでしょうか(実際にそのような例があります)。本当に「差別的扱いを定めたものではな」いと言えるかどうかも疑問です。

 もっとも、戸籍法第49条は、親子関係の扱いを定めていますので、例えば子の氏(名字)をどうするかという問題にもつながります。民法第4編・第5編の諸規定とも深い関わりを持っていますから、戸籍法の見直しと民法の見直しの双方を進めなければなりません。今月4日の決定が様々な方面に大きな影響を与えることは予測されていましたが、民法第4編・第5編、戸籍法など、関係する法律の諸規定の改正は避けられなくなりました。

 既に最高裁判所が一定の判断を示し、行政(法務省)も動いています。残る関門は立法、つまり国会です。先の最高裁判所大法廷決定に対しては反発の声も少なくないだけに、刑法第200条と同じく、適用はされないが規定としては長らく残るという事態も考えられるのです。

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世田谷線(5)

2013年09月24日 21時20分38秒 | 写真

 2012年2月27日3月15日、3月20日、そして4月23日の4回にわたって、東急世田谷線を走る300系を取り上げました。前回から1年5ヶ月も空いてしまいましたが、今回は5回目、ようやく、世田谷線を走る300系の303Fを撮影することができました。

 下高井戸側のデハ303-Aです。2013年9月24日の午前中に、三軒茶屋駅で撮影しました。クラシックブルーと言われる色で、青系で最も濃い色となっています。302Fは303Fより薄く、モーニングブルーと言われる色です。

最近ではLED式の行先表示が当たり前になりつつあります。300系の10編成もそうです。日本語表示、ローマ字(英語)表示が交互になされます。

ちなみに、デハ70形およびデハ80形では方向板、デハ150形では方向幕が使用されていました。

三軒茶屋側のデハ303-Bです。光の加減を上手く計算に入れられなかったので、御覧のような写真になってしまいました。なお、今回は全てiPhone5で撮影しています。

見るのも楽しく、乗るのも楽しい世田谷線です。ちょっとした旅、あるいは散歩をしてみたくなります。


YouTube: 東急300系303F

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リニア中央新幹線 本当に必要なのか? 無用の長物にならないか?

2013年09月20日 23時46分37秒 | 社会・経済

 リニアモーターカーによる新幹線計画。東京⇔大阪を最高時速500キロメートルで走る。

 こんな夢が、1970年代には語られていました。私の幼少時代、図鑑などに書かれていたのです。宮崎県に実験場ができたのもその頃であったはずです。1990年代には山梨県に実験場ができます。最高時速500キロメートル超も達成します(有人、無人の双方で)。しかし、科学技術の発展段階の問題であるとはいえ、また、財政の問題でもあるとはいえ、あまりに長すぎる実験ではないでしょうか。どちらにしても時間的なコストがかかりすぎています。

 もしも財政の問題があるというのであれば、「もうやめる」のが最も懸命な選択肢です。いわゆる未成線という先例を見てもわかります。鉄道敷設法で大風呂敷を広げて余計なことをやったことが原因の一つとなって、国鉄は莫大な赤字を抱えて解体したのです。日本の悪い癖として「割の合わない」ものにこだわり続ける、あるいは、他の国々では受け入れられることなく見捨てられているような技術などにこだわり続ける、というようなものがあります。いわゆるガラケーに執心し(ガラパゴス携帯とは言い得て妙です)、スマートフォンに乗り遅れたりしているのです。

 科学技術の問題であるならば、漸次的な解決で十分です。日本には、原子力発電所という貴重な教訓があります。見切り発車を行った結果、廃棄物の問題すら満足に解決できていないのです。世の原発再稼動論は、サイクルなどを理解した上で自分の論を述べているのでしょうか。

 ともあれ、リニアモーターカーによる超高速鉄道の夢が語られ始めてから半世紀ほどが経ち、ようやく、JR東海によってリニア中央新幹線が建設されようとしています。まずは東京の品川から名古屋まで、その後は新大阪までとなりますが、品川⇔名古屋の開業は今から14年後、新大阪までの開業は32年後になります。これはあくまでも計画の話ですから、実際にはもっと先の話になるでしょう。

 しかし、冷静に考えて、このリニア中央新幹線計画は、果たして必要なものでしょうか。

 むしろ、これは不要、それどころか有害な事業の最たるものではないでしょうか。高速道路か在来の国道を整備するほうがはるかに有益ではないでしょうか。今、行政関係で喧伝されている費用対効果など、どこかへ吹き飛んでしまうほどの勢いで推進されようとしていますが、これまでの公共事業などの例に漏れず、期待されるほどの経済効果が生まれるのかどうかも疑問です。ここで、報道なども参照しつつ、思いつくままに問題点を記していきましょう。

 (1)ルートと費用

 まずはルートと費用との関連が最大の問題でしょう。もとより、両者を切り離して考えることも可能ですが、あまり意味がありません。

 品川駅の地下深くに駅を設置し、川崎市を通過して(東海道新幹線と同じで「どうせ駅は作られない」、「通過するだけ」です。高津区も通過することになっています)相模原市の橋本辺りに駅を作り、その先は山梨県と長野県を通って名古屋に出るというルートで、9月19日付の朝日新聞朝刊1面14版に掲載されている「リニア、1万1500円想定 品川―名古屋 のぞみより700円高く」という記事にも(大まかな)ルートが記載されています。南アルプスを長大トンネルで抜けるという訳ですが、通過する地方自治体を考慮に入れても、それほど多くの利用客を見込めるのでしょうか。まして、既に日本は人口減少社会となっていますし、今後の経済、労働形態の変化によっては、移動の必要性が少なくなるでしょう。

 現在予定されているルートの距離は、品川から名古屋までで286キロメートルです。正確な割合はよくわかりませんが、そのうちの86%ほどが地下区間になりますし、場所によっては地上から40メートルを超すほどの深さにもなります。現在、地上から最も深い場所にホームがある都営大江戸線六本木駅のようなことになるのでしょうか。

 御承知の通り、地下トンネルを掘るには莫大な費用がかかります。地下鉄を考えていただければすぐにわかります。工法にもよりますが、1キロメートルあたりで何億円というところです。しかも、南アルプスを克服するためには25キロメートルという長さのトンネルを掘らなければなりません。9月19日付朝日新聞朝刊2面14版に掲載されている「リニア 険しき道」という記事によると、この辺りの地質は水が出やすい上に崩れやすい「メランジュ」というタイプですから、相当な難工事が予想されるでしょう。トンネルを掘ったら地下水脈に行き当たり、中断せざるをえなかったという事例として、長野県飯田市から岐阜県中津川市までの路線として予定されていた中津川線(この建設がきっかけとなって昼神温泉がオープンしたというのは有名な逸話です)、熊本県高森町から宮崎県高千穂町までとして予定されていた高千穂線の延長線(高森トンネル掘削中に地下水脈を掘り当ててしまい、一帯の地下水を涸らすほどの大事故になりました)があります。同じような話にならないのかという懸念もあるでしょう。25キロメートルほどのトンネルを南アルプスに作るとなると、(技術的に可能であるとして)一体、どれだけの費用がかかるのでしょうか。また、回収の見込みはあるのでしょうか。できるとして、一体何年かかることでしょう。

 現在のところ、費用は、品川から名古屋までおよそ5兆4千億円、品川から新大阪までならおよそ9兆円が見込まれています。今年度の国の予算に盛り込まれている公共事業費がおよそ5兆2千億円ですから、建設工事に何年かかるとしても、一企業の事業としては桁外れのものであることはおわかりでしょう。国の予算が投入されるのか、などということがよくわからないのですが、どのような形であれ、全く投入されないことは考えにくいので、それなりの額が何らかの方法で支出されるでしょう。歴史を振り返れば、鉄道であれ道路であれ、公共事業については予算が広くばらまかれます。当たり前の話ですが、広くまかれるということは、その分、個々の事業についての予算が薄くなるということです。選択と集中が叫ばれますが、これが政治の世界において通らないことは常識です。

 そればかりか、当初の見込み通りの費用で済まされないだろうということは、すぐに予想できます。今まで、鉄道や道路の建設費用が当初の見込額より大幅に膨らんだという事例は山ほどありますが、逆の結果となった話を寡聞にして知りません。

 (2)残土処理

 トンネルを掘れば残土が出ます。長く掘れば掘るほど、残土の量も多くなります。当たり前の話です。

 あくまでも予想の範囲のことらしいですが、南アルプスの25キロメートルトンネルだけでも950万立方メートルの残土が生じるといいます。これは長野オリンピックの工事で発生した量の4倍ほどであるそうです。地下区間は他にもありますから、どのくらい生じるのか、私には見当がつきません(素人なので当たり前ですが)。どこに捨てるか、あるいは埋め立てるか、ということでしょう。

 (3)消費電力

 リニアモーターカーと言ってもいくつかの方式があるようで、都営地下鉄大江戸線、大阪市営地下鉄長堀鶴見緑地線などもリニアモーターカーの一種です。鉄輪式リニアモーターカーと言います。車両を小型化できる、急勾配や急カーブに強い、などという利点もありますが、通常の鉄道よりエネルギーの損失が大きいという短所もあります。つまり、電力を余計に消費することになります。

 この消費電力の問題は、リニア中央新幹線で採用される磁気浮上式リニアモーターカーの場合、さらに深刻になります。前掲記事「リニア 険しい道」の中の「消費電力 新幹線の3倍」によると、あくまでも現段階の話であるとは言え、仮にリニアモーターカーを営業運転するとなれば、ピーク時の消費電力が1本あたりでおよそ35000キロワットになるとのことです。これは東海道新幹線のおよそ3.5倍にもなります(東海道新幹線はおよそ1万キロワット)。最高速度は1.7倍程度ですが、言うまでもなく、速度が速くなればなるほど空気抵抗が大きくなり、これを克服するためにはそれだけ大きなエネルギーを消費しなければなりません。これでは、JR東海の社長が原子力発電所の再稼働を求めたくもなるでしょうし、ウェッジ(Wedge)という雑誌が再稼働を求める趣旨を大きく中吊り広告の見出しに掲げていた理由もよくわかります(同誌はJR系の会社が発行しています)。省力化の努力はなされるでしょうが、それでも今後の日本社会が採るべき方向性とは逆なのです。

 運行速度が高くなると、車両の寿命という問題も生じてきます。これは朝日新聞などの記事には触れられていないのですが、高まる空気抵抗に耐えるだけの車両が必要です。だからといって頑丈に重く作る訳にもいかないでしょう。よく知られていることですが、在来線の車両に比べ、新幹線の車両は耐用年数が短くなっており、20年ほどで廃車となってしまいます(JRの在来線や大手私鉄なら30年や40年くらい動いている車両も多いのですが)。どう考えても、リニアモーターカーの車両が大量生産されるとは思えないので、1両あたりの単価は非常に高くなるでしょう。維持していけるのでしょうか。

 (4)電磁波

 磁気浮上式リニアモーターカーに付き物なのが、電磁波の問題です。かなり議論が分かれているようで、正直なところよくわかりませんが、人体への影響が懸念されるレベルであり、危険であるとも言われています。

 現在、磁気浮上式リニアモーターカーは、愛知県で既に営業運転を行っています。名古屋市営地下鉄東山線の終点である藤ヶ丘駅から、愛知循環鉄道との接続駅である八草駅までのリニモ(愛知高速交通東部丘陵線)です。しかし、このリニモが採用する方式はリニア中央新幹線と異なっていますので、電磁波の影響に関する議論の参考にはならないかもしれません。

 (5)騒音

 時速500キロメートルで走るのですから、騒音もかなりのレベルに達する可能性があります。現に、山梨県の実験場付近では大音量であるようです。技術によって低減させることはできますが、皆無とすることはできません。どこまで抑えこめるかが問題でしょう。

 (6)地権者の権利

 9月19日付の朝日新聞朝刊38面14版に掲載されている「リニアが街にやってくる」という記事に、地権者の件が記されています。東京は大田区の田園調布を通る可能性もあるようですが、地下40メートル超の深さ(大深度地下)であると、公共的な事業が推進されるならば地権者の権利も及びません。実は、これはかなり大変な問題でもあります。土地の所有者の知らないうちに……、ということもありえます。他に様々な問題がありえますが、ここでは記さないこととしておきます。

 実際のところ、JR東海が建設予定地付近の住民にどの程度の説明を行っているのか、よくわからないところがあります。いつであったか、高津区では説明会が行われたようですが、同日付朝日新聞朝刊29面14版(神奈川・川崎)に掲載されている「リニア 一気に現実味 相模原に駅と車両基地計画」という記事によると、相模原市緑区には車両基地が設けられる予定があるというにもかかわらず、多くの住民が知らなかったそうです。

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 神奈川新聞社のサイトを時々見ています。9月19日付で「リニア計画に異論『速さだけが夢なのか』/神奈川」という記事が掲載されており(http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1309190015/)、興味深い内容であったため、ここでも紹介しておきます。

 この記事は、千葉商科大学大学院客員教授の橋山禮治郎氏へのインタビューを内容とするものですが、橋山氏の「夢を見るのもいいが、覚めてしまえば夢は終わる」という言葉が印象的です。

 さらに、リニア中央新幹線の優位性は速度だけであり、「事業の失敗は目に見えている」と主張されています。

 とくに興味深かったのは、氏がコンコルドを引き合いに出された点です。超音速旅客機として脚光を浴びたのですが、とかく評判のよくない飛行機でした。燃費が悪い、騒音がひどい、料金が高い(同じ区間の他の便の4倍!)、というような悪いところ3拍子が揃ったのです。

 また、需要予測の甘さも指摘されています。東京湾アクアラインを初め、日本の公共事業に付き物ですが、リニア中央新幹線も御他聞に漏れなかった、という訳です。品川から名古屋までの開業は、現在の時点で14年後、大阪までの開業は32年後が予定されているのですが、橋山氏は、日本の人口減少、企業の海外進出を指摘して、需要はむしろ減ると言います。

 さらに、氏は、リニア中央新幹線と同じ方式の磁気浮上式リニアモーターカーについて「もうどの国も興味を持っていない」と主張します。この原理がアメリカの学会で発表されたのは1960年代のことだそうですが、関心を示したのは日本とドイツだけだったようです。ドイツでは、実際に1994年、ハンブルクからベルリンまでの建設が決定されたのですが、結局は中止されました。需要を過大に見積もったこととコストの高さが原因だったようです。

 橋山氏の見解については、賛否両論があるでしょう。しかし、夢は所詮夢なのですから、現実の冷めた目で見つめなおすことが必要でしょう。高度経済成長期に鉄建公団が設立され、多くのローカル線が建設されながら、結局は未完のままに消滅しました。開通しないままに廃止された路線がいくつもあります。開通したものの、莫大な赤字のために、短命に終わった路線も多いのです。リニア中央新幹線が、こうした未成線や赤字ローカル線の二の舞になるおそれが高いと思われるので、私は建設に反対せざるをえません。 

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近鉄内部線・八王子線は存続する

2013年09月19日 23時56分57秒 | 社会・経済

 本日(9月19日)の23時7分付で、朝日新聞社が「近鉄内部・八王子線、存続へ 公有民営方式導入で合意」として報じています(http://digital.asahi.com/articles/NGY201309190055.html)。

 記事によると、9月19日、近鉄社長と四日市市長が大阪市にある近鉄の本社で会談を行い、内部線と八王子線の存続で合意した、とのことです。

 その概要は次の通りです。

 (1)内部線・八王子線の車両と施設は、近鉄が四日市市に無償で譲渡する。

 (2)両線の土地は、近鉄が四日市市に無償で貸与する。

 (3)両線の運行は、近鉄の子会社が行う。

 (4)両線の赤字(年間で1億3000万円ほど)は、近鉄および四日市市の双方で負担する。但し、人件費、料金などの見直しを前提とする。

 大筋は以上の通りで、今後は細部の調整を行うということです。基本的に公設民営方式でまとまったということになります。

 もうじき日付が変わりますので、今回は以上の通りとさせていただきます。コメントなどをお寄せいただければ幸いです。 

 

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就職活動中の大学生 算数ができない……?

2013年09月17日 18時46分56秒 | 社会・経済

 今日から後期の講義期間が始まりました。そのような中で、たまたま、産経新聞社(SankeiBiz)の9月17日7時付のニュースを目にしました。「算数できない…就活生の学力低下 受験勉強フリー世代の恐るべき実態」です(http://www.sankeibiz.jp/econome/news/130917/ecd1309170601001-n1.htm)。

 読んだ瞬間、「本当かなあ?」という疑問が頭に浮かびました。しかし、今から10年程前だったか、『分数ができない大学生』という本が大きな話題を呼びましたし、同じ頃に発行された雑誌(誌名を忘れてしまいました)には、ここにタイトルを書きませんが、算数ができない、アルファベットを書けない大学生はたくさんいるという内容の記事が掲載されていました(私はコピーを取りました)。

 私が10代だった1980年代は、受験戦争だの何だのという言葉が飛び交っていましたが、それはもう遠い時代の記憶になっています。それにしても、上記記事から引用させていただくと「分数の通分ができなかったり、方程式の概念が分からなかったり」する学生が「それ程までに多くなっているのか?」という疑問が、再び浮かんできたのです。

 一次方程式は中学生レベルで、分数の通分は小学生レベルです。業種などにもよるでしょうが、実際に仕事で、さらには生活で、使わなければならないこともあるでしょう。法律の世界でも分数や小数の計算を行うことがありますので、理解ができなければお話にならないのです。電卓を使えばよいという問題ではありません。

 記事には理由の一端が他にも書かれていますが、ここでは紹介しません。ただ、受験勉強とは縁遠い人も少なくないのかもしれない、とは言えます。

 いずれにしても、算数で引っかかっているようでは、困ったことです。すぐに思い出せなくとも、公式か何かを見て理解できないと、面倒なことになります。私などは、青葉台のブックファーストで『語りかける中学数学』〔増補改訂版〕という本を見つけてすぐに購入し、時折読み返しているくらいです。最近では新書の類でも似たような本が出版されていますので、もう一度読み返して欲しいものです。

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Fox Capture Plan, Trinity

2013年09月15日 18時07分26秒 | 音楽

 先週、たまたま三軒茶屋のヴィレッジ・ヴァンガードで耳にして、なかなか良いCDだと思っていました。そして、別の日に二子玉川ライズのヴィレッジ・ヴァンガードで購入しました。

 Fox Capture Plan, Trinity(ディスクユニオン、PWT-004)

 日本のピアノトリオで、一応はジャズとすることもできますが、フォービートの伝統的なジャズではありません。シンセサイザーなども導入されており、ロックやドラムンベースなどの要素も入っています。世界的にはどうであれ、日本では新しい響きの音楽と言えるでしょう。所々で、本当に先進的でジャズの要素が強いフュージョン(たとえば、渡辺香津美さんの「モボ」)を思わせる曲も入っています。

 発売元がディスクユニオンというのも、納得がいきます。今の日本で、こういう音楽を手がける会社は他にほとんどないだろうと思えます。

 それにしても、ここ数年、関東地方にもヴィレッジ・ヴァンガードがあちらこちらにできています。田園都市線の沿線ですと、私が知っている限りで渋谷(センター街)、三軒茶屋、二子玉川、青葉台にあります。また、センター北駅の近くの都筑阪急にもあります。CDを買うなら三軒茶屋か青葉台が面白いかもしれません。

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JR東日本が改めて岩泉線の廃止を提案した

2013年09月10日 23時36分57秒 | 社会・経済

 気づいたのが先程のことなのですが、9月6日付で、朝日新聞社が「JR、『廃線』再提案 岩泉線復旧問題」(http://digital.asahi.com/area/iwate/articles/MTW1309060300002.html)として、読売新聞社が「岩泉線『廃線変わらず』 JR」(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/iwate/news/20130905-OYT8T01569.htm)として報じています。どちらも岩手版の記事です(記事としては読売のほうが詳しいので、御参照ください)。

 また、岩手新報社が今日付で「県が押角峠の改良検討 岩泉線と並行の国道340号」(http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130910_3)として報じています。

 このブログで岩泉線の話題を取り上げるのは二度めです。前回は2012年3月30日付で「やはり、岩泉線は廃止か」として掲載しました。そこでも述べたのですが、この路線は1980年代に第二次特定地方交通線に指定され、廃止されるはずでした。この時点でも輸送密度(1日1キロメートルあたりの平均通過量)が667人でしたが、年々悪化しており、2009年度の輸送密度は29人でした。また、上の朝日の記事によると、2009年度、1日に1キロあたりの平均乗客数―JRでは平均通過人員数と表現しています―は46人しかいなかったとのことです。これは前回にも記したように、JRの路線で最悪の数字です。JR東日本で2番目に低い只見線でも338人ですし、おそらくJRグループでは岩泉線の次に低いと思われる三江線でも83人となっています。

 このような岩泉線が残ってきたのは、途中にある押角峠のためです。この辺りに足を運んだことが一度もないのでよくわからないところもありますが、様々な文献などを読んでいると、同線とほぼ並行するような形で伸びる国道340号線に問題があるようです。押角峠付近では俗に言う酷道で、狭隘にして急カーブに急勾配が続きます。峠には雄鹿戸(おしかど)トンネルがあるものの、狭隘であることに変わりがないというのです。しかも冬には積雪があります。自動車、とくにバスを走らせるには悪条件ばかりが重なっているような道路であると言えるでしょう。

 このことは、鉄道路線にとっても厳しい地形であることを意味します。そのために、2010年7月末日に発生した土砂崩れのために不通となり、原因調査検討委員会により、岩盤崩落の危険箇所が23、落成崩壊の危険箇所が88と指摘されたのです。輸送密度、平均輸送人員を見ても、沿線の人口は少なく、過疎地であることが推測できます。

 もっとも、道路事情が悪いだけに、通学路線の需要としてはそれなりにあるものと考えられます。現在、代替バスが走っていますが、やはり、鉄道に比べて長い乗車時間を必要とするようで、通学のために利用する児童・生徒にとっては不便であるはずです。鉄道と同じであると思っていては学校の始業時刻に間に合わないということになりかねません。代替バスの多くが抱える問題が、岩泉線沿線にも生じた訳です。

 JR東日本は、5日、岩手県、宮古市、岩泉町に対し、改めて岩泉線を廃線にする旨を伝えています。宮古市と岩泉町は不快感を示したとのことですが、代替バスの内容などについての協議には応ずるとしています。実際問題として、鉄道の廃止とは関係なく、バスについては協議しなければならないでしょう。

 また、自治体が不快感をJR東日本に示すのは、気持ちとしては理解できるものの、いささか筋違いであるようにも思えます。詳しいことは別の機会に記しますが、JR東日本は赤字企業でないため、公費(とくに国費)による復旧を望めません(国も消極的です)。大船渡線および気仙沼線がBRTで仮の復旧となったのも、費用の問題があったからです。しかし、JR東日本が黒字であっても(その理由の如何はここで問いません)、個々の路線には赤字のものもある訳で、株式会社としては赤字にして年々乗客が減少する路線の復旧には慎重たらざるをえません。さもなければ、株主から責任を追及されかねません(他にJR各社に特有の事情もあることでしょう)。

 さて、読売の記事によれば、JR東日本は、昨年の時点で同社の責任で代替バスを運行するという提案を行っていたのですが、今回、さらに幾つかの方針が入れられました。記事の表現を借りるならば「鉄道施設・用地の両市町への無償譲渡」、「代替バスの運行区間は現行の茂市―岩泉駅間が基本」、「バス運行は地元バス事業者で行う」、などです。もっとも、施設や用地を無償で譲渡されたとしても、岩手県、宮古市、岩泉町が有効に活用できるのかどうか、疑問が湧きます。JR東日本も、実に111箇所で落石、崩落などの危険があると認めているのです。

 事実上、岩泉線は、鉄道路線としての復旧が極めて困難であり、また、費用対効果という観点だけからすれば無駄としか言えない状態です。道路事情が良好であれば、1980年代、あるいはそれより早い時点の「赤字83線」の一つとして、廃止されていた可能性が高いでしょう。押角峠が岩泉線の延命に貢献したとも言えそうです。これまで、国道340号線が改良されてこなかったのは、ひとえに財政事情でした。しかし、岩泉線の廃止が打ち出された以上は、道路を放置しておく訳にもいきません。そこで、岩手県は押角峠の道路改良を検討することとしました(岩手新報社の記事によります)。もっとも、県は道路の改良と岩泉線とは切り離して考える旨を表明しています。どの程度の費用がかかるのかはわかりませんが、岩手県は東日本大震災でも多大な被害を蒙っただけに、そう簡単に話が進むとも思えないのです。

 代替バスにしても、多数の課題が浮かび上がります。運行本数、運賃、運行区間、バス停の数や位置、運行経路、などです。とくに運賃が大きな問題でしょう。一概には言えませんが、鉄道路線の廃止に伴う代替バスには、鉄道時代以上に利用客を減らし、結局廃止される、という例が多いのです。下手をすると公共交通機関空白地帯が広がりかねません。それだけに、地域社会の課題として取り組まなければならなくなります。

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桂川駅と原田駅(2006年9月3日撮影)

2013年09月08日 16時20分27秒 | 写真

 日本国有鉄道の各路線を引き継いだJR各社には、「本線」という言葉が付く名称の路線がいくつもあります。枝線を度外視すれば、現在、最も長い「本線」は山陰本線(京都⇔幡生)です。逆に、最も短い「本線」が筑豊本線です。起点の若松から終点の原田(はるだ)まで66.1キロメートルしかありません。しかも、現在は実質的に3分割されており、筑豊本線として一体化して捉えられないような路線となってしまいました。

 JR各社は、どこを問わず、訳のわからない、と記すと問題がありますが、正式な名称を蔑ろにするような愛称を付けたがります。東北本線の一部分に宇都宮線(東武宇都宮線と勘違いしそうです)、東海道本線の一部に京都線(阪急京都線と間違えます)、東海道本線・山陽本線の一部に神戸線(阪急神戸線と間違えます)、福知山線の一部に宝塚線(これまた阪急宝塚線と間違えます)、筑豊本線と篠栗線に福北ゆたか線( 「このネーミングは何なんだ?」)としているのが代表的な例です。

 今回取り上げるのは、その福北ゆたか線という、本当に訳のわからない愛称を付けられた、筑豊本線と篠栗線との分岐駅、桂川です。漢字だけを見て「かつらがわ」と読む方がおられるかもしれませんが、この駅は「けいせん」と読みます。

 筑豊本線は炭鉱に深い関係のある路線です。そのためか、この桂川駅も構内は広かったようです。

 桂川駅の2番線で、筑豊本線の原田行きの列車を待っています。この駅で篠栗線が分岐しますが、現在、この桂川から博多(正式には吉塚)までの篠栗線のほうが幹線であり、利用客も多いのです。筑豊本線で原田に出るよりも、篠栗線で博多に出るほうが、乗客の需要が多いことはすぐにわかります。そのためもあり、 飯塚を発車して桂川を通る列車のほとんどは篠栗線を経由して博多に向かいます。また、筑豊本線の筑豊本線の折尾~桂川と篠栗線は2003年に電化しましたが、桂川~原田は単線で非電化のままであり、私が訪れた時点では1日に7往復しかなかったのでした。なお、現在は9往復です。

 この日は、天神から地下鉄に乗って貝塚に出て西鉄宮地岳線に乗り、終点の津屋崎に行きました(2007年春に部分廃止され、線名も変更されています)。それから小倉に出て、日田彦山線に乗り、田川後藤寺で後藤寺線に乗り換え、新飯塚で筑豊本線に乗り換えて飯塚で降り、駅周辺を歩きました。時刻を見計らい、再び筑豊本線の普通電車博多行に乗って桂川にやってきました。飯塚から桂川までは私しか乗っていなかったのですが、車掌は律儀にアナウンスをしていました。

桂川駅の改札口を出てみようかと思ったのですが、見たところ、めぼしいものがなく、時間をつぶせないような所です。そこで、仕方なく、駅の中にいました。今度の原田行は18時54分発です。

 何の変哲もないような風景にも思えます。日本全国の駅を周れば、上の写真と似たような景色を見ることができる駅はたくさんあるでしょう。炭鉱華やかりし時代にどようであったかは知りませんが、今は郊外の住宅地という感じがします。埼玉県あたりの、東京からかなり離れた駅にも似ているような気がします。

 このディーゼルカーに乗り、桂川から原田まで移動しました。大分に住んでいた時に豊肥本線や久大本線でよく乗ったキハ31です。私は、大分に住み始めるまでディーゼルカーに乗ったことがほとんどなく(八高線の1回と片町線の1回だけ)、大分市に住み始めて最初に乗ったのがこのキハ31でした。もっとも、製造番号までは覚えていません。このキハ31 1は熊本のほうを走っていたものではないかと思われます(熊本駅で見た記憶があるのです)。

 京浜地区で生まれ育った者にとって、整理券方式は無駄に思えてきますし、いつまで経っても慣れることができません。このキハ31には整理券発行機が付けられており、初めて乗った時には「田舎のバスか?」と驚きました。東京都23区地域、川崎市、そして横浜市の大部分では、鉄道は勿論、バスでも整理券は発行されません。

 10人ほどの乗客を乗せて桂川を出発し、鹿児島本線との乗換駅、原田に到着しました。このキハ31が桂川まで戻ります。

 かつて、筑豊本線にも寝台特急あかつき号などが走っていました。しかし、桂川から原田までは、かつて特急が走っていたということが信じられないほどに寂しい路線でした。途中の駅は全て無人駅で、列車交換もありません (列車交換設備がないためです)。しかも、並行する片側2車線の道路を走る車に次々と抜かされます。冷水峠を越えるような路線だけに勾配が多く、気動車では自家用車にかなうはずがありません。ただ、筑前山家駅の手前あたりの長いトンネルからは下り勾配が続くようでかなり速度が出ていて、この駅に到着する前のかなり長い時間、ブレーキが掛かりっ放しになります。

 九州では、鉄道の沿線よりも道路沿いのほうが夜でも明るいということが多いようです。筑前山家(ちくぜんやまえ)駅周辺はその典型で、駅そのものと周りは真っ暗ですが、道路沿いからは明るい光が見えてきます。

 筑前山家駅を過ぎますと、西鉄天神大牟田線を越えます。筑紫駅が見えますし、三国が丘の近くにある東急ストアも見えました。しばらくして原田に到着します。

 原田は乗換駅ですが、ここも駅の周りが暗く、乗換駅にしては賑やかさも感じられません。ここで夕食を取ろうと思ったのですが、鹿児島本線で博多に出たほうがよいと判断しました。しかし、実際には二日市で特急と快速に抜かされ、快速に乗り換えたら南福岡でまた特急に抜かされました。 博多駅に出るまで、かなり時間がかかったような気がします。これならば、二日市で降りて西鉄二日市まで行くか、南福岡駅で降りて西鉄雑餉隈駅まで歩き、天神大牟田線に乗って天神に出たほうがよかった、と後悔しました。

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山形県庁が「無償ソフト使用断念」、という話

2013年09月07日 13時50分12秒 | デジタル・インターネット

 スマートフォンやタブレット機の利用が増え、パソコンの売り上げが減少している昨今、Windows 8もそれほど大きな話題にならず、仮に導入してもWindows 7にダウングレード、つまり、古いものに戻すという例が多いとか多くないとかという話まで聞こえてきます。こんなことを記す私は、今回、MacBook Airを使っています。

 さて、今回は山形県の話です。朝日新聞のサイトに「山形県庁、MSオフィスに出戻り 無償ソフトの使用断念」という記事が掲載されています(http://digital.asahi.com/area/yamagata/articles/TKY201309060386.html)。今日付で、山形版の記事です。

 記事の内容は、見出しから大体わかるのですが、もう少し記していくことにしましょう。

 山形県庁では、業務用として「オープンオフィス」という無償ソフトを導入していました。どのようなソフトなのか知らないのですが、マイクロソフト社が2011年7月にWindows XP用「オフィス」のサポートを終了させたことがきっかけで、「オープンオフィス」の導入が進められたということのようです。山形県庁では「オープンオフィス」へ完全に移行することも目指していたのですが、多くの問題が生じました。

 その大きな原因と考えられるのは、山形県では「オープンオフィス」を利用していても、他の都道府県や市町村、そして民間ではマイクロソフト社のソフトが使用されることが多かった、ということです。庁内で文書作成などをするだけなら問題はないのかもしれませんが、外部との文書や図表のやりとりをしていると、問題が生じます。

 どのような問題が生じたのかを見てみると、文書の書式、レイアウトなどが崩れてしまう、文字化けが生じてしまう、ということです。文書を開くことができない、ということもあったのかもしれません。書式やレイアウトが崩れてしまうと、修正作業を行わなければなりません。文字化けは、メールなどでも時折起こりますが、全く解読不能の無意味な羅列に過ぎないので、使い物になりません。また、「オープンオフィス」の性能のためなのかどうかわかりませんが、動作も遅かったようです。

 周囲と合わせるようにしてソフトを選ばないと、大変なことになる、という事実の見本のような話です。山形県庁が「オープンオフィス」を導入した理由は、経費の削減とデータの継続管理で、おそらく前者に重きを置いていたのでしょうが、裏目に出てしまいました。言葉は悪いのですが、変なところでケチになると、後でかえって高くつく、ということです。

 今後も「オープンオフィス」の利用は続けるそうですが、県庁内の全てのパソコンにマイクロソフト社のオフィスを再び導入するとのことです。結局、「オープンソフト」を主力とすることはできなかったのでした。

 記事には書かれていないのですが、無償ソフトの場合、アップデートはどうなのでしょうか。マイクロソフト社のソフトの場合、定期的に、あるいは随時に、自動でアップレートが行われます(勿論、パソコンの設定にも左右されます)。放っておけば、そのうちにアップデートのデータだらけになってパソコンのハードディスクの容量がごく限られたものになるほどです。「オープンオフィス」ではアップデートが行われているのでしょうか。この辺りのことはわかりませんので、御教示いただける方がおられれば幸いです。

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