気軽に洋書ミステリー

家にいてもすることがないおじさんは考えました。このままではボケる。そうだ!好きなミステリーを英語で読もう!英語力???

Lost Little Girl by Gregory Stout

2023-01-22 08:37:44 | 読書感想

2022年 PWA Best First PI Novel

私、Jackson Gamble はテネシー州ナッシュビルの私立探偵。

このところ仕事がなく、壁のポスターを見ながら日がな一日依頼人が現れるのを待っている。

ある日、長めの昼飯休憩を取った後、事務所に戻ると聖書を熱心に読んでいる女性が私を待っていた。女性はDelsey Hawkinsと名乗り、14歳の娘、Gabrielleが誘拐されたと話す。警察にも届けたが、誘拐ではなく10代によくある家出だと考えて警察は捜査に消極的である。彼女は自分は敬虔なクリスチャンであり、娘の子育てに自信を持っており、クリスチャンとして厳格に育てた娘が家出するはずがないと断言する。そして娘は誘拐されたと主張して、私に彼女を探し出し連れ戻すよう依頼する。

調査を始めた私は、彼女の親友や彼女が通う学校の生活指導教師から彼女の両親が狂信的キリスト教主義者であることを知る。

父親は、神に対する忠誠を判断するのに毒蛇を使うという狂信的なクリスチャンの牧師で、妻のDelseyも彼の教えを盲目的に信じている。彼は身の回りに起こることは全て全能の神の思し召しであるとして、娘の失踪も神の遠大な計画であり神に対する絶対的な忠誠を見せることで娘は戻ってくると信じている。そして娘の失踪を警察に届けることを妻に禁じる。私は、そんな両親に嫌気を感じたGabrielleが家出したことを確信する。

調査を始めた私は、彼女の親友や彼女の部屋の捜索で得た手がかりから、彼女の失踪の背後にSEX目的の人身売買組織、違法な少女ポルノビデオ業者などの存在を危惧し始める。初めて夫や神の教えにも背いて、娘の身を案じて、私に調査を依頼してきたDelseyのためにも、多くの家出少女がたどるようにGabrielleがドラッグ中毒や売春などで家出した時とは違う変わり果てた少女になっていないことを祈りながら、私は娘を母親の元に帰すため大都市に潜む暗黒に入り込んでいく。

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一人称で進む物語は主人公に同調しやすくて良い。

彼の調査の方法も腑に落ちる。まず、最近の彼女の様子が以前と違っていないか?不審な電話の有無などを母親に聴く。次に親友や教師に会い、最近の彼女の様子を聴き、彼女の部屋を捜索するなど、少女が失踪した時、どのように調査に着手していくのか、実在の探偵が実施していると思える方法で進めていくので同調しやすい。

彼のキャラクターも良かった。人に対して誠実に対応する性格。尋問の仕方がうまく、自分の必要とする情報をうまく引き出す技術。また強面の用心棒が控えていても、怯むことなく自分の要求を突きつけるタフな面。ただ、タフな面が出過ぎて僕の理想とする探偵像からは、少しかけ離れているところが残念だった。

純粋無垢に神の教えを信じているDelseyの生き方が印象に残った。娘も自分のように信心深い子に育てたら娘は幸せであると信じてきた母親の悲哀を感じる。娘の失踪に直面して、最終的には、神や夫の説教よりも娘への愛を優先した決断、でも、もっと早い段階で娘の気持ちを察して決断していたら信仰心というのはなかなか切り捨てられないものだなぁと感じた。

Kindle版 ★★★★ 272ページ 2021年10月


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