気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Ghostman by Roger Hobbs

2014-04-13 09:28:33 | 読書感想

MWA Best First Novel 候補作

俺が最初に銀行強盗を行ったのは10代のときだった。以来20年近く強盗などの犯罪に手を染めながら生きてきた。にもかかわらず、俺は一度も逮捕されたことや職務質問をされたことがない。よって、警察には俺の指紋は登録されていない。いや、それどころか俺の存在自体が知られていない。

今、俺は変装のプロ、Ghostmanと呼ばれている。ある時は20代の若者、ある時は50代の初老の男に見事なりきることができる。俺はJack Deltonという名前の免許証やパスポートを持っているが、それは本名ではない、そのほか、John、Georgeなど様々な名前のものもあるが、どれも同じように本名ではない。おれの本名は警察などの治安機関を含め誰も知らない。

俺の仕事は銀行強盗した奴らの逃走を助けること、強盗した男に別の名前を与えて別人に扮装させ、彼をこの世から消し去ること(disappearing)、いわば、FBIのWitness Protectionの犯罪者版、それが俺、Ghostmanの仕事。

Washington州のSeatle、7月の朝5時。俺はMarcusという男からのEメールの着信音で起こされる。Marcusは銀行強盗を企画立案し、自分は強盗に加わることなしに、男たちを雇ってその計画を実行させるという方法で巨万の富を築いていた。5年前、俺は奴の計画した銀行強盗に参加したが、そこで俺は致命的なミスをしてしまい、彼に借りがあった。

Marcusと会った俺は、今朝、Atlantic Cityで彼が計画実行させたカジノ現金強奪についての顛末を聞かされる。現金輸送車から現金が降ろされカジノに運ばれる瞬間を狙った襲撃。運転手役と襲撃役、二人いれば簡単に成功する仕事と思われたが、現金を奪った後、銃撃戦になり、実行役二人のうち一人は射殺され、一人(Ribbonsという男)は現場から逃走。しかし、当然あるべくMarcusへの連絡がなく、男は消息不明になっていた。

Marcusは強奪した金はFedaral Payloadであると言い、48時間以内の金の回収とRibbonsのDisappearingを俺に依頼する。

Federal Payloadと云われる金は銀行強盗には忌み嫌われる金である。包装されている紙幣にはインク爆弾というものが仕掛けられており、仕掛けを解除することなく48時間経つか、梱包された包装を解くと仕掛けが作動して、紙幣がインクで汚れて使いものにならないように安全が施されていた。

Marcusはアメリカ東海岸のドラッグ王Wolfとのドラッグ取引のために、この金を必要としていた。Marcusはこのドラッグでアメリカ西海岸の麻薬王になることを夢見ていた。しかし、もし、金が用立てできない場合、自分がWolfに殺されることを確信していた。
Marcusはこの仕事を俺が引き受けたら貸し借りなしにすると断言、俺は承諾する。
残り時間、44時間、俺はMarcusの自家用機でAtrantic Cityに向かう。

Atlantic Cityに降り立った俺は、Ribbonsの身元が判明し、彼の顔写真がテレビで全国に流されていることを知る。またFBIが銀行強盗の黒幕として知られるMarcusをマークしていて そんな彼と会った俺をマークしていることを知る。

捜査官に変装して(Ghostmanの俺にとって朝飯前の仕事)襲撃現場に赴いた俺は、現場に残された銃弾や血痕から強盗犯二人は警備員ではない第三者によって狙撃されたことを発見する。それはMarcusの計画は事前に漏れていて、誰かが強奪した金を横取りしようと企んでいた可能性を示唆していた。それを裏付けるかのように、Ribbonsの逃走経路を調査している俺のことを尾行監視している車がいる。Marcusとの5年前の借りをチャラにするために 俺はRibbonsの居場所を突き止めるのに障害となる正体不明の奴らと命のやりとりをすることになる。

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書き出しから物語に惹きつけられていく、一人称で語られていく文のリズムがすごく心地いい。
とてもユーニークで魅力的なキャラクター。ダーティヒーロー、自分の命を狙ってくる奴は躊躇なく殺す。仕事がないときは古代ギリシャやローマの古典を訳すことを趣味とする。
現場にたって そのときの状況を推理していく様子はなかなかの名探偵。ふつうの探偵と違い、ただ悪をやっつけるのではなくしっかり金も稼ぐ。MarcusとかWolf、どちらも冷酷非情というが,そんな彼らが普通の悪人に見えるほどGhostmanのほうが冷酷非情に見える。自分を殺そうとした男は、例え、降伏しても生かしておかない。生かしておく限り、何時また銃を持って自分の命を狙ってくる可能性があるから。

悪漢探偵としてシリーズになることを期待。

Kuala Lumpurの銀行強盗の計画は、あっと思うほどユニーク。どうやって強奪した1800万ドルの大金を持ち出すのかと思っていたがその方法はユニーク。うまく、捜査の盲点をついている。

Kindle版 ★★★★★ 385ページ


4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Ghostman (tosacarp)
2014-05-15 11:45:25
お久しぶりです。面白そうですね。買ってみようと思います。まだ2作しか書いてない人なんですね。
賞を逃して残念 (daydreamer)
2014-05-18 10:52:50
こんにちは tosacarpさん。
今、MWAのサイトを見たら新人賞は Red Sparrow
best novelは Ordinary Grace に決まっていました。

Ghostmanが取ってほしいと思っていたので残念です。
でも この2冊機会があったら読んでみようと思います。

洋書を読む立場としては また円高にならないかと願ってます ^ ^;
お茶請け (tosacarp)
2014-05-25 15:22:11
Ghost Man 読了。残念ながら私は、3、5くらいでした。中と半端のエンドが今一つでした。このブログよく見てますが、多読ですね。そんれなのに、James Patterson やMarry Higgins Clark の作品はあまり見かけませんね。ペーパーバック読み始めて20年以上ですが、この二人は結構好きです。Patterson は66冊。Higgins Clark は41冊読んでます。短いし、軽いミステリーで楽しめます。重い作品読んだ後で、お茶うけにいかがでしょうか。それから、児玉清さんの『寝ても覚めても本の虫』読まれてますよね、この本も洋書読み必読書だと思います。 ではまた。

お茶請けいただきます。 (daydreamer)
2014-06-01 10:40:52
 >Patterson は66冊。Higgins Clark は41冊読んでます
すごいですね。僕の今まで読んだPBの数がそれぐらいでは?
僕は語学力がなく 辞書を引き引き読むので一冊読むのに時間がかかります。このふたりのように 有名作家は翻訳で読もうと考えているのですが時間がなくて。
でも 教えていただいたKernickは僕の趣味に合っていたので この二人も読んでみようと思います。

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