ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

やはり1800人超え 医療逼迫も目前に、なのに……

2021年07月21日 19時30分00秒 | 国際・政治

 今日(2021年7月21日)の速報で、東京都におけるCOVID-19の新規感染者数が1800人超となったようです。今年の1月16日以来であるとのことです。

 やはり、という気がします。この状況で東京五輪は開催されそうですし、緊急事態宣言の意味も稀薄になっているからです。飲食店を狙い撃ちするような規制策も意味がないことが明白です。

 どう考えても、今月および来月に、東京都を初めとする関東地方で、昨年を上回る新規感染者数に達しそうな勢いです。いや、関東地方に限定する必要はありません。

 そのような中で、今日付の朝日新聞朝刊3面14版△に「『最後』の緊急事態宣言 下 果たされぬ約束 首相孤立」という記事が掲載されています。そこに、次のような言葉が記されています。

 「首相は後に周辺にこんな『未練』を述べたという。『Go toを始めた夏には、専門家は「移動では感染は広がらない」と言っていた。8800万人が利用したけど、感染者はたった400人だったんだ』」

 これを何と評価すればよいのでしょうか。「たった」と言えるかどうかも怪しいものですが、緊急事態宣言が繰り返される土台を作り出したと言えないでしょうか(それより前から土台はあったとも言えるでしょうが)。いずれにせよ、科学も医学もないという精神論が目立つようになったと言えるでしょう。

 記事も「政府は年明けに2度目の緊急事態宣言に追い込まれると、その後、宣言の延長、解除、再宣言、再延長を繰り返すことになる」と書いていますように、都道府県によって差はあれ、今年は緊急事態宣言が出されていなかった日のほうが少ない、しかも3回も繰り返されているという情勢です。

 第2回緊急事態宣言は二度も延長されます。1月の時点で、内閣総理大臣は「『1カ月後には必ず事態を改善させる』と力説した」というのですが、それができる訳がなく、3月には「『首相の言葉が国民に届いていない』。このころ、閣僚や自民党幹部らの間でしきりにそんな会話が交わされた。首相に正確で幅広い情報が伝わっているのかという疑念もささやかれた。トップダウンにこだわる首相と、調整役不在が指摘されてきた政権の構造的な問題が、コロナ対応を通じてあらわになっている――。かつて首相に仕えた官僚はそんな見方を示した」。内閣総理大臣が就任当初に行った発言に、自分に従わない官僚は左遷するという意味のものがありますが、この姿勢がCOVID-19の感染拡大においてマイナスに働いたことは否定のしようがありません。

 記事には、さらに次のようなことが書かれています。

 「東京などで感染再拡大が進み、4月下旬に3度目の宣言が出た。設定された期限は5月11日。閣僚のひとりは首相に『5月上旬は、まだ感染者数が増えている。解除するなら、それなりの理由がないと理屈が通りません』と伝えた。これに首相は『言霊になるからやめろ』と応じたという。」

 「ある政府関係者は首相に、2度目の宣言の際には五輪の『無観客』、3度目の宣言では『中止』を進言したと明かす。だが、首相は取り合わなかったという。この関係者は『五輪中に宣言となるのは分かるはず。何を考えているのか分からない』。」

 「別の閣僚も、3度目の宣言下で『中止』を進言したが『伝わらなかった』という。この閣僚は『予想通り東京の感染状況は悪化している。もうついていけない』と冷ややかに語る。」

 まるで、20世紀の社会主義国家における最高権力者の発言を思い起こさせるような話です。諌言は遠ざけられるということでしょうか。記事にも「総理に直言する人は、いま政権内にほとんどいない。寄せられるのは苦情ばかりになった」という首相側近の嘆きが書かれています。政権発足当初から貫かれた姿勢が、自らのみならず国民全体を袋小路に追い込んでいる訳です。

 もう一つ感じたことですが、東京五輪オリンピック開催への固執は、何となく、東ドイツ(ドイツ民主共和国)の崩壊の引き金を引いた建国40周年記念式典にとりつかれたホーネッカー国家評議会議長に似ているような気もします。それに、引用したところが正しいのであれば、内閣は空中分解寸前であるということにもなります。

 今も、あたかも呪文のように安心、安全が唱えられている東京オリンピックですが、どう考えても逆でしょう。有観客から無観客への転換も小山田圭吾さんの件もドタバタです。開会式に出席しないと宣言する人々も多くなっています。史上最悪のオリンピックになることはもう約束されたようなものです。

 どうかすると、オリンピック開催期間中に第4回緊急事態宣言の延長および対象領域の拡大が行われるでしょう。沖縄県の第3回緊急事態宣言もさらに延長されるでしょう。こうなると、東京オリンピックは途中で中止、東京パラリンピックは完全中止となるでしょう。

 それにしても、記事に書かれている「ある政府関係者」、「別の閣僚」が気になります。

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 私自身は8月にワクチン接種を受けることとしました。地元の川崎市が実施するので、先週の土曜日の朝に予約を済ませました。副反応なども頭をよぎりましたし、変異株に対応できるのかどうかもわかりませんが、接種しないよりは、と考えた訳です。昨年も、インフルエンザ予防接種を受けておいたほうがよいという複数の報道を目にして、接種を受けておきました。

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