ABN AMROの秘密

2006年02月08日 | 風の旅人日乗
ABN AMRO 1のスキッパー、ムースと昼ご飯を食べてきた。
すっごく、面白い話を聞けた。

これから『パイレーツ・オブ・ザ・カリビアン』の重要人物と話をしに行くので、今日は遅くなりそう。
明日、朝早くからABN AMRO 1に乗せてもらってセーリングに出かける。
なので、ちょっとブログの更新が滞るかも知れません。
でも、早めに面白い情報、書きますね。
ではでは。

Feb.8 2006 フィッシュ&チップスな日々

2006年02月08日 | 風の旅人日乗
2月8日 水曜日 まだ、メルボルンです。

滞在しているホテルの近くに川が流れている。メルボルンの市内を貫くYarra川だ。

その川に沿ってメルボルン大学、メルボルン・グラマースクール、市民ジュニア、そして市民シニアの、それぞれのボート・クラブの艇庫とクラブハウスが並び、早朝と夕方、それらのボート・クラブのメンバーが練習している。
老若男女の各チームの、エイトからシングルスカルまで、いろんなボートが川面を走っている。

夕方、仕事の後に、テイクアウトのフィッシュ&チップスを持って川べりの芝生に座り、それをビールで食べながら、それらのボートが川面を行き交う様を見るのを、楽しみにしている。
夏時間なので、9時近くまで明るい。
夕方の柔らかい陽射しの中、ボートを漕いでいる選手たちも、それを川岸から見ている市民たちも、みんな幸せそうだ。

『王女橋』という名の橋を挟んで、その下流までは観光客を乗せたフェリーなどの動力船が走ることができるが、その上流は、ロウイング・ボートだけのサンクチュアリーだ。無神経な動力船の引き波で、練習中に沈(ちん)する心配もない。

今日は、朝5時過ぎに起きて、自分自身のエクササイズを軽くした後、市内のフィットネス・クラブに向った。
ABN AMROチームの、朝のフィットネスを取材するためだ。
雑誌『ターザン』用の取材である。

チーム・カメラマンのジョン・ナッシュとフィットネス・クラブの入り口で待ち合わせだが、遅刻したようで、なかなか来ない。
ちょうど、やってきたクルーのマーク・クリスチャンセンと一緒にクラブの中に入って話をしているうちに、ジョンが息を切らせてやってきた。

ジョンは、昨日の夜寝ている間に何かの虫に刺されたみたいで、身体中虫刺されだらけになっている。「痒くてさあ、たまらん」と言いながら、あちこち掻きまくっている。見ているこっちも痒くなってくる。

それぞれのクルー・メンバーは、それぞれのポジション、それぞれのテーマに合わせたフィットネスをしている。その様子をジョンがいい感じで撮影していく(ワンショット撮り終わるたびにあちこち掻きながら)。

「『ターザン』って、どんな雑誌?」とマークが聞くので、
「フィットネスを一生懸命やっている、贅肉なんか全然ない人たちが読む雑誌で、いま日本で一番売れてる雑誌だよ」と説明すると、
マークは自分のお腹の脂肪をTシャツの上からつまみながら、
「俺は写らないほうがいいな」というので、
「そうだね、読者の夢を壊すかもね」と答えておいた。

しかし、実際は、ボルボ・オーシャンレースのような過酷な長距離レースに乗るセーラーは、ある程度の皮下脂肪を蓄えてスタートしなければならないし(それでも各レグごとにクルーは平均10キロほど痩せる)、しかも、マーク・クリスチャンセンは、世界トップクラスの、非常に優秀なセーラーだ。ヘルムスマン(ドライバー)としての腕も一流だ。今回の『ABN AMRO1』ではワッチ・キャプテンを務める。

ワッチ・キャプテンと言うのは、スキッパーの片腕としてチームをまとめる、言わば副船長のような、重要な存在だ。マークは前回の世界一周レースでも、ジョン・コステキ率いる『イルブルック』のワッチ・キャプテンとして優勝に貢献している。

ぼくは、マークに、ニュージーランドのレースでも、ハワイのレースでも、非常に助けられた。機会があればぜひまた一緒に乗りたいと思っているセーラーのひとりだ。
少し関係ないが、マークの奥さんのジェネラはとても奇麗な人で、先月からボルボ・カーズ・ジャパン社が発行している『ボルボ・オーシャンレース・カタログ』を作るときにも、ジェネラとマークが出港前に抱き合っているシーンの写真を使わせてもらった。

さあ、これから『ABN AMRO1』スキッパーのムースと昼飯だ。あいつ、朝トレ、サボって、出てきてなかったなあ。
しかし、ボルボ・オーシャンレースのスキッパーというのは、レース以外にも様々な仕事で、非常に忙しそうだ。スポンサー・イベントでもいつも引っ張り出されている。あいつなりに、結構、大変なんだろうな。