ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

東急9020系9022F(続)

2023年09月30日 19時00分00秒 | 写真

今回は、2023年9月29日19時15分付で投稿した「東急9020系9022F」の続きです。

 最近、少なくとも一部の鉄道ファンの間で話題になっている、東急9000系の西武鉄道への譲渡ですが、9020系はどうなるのかと思っていました。その答えが、2023年9月30日付で乗りものニュースに掲載された「西武の『サステナ車両』実は3車種!? 東急9000系そっくり元・田園都市線『9020系』のゆくえ」に書かれていました。9000系には9020系も含まれるとのことです。元々の2000系が3編成のみであったこともあり、9020系も3編成のみです。このうちの何編成が西武鉄道に譲渡されるのかはわかりませんが、早ければ2年後には西武多摩川線、多摩湖線、西武秩父線、狭山線のいずれかで運用されるのかも知れません。

 もう一つ、気になっているのは、西武鉄道に譲渡されてから何両編成になるのかということです。私の記憶に誤りがなければ、西武多摩川線、多摩湖線、西武秩父線および狭山線では5両編成ではなく、4両編成のはずです(小田急8000形が西武鉄道に譲渡されてから運用される予定の国分寺線では6両編成です)。現在の9000系および9020系の5両編成のままでは、西武多摩川線、多摩湖線、西武秩父線および狭山線の駅のホームの長さが足りないでしょう。どのような編成の組み方をするのかも合わせて、興味の出るところです。

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交通事業者の赤字は回復不可能か

2023年09月30日 00時00分00秒 | 社会・経済

 今日(2023年9月29日)の12時38分付で、朝日新聞社のサイトに「鉄道・バス事業者3割が『赤字の回復不可能』 今後2年が正念場」(https://digital.asahi.com/articles/ASR9Y3WB7R8FPPZB006.html)という記事が掲載されていました。

 岡山県に地域公共交通総合研究所という機関があります。両備グループの研究機関であるとのことです。

 その地域公共交通総合研究所が、今年の5月から6月にかけて調査を行いました。5回目であるそうで、鉄道事業者(機動事業者を含みます)、バス事業者および旅客船事業者の計504社を対象にアンケートを行い、111社から回答が得られたとのことです。

 回答率が低いことは、どこまで交通事業者の意見なり実態なりを反映しているのかという点において気になるのですが、とりあえず進めましょう。

 まず、輸送人員です。2019年度と2022年度とを比較すると、次の通りです。

 「10~30%減」:68%←2020年11月の初調査時には14%であったそうです。

 「30~50%減」:12%←初調査時には過半数を占めていたそうですが、何年度と何年度との比較であるのかはわかりません。

 次に、累積損失額です。2023年3月末時点での額です。

 「10億~50億円」:33%←初調査時は13%であったとのことです。

 具体的な数値は不明ですが、COVID-19によって痛めつけられた交通事業者の「赤字は回復不可能と見立てた事業者は30%に。特に鉄軌道事業者は40%以上と高めに推移していたが、今回は52%に上った」とのことです。やはり、大量輸送機関の鉄道事業者にとって大きな打撃であったことがうかがいしれます。内訳を知りたいところですが、中小私鉄や第三セクターの鉄道会社の中には非常に深刻な状況にあるところが多いものと推察されます。とくに、COVID-19とは関係なく、高松琴平電気鉄道、弘南鉄道の例をみればわかるように、中小私鉄の場合は施設の老朽化が激しく、根本的な打開策を採るか廃止するかの2つしか選択肢がないという状況に追い込まれています。

 地域公共交通総合研究所の調査に戻りましょう。続いてCOVID-19対策です。

 「国や自治体から支援金や給付金を受け取った」:94%

 「受給をやめたら(中略)経営が成り立たない」:68%

 「補助や支援がない場合の経営維持は『24カ月以内』」:62%←「今後2年が正念場という実情がみられた」という表現は妥当です。

 また、「持続可能な公共交通経営に向け、国や自治体の財源確保が「必要」としたのは96%。公設民営化や、自治体と協定を結び補助を受けて運行する「エリア一括協定運行」などの制度改革は76%が必要だとした」とのことです。

 以上の結果について、地域公共交通総合研究所は、8月10日に岡山市内において「全国の公共交通8事業者の代表による会議を岡山市内で開催」しており、「持続可能な地域公共交通のあり方について国への提言をまとめ、提出した」とのことです。その提言をまだ読んでいませんが、上記朝日新聞社記事によれば「提言は『2024年問題』を見据えた人手不足への対応や、公設民営といった制度改革など6項目。公共交通を地域のインフラ整備と位置づけ、まちづくりと一体で考えるべきだとしている」そうです。

 元々、地域公共交通は都市計画、地域づくりの一環として捉えられるべきものですが、これまで道路網(高速道路網を含めて)の整備にばかり目を配り、鉄道やバスなどの公共交通機関は置き去りにされてきた憾みがあります。正直なところ、地域公共交通活性化再生法が制定されたのも遅きに失したとしか思えませんし、むしろ、地域公共交通と引き換えに、自家用車の自動運転の開発を急ピッチで進めるべきなのかもしれません。ただ、高齢化が進むならば、たとえ自動運転のレヴェルが上がっても自家用車の運転を続けることのほうに問題があり(高齢者が運転するプリウスが引き起こす事故が多いことを考えてみてください)、公共交通機関をなくしてしまう訳にもいかないでしょう。難しく、厄介な問題です。

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東急9020系9022F

2023年09月29日 19時15分00秒 | 写真

 東急2000系がデビューしたのは1992年なので31年、大井町線用に5両編成化されて9020系に改められたのが2019年なので4年が経過しました。そろそろ新車への交替が見えつつある9020系の9022Fを、高津駅で撮影しました。大井町線B各停(青各停。田園都市線の二子新地駅および高津駅に停車する列車)として運用されているところです。

 9月26日、西武鉄道、東急電鉄および小田急電鉄が、東急9000系および小田急8000形が西武鉄道に譲渡される旨を発表しました。製造時期からすれば、また、基本設計からすれば、9020系が9000系に含まれていてもおかしくありませんが、どうなのでしょうか。

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働く女性の割合

2023年09月28日 00時00分00秒 | 社会・経済

 昨日(2023年9月27日)の7時30分付で、朝日新聞社のサイトに「働く女性の割合、福井トップ『世代を超えて働く風土』 最下位は奈良」という記事(https://www.asahi.com/articles/ASR9Q5VHLR9QULLI001.html)が掲載されていました。興味深い記事だったので、取り上げておきます。

 タイトルには「働く女性の割合」と書きましたが、これには条件があります。「配偶者がいる女性」ということです。以下、原則としてその意味で女性と記します。

 今年の7月21日に、総務省が「令和4年就業構造基本調査」の結果を公表しました。そのうち、女性の有業率が最も高いのは福井県、最も低いのは奈良県です。京都府を挟んでいる訳で、南北でこうも違うのは何故か、ということです。

 全国平均は56.3%でした。その上で、上位5県と下位5県を示しておきます。

 ①福井県:64.6%

 ②石川県:61.5%

 ③長野県:61.3%

 ④鳥取県:61.1%

 ⑤富山県:60.7%

 (6位から42位までは省略されています。)

 ㊸宮城県:53.5%

 ㊹和歌山県:53.4%

 ㊺兵庫県:52.5%

 ㊻北海道:51.4%

 ㊼奈良県:49.1%

 上位5県のうち4県が日本海側にあり、3県が北陸地方にあること、下位5県のうち3県は太平洋側にあり(兵庫県は太平洋側というより大阪湾側、瀬戸内海側ですが)、奈良県だけが50%を下回っている点が、非常に興味深い点です。

 福井県がトップであることについては、埼玉大学の金井郁教授による「福井は歴史的に製造業が多く、通勤しやすい近さに職場がたくさんある。祖父母が同居していたり近くに住んでいたりして子どもを預けやすく、世代を超えて女性は働くものという規範が強い風土だった」という解説が載せられています。福井県の場合、「全国の生産量の9割を占める眼鏡産業や繊維、機械といった製造業で働く割合は16.7%を占め、全国平均の10.8%を大きく上回る。正社員の割合も46.4%と、全国平均の41.9%よりかなり高い」とのことです。但し、福井県における女性の管理職の割合は13.8%で、全都道府県で34位でした。

 一方、奈良県が47位であることについては、東洋大学の鈴木孝弘名誉教授による「県内に事業所が少なく、大阪や京都などに働きに出る人が多い」という指摘が載せられています。これを読んで、少々古いデータですが、2012(平成24)年度決算額に基づく「人口一人当たりの税収額の指数」を思い出しました。地方法人二税〔法人道府県民税、法人市町村民税および法人事業税(地方法人特別譲与税を含まない)の合計額〕で指数が最も高いのは東京都で247.2であるのに対し、最も低いのは奈良県で43.5でした(ちなみに、福井県の指数は99.2です)。このことと無関係ではない話が上記朝日新聞社記事に書かれています。奈良県の「県外就業率は27.3%と全国3位(20年の国勢調査)で、平均通勤時間は全国7位の46分だった(21年の社会生活基本調査)」というのです(ただ、奈良県の地理を考えると、南部にはあてはまらないのではないでしょうか)。地方法人二税の指数との関連で記すならば、福井県、奈良県の事業所数をも示していただきたいものです。

 また、福井県と奈良県の違いは、年齢別の女性の有業率にも示されています。奈良県の場合は、25歳〜29歳の有業率が最も高く(それでも全国平均より低い)、30歳〜34歳の有業率が低下すると、50歳〜54歳のところまでほぼ横ばい、それより上の年齢層になると急激に落ち込みます(ちなみに、「奈良は『夫が働き、妻は家庭』という家庭像に肯定的な人の割合が、全国で最も高いという結果が、2015年に内閣府がまとめた男女共同参画白書で出ていた」とのことです)。これは全国平均にも見られる傾向ですが、福井県には全く異なると書いてもよい顕著な特徴があります。それは、女性の有業率が最も高いのは40歳〜44歳および45歳〜49歳であり、かつ、25歳〜29歳から55歳〜59歳まで、女性の有業率が80%超のままということです。福井県の事情をよく知る者ではないので、かなり気になる点です。

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衆議院解散制限法案

2023年09月27日 11時00分00秒 | 国際・政治

 今日(2023年9月27日)の朝日新聞朝刊4面13版Sに「首相の解散権制限法案 立憲提出へ 『大義』国会で質疑」という記事が掲載されていました。気になるところですので、目を通しておきましょう。

 ここで記しておくべきことがあります。内閣総理大臣が衆議院の解散の権限を有する、上記の記事の表現を借りるならば「首相の『宣言事項』」というのは、政治的な実態の話です。日本国憲法にはその趣旨の規定がありません。むしろ、衆議院の解散は、憲法第7条第3号によって天皇の国事行為とされています。但し、国事行為はあくまでも形式的なものであり、同第3条に「天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」と定められていることから、実質的な権限は内閣にあるということになります。従って、内閣総理大臣が衆議院の解散を心に決めたとしても、単独で解散権を行使することができず、閣議で決定すべきことということになります。この際、閣議は全会一致というのが慣習(法)であり、内閣総理大臣と異なる意向を持つ国務大臣が存在するならば、内閣総理大臣はその国務大臣を罷免することができ(同第68条第2項)、新たに国務大臣を任命して内閣の意思を統一することができます。おそらく、ここに「首相の『宣言事項』」の根拠があるのでしょう〔imidasに2014年12月5日付で掲載された、青井未帆教授の「『解散は首相の専権事項』って本当?」(https://imidas.jp/jijikaitai/c-40-093-14-12-g539)を参照してください〕。

 衆議院の解散については、長らく、第69条説と第7条説との対立が見られました。第69条説は、衆議院が内閣不信任案を可決した場合、または内閣信任案を否決した場合にのみ、衆議院の解散が許されるという見解です。或る意味で憲法の文言に忠実ですが、同条は「解散権を正面から規定したものではない」【芦部信喜(高橋和之補訂)『憲法』〔第8版〕(岩波書店、2023年)359頁〕】、つまり、解散権の実質的な所在を明示している訳ではありません。また、第69条説では「政党内閣制の下では多数党の支える内閣に対し不信任決議が成立する可能性は稀であるため、解散権を行使できる場合が著しく限定されてしまう、という問題がある」という指摘があります〔芦部(高橋補訂)・前掲書50頁〕。一方、第7条説は「解散権の所在を憲法上確実に根拠づけるためには、他の説よりも適切であると思われる(国会の召集権の場合も同様である)」〔芦部(高橋補訂)・前掲書50頁〕ということもあり、通説となっています。実務も第7条説を採っています。しかし、第7条説によると、衆議院の解散の理由は何でもよいこととなり、内閣による実質的な解散権の濫用を合憲(合法)としてしまい、違憲(違法)となる余地がないこととなります。

 〈芦部(高橋補訂)・前掲書50頁では制度説も紹介されています。〉

 さて、立憲民主党が提出しようとする解散権制限法案に話を進めましょう。同党は9月26日に解散権制限法案の要綱をまとめました。その上で、臨時国会に提出する方針を固めたとのことです。衆議院のサイトには臨時国会について何も書かれていないので、今秋に召集されるのかどうかわかりません。例年、何月何日からであったかはともあれ、秋に臨時国会が召集されてきたので、今年も開かれるということでしょう。

 おそらく、立憲民主党が法律案の提出を決めたことの直接のきっかけは、6月の「解散風」でしょう。第211回国会(以下、通常国会)の終盤のことでした。同党は、通常国会の閉会直後からワーキングチームで検討を重ねました。その結果、衆議院の「解散の手続きを定めた『手続き法案』と、選挙準備を円滑に進めるための『公職選挙法改正案』の二つの要綱を了承した」とのことです。ここに示した2つの法案が解散権制限法案です。

 立憲民主党のサイトには「手続き法案」および「公職選挙法改正案」のいずれについても記事などがないので(今後掲載されるかもしれませんが)、上記朝日新聞社記事によることとしましょう。

 まず、「手続き法案」は「内閣が7条解散に踏み切る場合、解散の予定日と理由を10日以上前に衆院に通知することを義務づけ、本会議や議院運営委員会での質疑も行うと定める。これにより、解散権行使の『大義』の是非を国会で問うことができるようになる」というものです。

 次に、「公職選挙法改正案」は「解散から投開票日までの期間が短いと自治体の準備が整わないおそれがあることから、各都道府県の選挙管理委員会などから意見を聞いたうえで選挙日程を決めることも義務づける」というものです。

 具体的な内容がわかりませんので何とも言えないところがありますが、臨時国会(今秋に召集されるならば第212回国会ということになります)に提出されたとしても、内閣提出法律案でなく、衆議院議員提出法律案または参議院提出法律案ということになりますから、可決、そればかりか衆議院または参議院で審査・審議される可能性は非常に低いでしょう。閉会中審査、未了による廃案のいずれかとなるのではないでしょうか。

 上記朝日新聞社記事では「法案作成に関わった立憲議員」のコメントとして「憲法改正はハードルが高く現実的ではない。法案提出なら他党も乗ってくる可能性が高まる」と書かれています。正直なところ、与党はもとより、野党も「乗ってくる」かどうか、疑問が残ります。憲法を改正することによって衆議院の解散事由を制限するべきであるという意見も根強いようですが、現実的ではないため、法案の作成・提出は或る意味で一歩前進とも言えます。内閣が有する、衆議院の解散の実質的な権限を法律で制約することは、憲法の趣旨に適合しない、という見解もありうるのですが、第69条が解散事由の例を示すものと理解すれば、憲法違反にはあたらないでしょう。

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あまり類例のない譲渡 大手私鉄から大手私鉄へ

2023年09月26日 16時30分00秒 | 社会・経済

 今日(2023年9月26日)付で、西武鉄道、東急電鉄および小田急電鉄が共同で「西武鉄道と東急電鉄・小田急電鉄 『サステナ車両(※)』を授受 各社連携して、SDGsへの貢献を加速してまいります」という文書(https://www.seiburailway.jp/file.jsp?newsroom/news/file/20230926_sasutenatrain.pdf)を公表しました。

 何時であったか、噂を小耳に挟んだことはありましたが、実際に行われるとは驚きました。大手私鉄から中小私鉄に車両が譲渡される例はたくさんありますが、大手私鉄から別の大手私鉄に営業用車両が譲渡される例はあまり、というよりほとんどないからです。私が知っているのは、名古屋鉄道が東京急行電鉄から3000系(初代)を通勤輸送用として大量に購入したことくらいです(リースというのであれば、京浜急行電鉄1000形(初代)が京成電鉄にリースされたという事実があります)。西武鉄道は、自社の工場で車両を作っていたくらいで(2000系、101系など)、他の大手私鉄から車両を購入するということは考えられなかったのです。

 ここで「サステナ車両」とは、西武鉄道が独自に定義したものであり、「他社から譲受したVVVFインバータ制御車両」を意味します。

 西武鉄道が東急電鉄から譲り受けるのは9000系、小田急電鉄から譲り受けるのは8000形です。東急9000系は、VVVFインバータ制御車両としては初期のもので、1986年から1991年まで製造されたものです。一方、小田急8000形は1983年から1987年までに製造されたもので、最初からVVVF制御車として登場したものでなく、界磁チョッパ制御車として製造されたものの、21世紀に入ってから一部が改造されたのでした。

 譲受の理由は、次のように書かれています。「西武鉄道では、本線系(池袋線・新宿線など)への新造車両の導入に加え、『サステナ車両』を支線系(国分寺線や西武秩父線など)に導入することにより省エネルギー化を加速し、2030年度までに車両のVVVF化100%達成を目指します」。

 まず、小田急8000形が2024年度から西武国分寺線に導入されることとなっています。次に、東急9000系が2025年度から西武多摩川線、多摩湖線、西武秩父線および狭山線に導入されることとなっています。いずれも2029年度までの予定で、小田急8000形および東急9000系の両系列を合わせて100両が西武鉄道に譲渡されることとなっています。

 西武秩父線はかなり勾配区間が多いはずですので、東急9000系で大丈夫なのかとも疑いたくなりますが、大丈夫なのでしょう。あるいは改造も行われるかも知れません。

 「サステナ車両」の導入効果は、次のように説明されています。

 「VVVF化100%による使用電力量削減に伴うCO2排出の削減(2030年度時点での想定)

 サステナ車両100両導入→年間約5,700t(約2,000世帯の年間排出量)のCO2削減

 ※旧型車両(直流モーター車)に比べ、使用電力量は約50%削減」

 「車両のリユースによるCO2削減

 ・新車製造時に排出するCO2の削減 約9,400t(1両あたり約94t・100両合計)

 ・車両廃棄時に排出するCO2の削減 約70t(1両あたり約0.7t・100両合計)」

 現段階ではあくまでも以上のように予定されているということですが、実現するとなれば、これはかなり大きな出来事です。また、大手私鉄であっても支線とされる線区の中には赤字を計上しているところも少なくないでしょう。車両の更新の在り方として、今後、他の大手私鉄に普及するか否かが注目されるところです。

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候補は芸備線と筑肥線か

2023年09月26日 01時11分30秒 | 社会・経済

 時事通信社のサイトに、気になる記事が掲載されていました。昨日(2023年9月25日)の20時30分付、「芸備、筑肥線で協議要請見込み ローカル線再編へ鉄道会社―交通再生法施行で都道府県調査・時事通信」です。

 今年の通常国会(第211回国会)において「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の改正法律が成立し、10月1日に完全施行されます。その目玉商品とも言えるのが再構築協議会です。以前から、その第1号が芸備線になるのではないかという噂が流れていましたが、やはりそのようになるかもしれません。しかも、筑肥線の山本駅から伊万里駅までの区間(上記時事通信社記事では唐津駅から伊万里駅までの区間と書かれていますが、正確には、唐津駅から山本駅までの区間は唐津線です)も候補になるようです。

 時事通信社は、8月の下旬から9月の中旬にかけて、各都道府県を対象としたアンケート調査を行いました。その設問の中に再構築協議会の設置に関するものがあったようで、候補が芸備線の備中神代駅から備後庄原駅までの区間、筑肥線の山本駅から伊万里駅までの区間ということです。どちらも、同一路線でありながら線区によって平均通過人員の格差が激しい点が共通しています。芸備線の終点(広島駅)側のほうは、やはり政令指定都市の広島市を通る鉄道路線らしい平均通過人員の数値で、幹線にしてもよいくらいです。筑肥線に至っては全体として幹線に位置づけられていますし、姪浜駅から唐津駅までの区間では福岡市営地下鉄空港線との相互直通運転が行われています(但し、福岡市交通局の車両は、通常、筑前前原駅までしか乗り入れません)。芸備線を利用したことがないので同線については何とも言えませんが、筑肥線を利用したことはありまして、電化されている姪浜駅から唐津駅までの区間と、非電化のままで本数も非常に少ない山本駅から伊万里駅までの区間との格差(落差?)が激しい点には驚かされたのでした。昔はともあれ、現在は分断されていますし、同一路線としておくほうが不自然であると感じられます。

 芸備線については、既にJR西日本が再構築協議会の設置を要請する旨の意向を示しています。路線バス路線であったとしても低すぎる平均通過人員からして、当然のことでしょう。これに対し、筑肥線の山本駅から伊万里駅までの区間については、現在のところJR九州は何の意向も示していないようですが、佐賀県はかなり気にかけているようです。

 上記時事通信社の記事では「アンケートで、自治体側から協議会設置を求める予定があるか聞いたところ、いずれも『ない』と答えた」とのことです。記事の原文でも構造が見えにくい文章となっていますが、全都道府県(沖縄県を除く。後述)がどの鉄道路線についても自ら「協議会設置を求める予定」はないということのようです。また、事業者が設置を要請した場合の対応については、埼玉県、神奈川県、愛知県、山口県および香川県が応ずる旨の回答をしました。これに対し、秋田県および長野県は応じない旨の回答をしています(理由はよくわかりませんが、第三セクターの鉄道事業者との関係でしょうか)。その他の都道府県(沖縄県を除く)は「廃線を前提としない条件付きで応じる」などの回答をしたようです。

 今回のアンケートの全質問に回答をしなかったのが沖縄県です。その理由は、同県に鉄道事業者が存在しないということでした。「いや、沖縄都市モノレールがあるだろう?」とお思いの方も多いことでしょう。たしかに、沖縄都市モノレールは第三セクターの軌道事業者です。しかし、東京モノレール羽田線のように旧地方鉄道法に基づいて鉄道路線となっているモノレールもありますし、こんなところで鉄道と軌道とを厳密に分ける必要もないと思うのです。おそらく、沖縄都市モノレールの場合は再構築協議会の設置を必要とするだけの前提がないということなので、沖縄県は回答をしなかったのでしょう。

 各都道府県にはそれなりの交通事情があります。どのような選択をするのかは、各都道府県、各地域の自由です。ただ、国が全く関わらないというのは、話が違うでしょう。

 最後に少し、違う筋の話を記しておきます。地域公共交通を重視する立場の人たちから「交通税」の導入が叫ばれます。しかし、少し考えてみれば、日本では道路特定財源が存在したのであり、その硬直性が問題となったのでした。私自身、今から20年以上前に、日本税務研究センター刊行の日税研論集46号に掲載された「地方目的税の法的課題」において道路特定財源とされた地方税のいくつかについて論じており、目的税や道路特定財源の問題点について述べたことがあります(これが碓井光明先生の「要説地方税のしくみと法」で論評されており、私としても非常に光栄に思っております)。目的税や道路特定財源は、導入当初はよいものであるとしても、長く続けば悪い意味における既得権のようなものとなり、財政、さらには政治を硬直化させます。一応は租税法学や財政法学に取り組む者の立場からすれば、「交通税」を目的税や道路特定財源のようなものとして構築することに対して批判的な立場を採らざるをえません。ただ、道路特定財源が一般財源化される前に、公共交通、例えば鉄道に向けての財源に転換されることがあったならば、現在のような公共交通機関の惨状は多少なりとも防ぐことができたかもしれません。

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やはり、この形には慣れない

2023年09月25日 00時00分00秒 | 写真

 都営三田線用の東京都交通局6500形です。

 やはり、何度見てもこの形には見慣れません。どこかの家電量販店で売られているオーブントースターか何かかと思えるようなデザインです。6300形のスタイルが、東京都交通局の地下鉄用車両としては秀逸であっただけに、残念です。しかも、内装も6500形より6300形のほうがよいように思えるのです。少なくとも、椅子の座り心地は6300形のほうがよかったのではないでしょうか。

 

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東京メトロ18000系18107F

2023年09月24日 00時00分00秒 | 写真

溝の口駅(DT10、OM16)1番線に、準急中央林間行きとして東京メトロ18000系18107Fが到着するところを撮影しました。

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Apple Watchの不便な点

2023年09月23日 00時00分00秒 | デジタル・インターネット

 昨年からApple Watch 7を使っています。

 自宅での仕事ではMacBook Pro、大学での講義その他の場面ではMacBookやiPadを使っており、スマートフォンはiPhone12というのが、私が使っている機器です。そこにApple Watch 7が加わる訳ですが、正直なところ、Apple Watch 7には不満があります。

 最初は、とにかくベルトが使いにくかったのです。私は腕時計を何本か持っており、はめやすさであればメタルベルト、腕にしっくりとくるというのであれば革のベルト(ツェッペリンの腕時計のベルトが特に心地よいために2本も買いました)というのが、長らく使い続けてきた上での結論です。それらと比べると、Apple Watch 7のベルトは非常にはめにくく、慣れるのに数週刊もかかりました。

 そして、9月19日にiOSおよびwatchOSを更新した際に、改めてApple Watch 7に不満を覚えました。「改めて」と記したのは、これまで何度も不満に思ってきた、ということです。

 iPhoneやiPadの場合は、MacBook (Pro)に接続して同期させることによってiOSを更新することができます。つまり、Wi-fiに接続する必要がないということです。しかも、Wi-fi接続よりも速く済ませることができます。

 これに対し、watchOSの場合は、有線LAN接続のMacBook (Pro)に接続して同期させることができません。つまり、Wi-fiに接続する必要があるのです。また、非常に時間がかかります。MacOSのアップデートと比較しても長すぎると感じますし、何度も失敗します。MacBook (Pro)とはUSB接続が可能であり、充電できるので、MacBook (Pro)と同期させた上でアップデートができるようにしてほしいと思っています。

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