気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

City of Fire  by Robert  Ellis

2014-02-09 13:11:19 | 読書感想

ロサンジェルス、4月の木曜日、深夜、閑静な住宅街でNikki Brantと言う名の若い女性が殺される。犯人は彼女をレイプしたうえナイフで刺し殺し、彼女の足の指を切断して持ち去っていた。

2ヶ月前にLAPDのRHD(Robbery Homicide Division)に移動して、初めて捜査主任に指名されたLenaは部屋一面が血しぶきで深紅に彩られた殺害現場に慄然としながらも、冷静に現場を観察し、犯人の体液がPCのある机まで点々と続いているのを発見する。犯人はNikkiを殺害した後、すぐに立ち去らず被害者宅のPCを使用して2時間近くネットサーフィンしていた。また、現場には第三者が侵入した形跡がないことや、殺害に使用した凶器はキッチンにあるナイフであることが分かる。このような状況からLenaたち刑事は第一発見者の夫Jamesを容疑者として考え 彼のアリバイの有無の捜査を開始する。
そして、夫にアリバイがないこと、二人が年中口論していたことがわかる。

署内で本格的に尋問を開始したLenaに対してJamesは弁護士の立ち会いを要求し、さらに弁護士を通して彼を嘘発見器にかけることを要求する。普通は拒否する嘘発見器のテストに容疑者が積極的なことにLenaは不安を感じるが、テストの結果はJamesが犯人であることを示唆していた。Lenaをはじめ刑事たちはJamesの犯行と確信していたが 決定的証拠となる現場に残された体液のDNA鑑定結果がまだ出ていないことから弁護士の主張によりJamesの帰宅を認める。

翌日、あまりに異常な殺害方法とJamesを結びつけることに一抹の不安を感じたLenaは、見落としがないか、再度、殺人現場の検証に赴く。
そこで、彼女は台所に置かれていた殺人当日の新聞のクロスワード欄に書き込みがあるのを発見する。クロスワードの書き込みはその日以外の新聞には行われておらず、しかも筆跡はJamesともNikkiとも異なっていた。
その瞬間、LenaはRHDに移籍してからの最初に担当したレイプ殺人事件、Teresa Lopezの事件との関連性に気づく。Teresaは自宅のベッドで殺されていたがベッドの脇にはクロスワード欄に書き込みがある新聞が置かれていた、そしてベッドわきに置かれていたラジカセにはベートーベンの交響曲6番のCDがセットされていた。すぐにNikkiの自宅にあったラジカセを調べたLenaは交響曲7番がセットされているのを発見する。Teresaの事件は夫が自白して捜査は終了していたがLenaは上司のBarreraに二つの事件は同じ犯人の犯行であるとしてTeresaの事件についても再捜査を主張する。
 
それぞれの殺人の現場に交響曲6番、7番とCDが置かれていたことから,犯人はこの犯行の前に、5件のレイプ殺人事件が起こしている可能性があり、LenaはRHDのデータベースで調べたが該当する事件はゼロだった。
また、クロスワードに書き込まれた文字を筆跡鑑定した結果、犯人は左利きであり、Pという字に独特の書き癖があるのが分かり、Jamesの犯人である可能性はなくなる。

翌朝、急遽開かれた捜査会議で プロファイラーBernhardtはコードネームRomeoと名付けた犯人は、現場に証拠となる体液を平然と残していることから自分が捕まらないことに絶対の自信を持っている傲慢な男で、レイプから殺人へと犯行をエスカレートしていると犯人像を分析する。しかし、何故Romeoが犯行後現場に留まり2時間もインターネットを利用していたかは不明だった。
LenaはRomeoが使用したパソコンを署内の専門家に分析してもらい、Romeoはインターネットの会員制ポルノサイトにアクセスしていたことが分かる。そして、サイトの運営者Charles Burellからその会員の名前を聞き出すが、Romeoが使用した名前は彼が盗んだクレジットカードの名前を使用したものだった。

手がかりが全くないまま、Romeoはレイプから殺人へと犯行をエスカレートしていったというプロファイラーの指摘に基づいて、Lenaたちはここ2年内に起きたレイプ犯罪をデータベースから洗い出し、数百にものぼる事案を、それぞれ分けあって調査する。 Lenaはその中の3件がRomeoの手口と似ていることに気づく。それぞれの事件は10月、12月、1月と起きており、今回の2件の殺人が3月、4月、10月を交響曲一番とすれば3月、4月が6番、7番となる。Lenaはこれら事件の地図上の位置関係を調べ、それらの事件がVenice Beachから2マイル以内で起きていることを発見し、Romeoがこの地域に住んでいると推測する。
そして、その地域にRomeoにクレジットカードを盗まれた若い女性がいることを知り、Lenaは、彼女が次に狙われるのではないかと危惧する。

そんな中、パートナーのNovakから電話があり、LenaはRomeoによる新たな犯行があったことを知る。

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ちょっとえげつない描写の箇所があって公衆の場では読みたくないが、Lenaのキャラクターがとても魅力的でおもしろく読めた。
彼女の捜査能力も抜群。地道にこつこつと捜査資料を調べ、ほかの刑事が見落とした手がかりを発見していく。
被害者のそばに置かれた新聞のクロスワード欄の書き込みを記憶に留める観察力、手がかりを求めて何度も現場に出向く根気、その努力から、先ず犯人の特徴を導き出し、次に犯人の行動範囲をと徐々に犯人に迫っていく。
また、たとえ上司の命令でも自分の信念に反することは断固拒否する。
正統派の刑事物として物語を追っていける。

このヒロインの物語は前に書かれた作品があるのか。同僚の刑事との関係、以前何があったのかが気になってしょうがない。

ちょっと欲張りすぎかなとは思うのだけど、5年前に殺された最愛の弟の事件がからんできて予想もつかない展開、結末に驚かされた。

★★★★
Kindle版 483ページ


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