ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

東急大井町線途中下車(14) 大井町駅 その3

2015年09月18日 03時05分40秒 | まち歩き

大井町線の起点、大井町駅の周辺を歩いています。今回は、都道420号を東へ進んでみました。

 駅からそれほど離れていない脇道で、すずらん通りと名付けられた商店街です。ありふれた名前で、私などは神田神保町一丁目をすぐに思い出しますが、グーグルで検索をかけると、三軒茶屋、溝口、経堂、金沢文庫、荻窪などの街が出てきます。

 この道幅ですし、裏通りとも言える場所ですが、昼食時のためか、人通りはそれなりに多いようです。典型的な飲み屋街と考えてよいでしょう。

 左側に見える看板はマクドナルド大井町東口店のものですが、8月31日の19時をもって閉店しました。営業期間は4年間と短いものでした(撮影日に見た貼り紙にも書かれていました)。日本マクドナルドの苦境が伝えられて久しいのですが、それとこの店の閉店がどの程度まで関係があるのかは不明です。

 ちなみに、私自身のことを記すならば、マクドナルドなどのハンバーガー屋とラーメン屋を利用することはほとんどありません(1年に1回を下回る割合です)。街で食事をとる際に、この両方は私の選択肢から外れています。まして、夜の9時過ぎに、飲んだ後での「締め」としてラーメン屋に入るというのが、私には全く理解できません(10代から、その時刻を過ぎたら食事をしないと決めているからで、よほどのことがなければ守ります)。受験生に、たった一つだけ、自信を持ってアドバイスできることは「夜食をとるな」です。

 この商店街の東端までは歩いていませんが、この道を真っ直ぐ進むと仙台坂で、池上通り(都道421号線)と交差し、さらに進めば南品川三丁目で国道15号線と交差します。京浜急行の青物横丁駅に向かうには、仙台坂から池上通りを進み、坂を下って国道15号に向かうことになります。方角で言えば北東ということです。

 換気口などが見当たらなかったのでわかりにくいのですが、この道路の下をりんかい線が通っています。大井町の次は品川シーサイドで、かつて楽天の本社があった所です(2015年6月から二子玉川、つまり世田谷区玉川に移転中です)。

 大井町駅の東側はJR線よりも小高い場所となっており、海側に向かっていくつかの坂が伸びています。その中でもこのゼームス坂は有名でしょう。片側一車線の道路が分岐し、国道15号線の南品川四丁目交差点(京浜急行の新馬場駅の南側)まで行くことができます。東急バスの渋41系統がこの通りを走ります。但し、大井町駅から渋谷駅(西口)へ走るバスだけです。渋谷駅からの大井町駅行きは、青物横丁と仙台坂を経由します。

 それにしても、ゼームスとは誰でしょうか。現在ならジェイムズあるいはジェームスと書く所でしょうか。品川区による案内標識ではZemusuzakaとなっており、単にローマ字に再変換しただけです。イギリス、アメリカで、このような綴りの人物は存在するのでしょうか。あれこれと考えてしまいます。

 品川区のサイトによると、このゼームス坂は、元の名を浅間坂といい、現在(最大で3.5%、つまり35‰)よりもはるかに勾配が急であったそうです。時は19世紀、江戸幕府も終焉を迎えようとする頃、(同区による表記に従えば)J. M. ゼームスというイギリス人が日本にやってきました。その時はジャーデン・マディソン商会の長崎支社の社員としてでしたが、1872年、彼は日本の海軍省に入り、日本の軍人に測量調査や航海術を指導したとのことです。もうその頃には東京に住んでいたのかもしれません。詳しいことは記されていなかったのですが、どうやらゼームス氏は浅間坂の下の方に住んでいたようです。そして、急な坂であったことに何かを思ったのか、私財を投じてこの坂の勾配を緩やかにしました。いつしか、浅間坂がゼームス坂と言われるようになったのです。

 当時の英国人にしては珍しいと思われますが、ゼームス氏は仏教に帰依していたそうで、身延の久遠寺に墓所があるとのことです。

 東京は坂の多い所です。渋谷であれば道玄坂、宮益坂、金王坂、目黒であれば権之助坂、六本木であれば芋洗坂、鳥居坂、など。その名前の由来を探るのは面白いのですが、外国人の名前が由来となっている坂は他にあるのでしょうか(町であれば、中央区の八重洲が有名です)。

 「東急大井町線途中下車」としていながら、駅の構造を紹介していなかったので、写真を載せておきます。こちらは大井町線の駅と同じ建物にある、JRの改札口です。改札機の手前にある案内板は東急の仕様になっています。かつてはここに連絡改札口がありました。りんかい線の改札口へ向かうには、上の写真で言えば右側に進み、地下へ進みます。

 案内板には京浜東北線と書かれています。JRお得意の愛称ですが、この京浜東北線は古くから使われているだけに、わかりやすく言いやすい名称の一つでしょう。どこを走っているかを端的に上手く示していますし、「宇都宮線」とか「京都線」、「神戸線」のように私鉄を真似たようなものにもなっていませんし、「学研都市線」とか「学園都市線」のように、最初聞いただけではどこを走っているのか全くわからないようなものにもなっていません。最近では、東武の愛称に強い違和感(もっと強い言葉を記してもよいのですが)を覚えます。伊勢崎線の浅草・押上~東武動物公園をスカイツリーラインとするのはまだよいとして、大宮~柏~船橋の野田線にアーバンパークラインという別名を付けたことについては、理解ができません。この愛称を初めて聞いた時、私は、一体どこを走っている路線なのか、全くイメージが湧かなかったのです。urbanには「都市の」、「都会の」、「都会に住む」、「都市特有の」という意味がありますから、直訳すれば「都市公園線」ということになりますが、自社で開発した地域を通る(例:田園都市線)などというのであればさておき、「都市公園」とは何かが不明なのです。関東地方にお住まいでも、アーバンパークラインはどこの路線なのかがおわかりにならないという方々は少なくなかったことでしょう。ましてや他の地方の方々をや、です。野田線なのですから、醤油か味醂を名乗ってくれたほうがはるかにわかりやすい、と記しておきます。

 余計なことを記しました。大井町駅は一般に京浜東北線の駅とされていますが、既に記したように京浜東北線は愛称でして、ここは立派な東海道本線の駅なのです。京浜東北線は、正式には、東京から横浜までが東海道本線、東京から大宮までが東北本線であり、両本線の緩行線に該当します。

 JRの西口改札のほぼ真向かいにあるのが、大井町線の改札口です。左側には、大井町線では数少ないテコプラザ(東急トラベルサロンに名称を変更しつつあります)、定期券売り場があります。

 これまで、シリーズで定期券売り場などのことを記していなかったのですが、大井町線で定期券売り場がある駅はここの他、自由が丘と二子玉川だけです(かつて旗の台駅と大岡山駅にもありました)。もっとも、現在は東急線のほとんどの駅の自動券売機で定期券を購入できます。

 また、大井町線でテコプラザ(東急トラベルサロン)があるのは、大井町(テコプラザ)の他、自由が丘(東急トラベルサロン。テコプラザの第1号店であるはずです)、二子玉川(東急トラベルサロン)です。

 大井町線の改札口はこの一箇所だけです。下神明駅のほうにも改札口があれば便利であるようにも感じられるのですが、構造の問題などがあるのでしょう。

 自動改札機を通り抜ければ、そのままホームに行けます。左側が1番線、右側が2番線です。この改札口からではわかりにくいのですが、2番線のほうからJRの東京総合車両センターがよく見えます。それもそのはず、隣接しているのです。また、劇団四季の劇場もよく見えます。

 大井町駅にはホームドアがあります。2012年3月から稼働しており、大井町線では最初に設置され、現在のところは唯一の例です。なお、今年度中に溝の口駅に設置されることとなっています。

 停車しているのは、いまや大井町線の主力と言ってよい9000系です。東横線にデビューしたのが1986年のことですから、もうじき30周年を迎えることとなります。東横線時代は特急や急行としても運用されましたが、大井町線では各駅停車専用です。但し、何度か急行として2代目6000系の代走を務めています。

 停まっていたのは、B各停または青各停と言われる各駅停車です。左側の幕(LED式ですが)が青地に白抜きの字となっており、これで田園都市線の二子新地および高津の両駅に停車することがわかります(車内の自動アナウンスでは「田園都市線経由」と言われています)。主に日中のみで、あとは早朝に鷺沼始発の大井町行きが数本、夜に大井町始発の鷺沼行きが数本あります。

 もう一種類、G各停または緑各停と言われる各駅停車が存在します。こちらは二子新地および高津の両駅に停まりません。左側の幕が白地の緑字となっています。

 さて、今回で、2011年8月6日から4年1か月以上をかけ、「待合室」およびこのブログで断続的に掲載してきた「東急大井町線途中下車」シリーズを終わります。気が向くままに歩き、撮影をしましたし、深く掘り下げていないところばかりでしたが、大井町線が有する独特の味わいを少しばかりは紹介することができたかと考えています。今後も沿線のどこかを歩いたりする機会はありますので、また、気になる風景などがあれば取り上げていきます。


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