1月1日 富士山

2009年01月02日 | 風の旅人日乗
神奈川県葉山の森戸海岸は、東に千元山という小高い丘を背負い、日の出が見えにくい。
その代わり、相模湾の向こうの伊豆半島に沈む夕陽はよく見える。

日の出には、人の気持ちを溌剌とさせる力があるが、夕陽を愛でるのは、
なんだか気持ちが後ろ向きになようで気に食わない。
とは言え、夕陽や夕焼けに、人の思考を深める力があることは、認めざるを得ない。
夏の海水浴シーズンと、暮れから正月は、
葉山・森戸には、その夕陽を見に訪れる観光客の数がぐっと増える。

森戸海岸から見る夕陽は、夏至の頃には富士山の右側(北側)に沈むが、
冬至前後には、伊豆の天城の北の裾野に近い辺りまで南下した位置に沈む。
森戸神社がある小さな岬の先端は、夕陽ウォッチングの名所のようになっていて、
晴れて、そして風が穏やかな日には、結構な数の、平和な顔をした人たちで一杯になる。
フロリダのキーウエストにも、あの島に住む芸術家っぽい人たちが集まる夕陽見物のスポットがあって、
それらの人たちに混じってその桟橋に腰を降ろして夕陽を眺めていると、
ヨットレースの勝ち負けを引きずってトゲトゲしている自分までもが、
なんだか平和で穏やかな気持ちに包まれたことを思い出す。

周りの英語を聞きながら見たキーウエストの夕陽はオレンジ色だったけど、
森戸の夕陽は温州みかんの色だ。

上の写真は2008年最後の12月31日の日没と富士山。さらば2008年。

下の写真は、2009年1月1日の日没近くの富士山。

2009年も、いいことがなるべくたくさん起きますように、と、
寂しい夕陽にではなく、日本一の富士山に祈った。