月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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トゥバン・4

2017-08-04 04:14:34 | 詩集・瑠璃の籠

若草色の
清らかな祈りを積みなさい
わたしが来る時のために

竜のように長い時を隔てて
わたしは
約束もない夜に
突然来る時がある
そして
あなたがガラスで作った奇妙な菓子を
食う前に
粉々に砕いてしまう

それは食べてはならないのだ
どのようにうまそうに見えようとも
どのように美しく見えようとも
一口食べれば
悪魔の鏡のかけらよりも重い棘を
あなたの心臓に刺してしまうのだ

もはや何をしても遅い
そういう暗闇の暗闇の中にさえ
わたしは来る時がある
そしてあなたの手の中の
実にやさしそうに見える
ガラスのトカゲを燃やす

それを飼ってはいけない
それに従ってはいけない
そうすればあなたは
蜘蛛の性欲よりも淫らな食欲にむしばまれ
永遠に穢れたものとなる

ついに救われないかと思う
ついに夜明けは来ないかと思う
深更の深更の闇にさえ
わたしは光ることがある

若草色の
清らかな祈りをつみなさい
わたしが来る時をねがって




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