月の岩戸

世界はキラキラおもちゃ箱・別館
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アラドファル・6

2017-08-03 04:16:15 | 詩集・瑠璃の籠

繰り返し寄す
潮騒の音に
あなたの長い髪を洗い
つらい記憶をすべて
流してしまおう

泡のように
記憶は濡れ落ち
あなたはかなしいことを
すべて忘れてしまうだろう
もうそれでいいのだ

あなたは
信じられないほど清められて
軽い月のように浮かんでいく
明るく澄んだあなたの光は
銀よりも白く
はかないほど愛おしい

神はあなたを
永遠に
地上からは見えない星にするだろう
それでいいのだ

満天の星空から
ただ一つの星が消えた
それだけであじわう
永遠の孤独を
彼らはなめていかねばならない
それほど
愛を愚弄したのだ
愛によって許され
すべてを支えてもらっていたものを

あらゆる逆風に耐え
渾身の力を持って
ほぼたったひとりの力で
彼らのために救いの一手を打った
そのあなたを
彼らはいやだと言って
消したのだ
その報いを彼らは受けねばならない

空に決して見えぬ星を
見るたびに
彼らは永遠に忘れることのできない記憶を
思い出すのだ




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