ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

また、何らの意見も付されない決算が?

2017年05月10日 00時00分00秒 | 社会・経済

 私が生まれ育ち、現在も住んでいる川崎市は、東芝と浅からぬ、という言葉では到底足りない程に深い関係があります。高津区でも、久本三丁目にあるパークシティ溝の口は東芝玉川工場の跡地です。そのため、という訳でもないのですが、やはり東芝関連のニュースは気になります。

 昨日(2017年5月9日)の朝日新聞朝刊9面14版に「東芝決算、期限内発表検討 3月期 監査法人と対立続く」という記事が掲載されていました(DA3S12927571.html)。どうやら、2017年3月期決算についても、2016年4月〜12月期決算と同様、監査法人が「意見不表明」とする可能性が高いようです。

 東芝と監査法人との関係といえば、既に、東芝は監査法人をPwCあらた監査法人から別のところ(大手ではないようです)に変更しようとしている、と報じられています。

 上記記事にも書かれていることですが、東京証券取引所は、決算期末から45日以内に「決算短信」として開示することを求めています。もっとも、これは上場企業についての自主ルールであり、決算に監査法人の報告を付さなければ法的義務に違反するということにはなりません。そのため、東芝は、「これが我が社の決算である」として公表すれば、監査法人が何と言おうが言わなかろうが、一応は決算を発表したことにはなります。しかし、一般的には、というより常識的には、決算に監査報告を付すのが当然です。自分で「この決算は適正である」と言っているだけでは、その決算が適正であることの証明にはならないからです。

 なお、東芝は、6月末までに、関東財務局に対して「有価証券報告書」を提出しなければなりません。こちらのほうは監査報告書の添付も法的に義務付けられます(これも当然のことでしょう)。ただ、こちらについては延期という可能性が残されています。

 あまり報道などがなされないだけで、監査法人の側に問題があるという話があるのかもしれません。しかし、そうであれば、まず東芝が明確な理由を説明すべきでしょう。決算について意見が合わないからというだけでは、不十分にすぎます。今のままでは、監査法人が自社の決算を適正と認めてくれないから変更したいというだけのように思われても仕方がありません。

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