From 1000m

ゆる山歩きも いいんじゃないかい?

星穴岳 星穴新道~星穴岳~星穴沢  失われた道を行く

2011年05月05日 | 日記

平成26年11月 追記

このところ、この記事のカウンターが跳ね上がっています。大勢の皆様、お立ち寄りいただき有難うございます。  心無い入山者が、星穴新道から主稜線に登り上げる 「木登りの木」 をのこぎりで伐採した大馬鹿者がおります。 数メートルの垂壁に腐れロープ1本が寂しく 垂れ下がっております。 星穴新道から、西岳コースに行かれる方は、くれぐれもご注意して通過ください。

よろしければこちらもご覧くださいませ。

 

2014 星穴岳 星穴新道    あぶね~な~・・・ 終わりかな~ 重要情報アリ

 

 

 

5月5日 こどもの日。家族サービスするつもりが子供は野球の練習になり1日だけ取れた休みも一人ポツン・・ということで前夜思いつき登山決行。妙義の春の締めくくり 星穴新道から星穴岳を目指します。本当は4月中ごろ葉の出る前に予定していたんだけど 子供のPTA役員になってしまい総会やら行事やらで今頃に・・

私の調べた文献によれば(※奇岩の山妙義(昭和38年発行) 付属のコース地図に星穴沢を詰めて星穴岳ルートが2ルート表されています。ルート説明の中に、県と松井田町が松井田山岳会に依頼し当時の金額で30万円かけて昭和38年秋に完工予定とある。その星穴新道も御承知のとおり昭和45年冬に富岡女子高の生徒2名が滑落して以来、あまりに危険なため廃道となっています。たった7年で多くの遭難が相次いだようである・・・その後も幾度となく滑落死亡事故が発生しています。つい最近でも若者が星穴沢に滑落してしばらく見つからず白骨化した状態で発見されています。

 

※昭和38年の妙義登山地図 星穴新道の表記は無い。

さて、ここに記録として残しますが、P1から先通過は危険で極めて困難。またインターネットで検索すると昭和30年代に架けられた 鎖・ロープ等の目にしますが場所によっては、すでに破断・限界、またバリエーションルートにありがちな目印のテープも取れてほぼ皆無でした。~表妙義縦走できたから・・・西岳コースで星穴岳に登れたから・・・~ このレベルは星穴新道は参考になりません。しっかりとした登攀技術と道具、ルートファインディングのできる方、そして気力・体力の充実している方のみ入れる領域です。自己責任で周囲に迷惑にかからないように入山しましょうね。 

私は単独で入りましたがこれも × 

 

精細で残しますのでなが~くなります。

   

妙義湖からみた星穴岳。右が星穴新道のある星穴尾根 怖すぎます・・・

朝6時30分、国民宿舎に到着。道路脇に車を止めここで準備を整えます。ゲート脇から林道を歩き女坂登山道入り口に到着。藤岡女子高遭難慰霊碑に手を合わせ、7時ジャスト山行開始です。女坂分岐を直進して作業道を入り100mほど先から右に鋭角に折れ尾根に取り付きます。しばらくはなんてことのない里山の尾根歩き。たまに木立の間からP2・P3の岩峰が目に入ります。

  

1時間ほど藪尾根を歩くとスラブが出てきます。尾根歩きで途中道らしきものが出ますが完全な獣道。尾根を忠実にたどるのが正解。最初のスラブは右に巻き朽ちたアンカーを目印に落ち葉の溜まった沢を詰めると岩峰に突き当たります.正直に沢を詰めたのですがたぶんルートは左の尾根を辿るのが正解。

ネットで検索すると良く目にする 星穴 の道標。正直に沢を詰めるとこの道標の右の岩峰に突き当たりこの道標は見れません。これ見たさに少し戻ったのでした。何年前に書かれたものだろう・・・感動。矢印に導かれ岩峰を右に巻くと鎖のある登りに・・・ここからが本気モード。難易度は高くありませんが信頼性の無い朽ちた鎖が妙義イズムを掻き立てるんだよね~

  

   

P1登り、平成23年5月5日現在の鎖の様子、かなり劣化しています。極力体重を掛けないようにバランスをとるだけの支えにしながらの登攀。途中何箇所はやはり段差があり頼ってしまうのだが、上の写真(中)は、岩が崩落して鎖で止まっている状態・・・信頼するのはあまりにも危険なのだ・・・

 

P1の岩場を攀じ登るとP2の基部にいにしえの道標が・・・板だけ・・ なんとも無い草付きのトラバースを超えると、P2コップ状岩峰のトラバースがお出ましに。ゲ・・・なるほど・・・これが名高いP2コップ状トラバースなんだね~感激・・でどうするの・・とりあえずここで小休止、初めての給水しました。

 

P2 コップ状岩峰のトラバース。確かに切れた鎖と、腐ったスリングは見える。正直に通ればいけそうに無いこともないが・・・皆さん良くあれを触れるよな・・・なんて感心してしまった。取り付きまでがチョッといやらしい。きょろきょろ・うろうろ・・してみると10mほど細尾根を登り上げ、小さなテラスの潅木に支点が見える。腐ったフィックスロープまであるのだ。ここから約20m懸垂下降して対岸間で巻き込めば・・おおこれぞ・・打田先生の振り子トラバースではないか!さほど難易度も高くは無い。  気分も晴れやかにザイルを出しているとコップ状岩峰の下で ガサガサ と何かが!!ぐえっと泣き声が!!良くみると熊か? なんとカモシカではないか。威嚇するようにいつまでも ぐえぐえ ないている。しばらくして見えなくなったが妙義にもカモシカがいるんだね・・・汗   

 

信頼性のある潅木に支店をとり20mほど垂壁を懸垂下降で降ります。特に悪いところもありません、そのままルンゼの安定した足場のかかるところから振り子の要領で左のスラブまで渡り、腐ったロープと切れた鎖を補助にルンゼを登りあげます。懸垂支点にはスリングを足しておきました。FIXされたザイルは腐っていていつのものかも見当が付きません・・・中間に打ち付けたアンカーも全部飛んでいます。間違ってもノーザイルでこのFIXを使っての通過はあまりにも危険なのだ・・・

youtube にP2の通過を動画で残しておきました。雰囲気だけでも分かるかな・・・・  星穴新道を行く P2コップ状岩峰通過 で検索。

  

さて、コップ状トラバースを越え、左に巻きながらP2の主稜線に登り上げます。ここでルートが途絶える・・・ここからは自分の勘が頼り・・木の根・潅木を掴みながらひたすら泥壁を登りました。自分的にはルートファインディングでここが一番難儀した所。ネットで調べると一度ルンゼの底までくだりP3 に登り返しているパーティーもいるようですがどちらも楽ではありません。砂だらけになりながらやっとこ主稜線に、そして迫力のP3が目の前に・・・・

  

P2からP3までは小ピークを越えながらコルまで下り登り返します。急稜ですがここは楽しい主稜線歩き。いくらか心にも余裕が生まれました。そして急登を詰めてP3の基部に到着。ここから星穴沢側に15mぐらい 鎖を頼りに下ります・・と言いたい所ですがここも迷わずロープを出して懸垂下降で。そしてP3を高度感のある切れた40m大トラバースです。

   

鎖に頼らないよう慎重に通過・・このルートで一番高度感のある場所。落ちれば星穴沢の底まで滑落です。ここも鎖は写真のとおり・・・ホールドとフリクションはあるので慎重に通過すれば問題なし。

ルートはこんな感じでP3を巻くのです・・・基部から15mほど懸垂下降 そこから40mのトラバース 落ちれば星穴沢の底です。

    

写真は基部からみたP3 。そして主稜線に戻り星穴岳とP3のコルを越えかなりの急斜面のざらざらを駆け上り、朽ちた道標を横目に見覚えのある山頂へ・・・今日は正直に西側の鋭角側の山頂に登りました。

 

迫力のP3・P2を見ながら、誰もいないピークでゆっくりとコーヒータイム。(手前がP3 奥がP2) あそこを通過してきたんだね~このコースを開拓してきたいにしえの民を想いながら景色に見とれました。誰がいつごろルート開拓したんでしょうね。仮に整備されていたとしてもこのルートは登山道とは呼びません・・・  そしてお決まりの 星穴探検、今回はお休み。西岳を回り女坂コースも考えたけど、ゆっくりコーヒータイムのあと、未知の・・星穴沢を下り帰路へ・・・

星穴沢のスタートはここから・・・捨てビナがあります。

   

P3の基部まで下り P3とのコルから3回の懸垂下降。一回目は50m目一杯でルンゼの底へ・・・写真は明るく見えるけど暗い暗い谷底です。あえて言わせていただこう・・・この沢・・・薄暗くてジメジメしていて気持ちが悪い・・・

 ここで献花された花束の残骸が・・・汗。たぶん一昨年星穴沢で遭難・発見された若者への献花か。手を合わせてきました。

    

2度目の懸垂は30m 潅木に支点に ぬるぬるの滑り台状の急なルンゼを下ります。ウォータースライダーのコースみたい。

 

  

3回目の懸垂下降はチョックストーンの垂壁を30m この下に不自然に割れたクライミングヘルメットが!!!・・・これにはかなりビビッタのだ。怖! ここから徐々に傾斜がなだらかに。クライムダウンしながら西岳から派生する沢と合流。

  

しばらく沢沿いを下ると女坂と合流、新緑が綺麗でしたここでほっと一息・・・振り返ると先ほどまでいたP3が見えます。女坂も入山者が少ないせいか荒れてるね。このまま女坂を下り慰霊碑前で下山報告。新緑の林道を快適に下り国民宿舎へ・・・下山時刻13時 思いのほかルートミスもせず無事下山しました。往復ちょうど6時間の探検・・・無事下山した安着祝いに もみじの湯 出汗を流してきました。ここはいつも空いてて良いね~

星穴新道は 失われた道 です。登山者は・・いやクライマーは年に数パーティーか・・・・・ルートはか鎖の劣化・断裂・斜面の崩落もみられます。刺激的なルートで達成感はあるのですがここも落ちれば終わり・・・です。くれぐれも、他人に迷惑がかからないよう自己責任で。自信の無い方は西岳ルートをお勧めします(こちらもかなり危険ですが・・・)どちらも単独は ×

   

↑    ルートイメージはこんな感じ・・・かな? かなりアバウトです・・・汗

装備一覧 

ザック サレワpeuterey 32+  シューズ ファイブテン イグザムガイド  ハーネス BDシットハーネス  ヘルメット  ザイル 1/2  9mm 50m×2  ディセンダー エイトカン ATC各1 カラビナ6枚 DGチェーン スリング適量 ほか食料・水・非常食・常時携帯品1式   

 

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