ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

続・地域の産科機能を次世代に残すために

2008年04月22日 | 地域周産期医療

地域内に多くの産科施設が隣接して存在し、少人数づつに分散した産科医が一人また一人と去っていき、各施設の最後の一人が力尽きた時点で、やむなく産科閉鎖に追い込まれるというような状況が続けば、その地域の産科機能はジリ貧となり、次世代に残すことがだんだん困難となっていきます。

充実した産科医療施設の条件を、『通院までの時間が60分以内、1病院あたり産科医が5~6人在勤』と、福井大・小辻教授が講演で述べられたそうです。基幹病院までのアクセス時間が60分以内の地域を一つの産科医療圏と考え、その産科医療圏の機能を将来的にいかにして維持していくのか?という視点です。

地域の産科機能を次世代に残してゆくためには、長期的ビジョンのもとに地域の産科医療提供体制の再構築を考える必要があり、いずれにせよ、地域住民の理解と協力を得ることが非常に重要だと思います。

****** 毎日新聞、福井、2008年4月21日

医療連携:勝山と大野市、福大病院と締結1年 小辻科長が記念講演 「安心して産科受診を」

 福井社会保険病院(勝山市)が昨年4月から分娩業務を取りやめるなど、深刻な産科医不足に陥っている勝山、大野両市と、福井大医学部付属病院(永平寺町)との医療連携締結1年を記念し、勝山市内で20日、同病院の小辻文和・産科婦人科長が「安心して産婦人科医療を受けられるまちを目指して」のテーマで講演した。

 小辻科長は、充実した産科医療施設の条件を、『通院までの時間が60分以内、1病院あたり産科医が5、6人在勤』と指摘。「付属病院は奥越から約60分の位置にある。日常の検診などは福井社会保険病院で受け、一生のうち数日間だけ付属病院に入院することで、奥越の住民にとって便利で安全な医療の提供ができる」と語った。

(以下略)

(毎日新聞、福井、2008年4月21日)