ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

地域の産科機能を次世代に残すために(その四)

2008年05月04日 | 地域周産期医療

地域の産科医療提供体制が崩壊してしまってから、あわてて今後の対策をあれこれと協議し始めても、もはや手の施しようがありません。

完全に手遅れになってしまう前に、『いかにして、地域の産科医療提供体制を将来的にも継続可能な構造に建て直していくのか?』を、地域の皆で考える必要があります。

今、産科医は日本中奪い合いになっているので、待遇改善は産科医確保のための一つの必要条件ではありますが、それだけでは産科医の確保はきわめて困難な状況にあります。

ハイリスク分娩や婦人科悪性腫瘍の治療などにもきちんと対応できる機能を地域に残していくためには、地域中核病院の産婦人科を『若手医師たちのやる気につながる施設』に作り変えていくことが最も重要だと私は考えています。

****** 産経新聞、2008年4月30日

共倒れを防げ!「産科」「婦人科」機能を分担 大阪の2市立病院

 産婦人科医の不足が深刻化する中、2つの病院の産婦人科機能を統合し、「産科」と「婦人科」で役割分担する試みが今月からスタートした。大阪府南部に隣接して位置する泉佐野、貝塚両市の市立病院で、「泉州広域母子医療センター」として稼働している。効率的な運用で医師の負担軽減をはかり、共倒れを防ぐ苦肉の策だが、地域の産婦人科医療を守る手段として成果の行方が注目されている。【伐栗恵子】

(中略)

 新システムの導入で産婦人科医の不足が一挙に解消されたわけではないものの、それぞれの病院には産科、婦人科の症例が数多く集まり、医師にとっては経験を積み、腕を磨く期待が増えると期待される。光田部長は「若手医師のやる気につながる施設にしていくことが重要」と話している。

(産経新聞、2008年4月30日)