ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

産科・小児科の重点配置を提言 (長野県産科・小児科医療対策検討会)

2007年03月30日 | 地域周産期医療

今回の検討会の提言は、県内各地域の医療体制の現状をほぼ追認した形となっていますが、県内の産科や小児科の医師数は今後もしばらくは減少傾向が続き、状況はさらに厳しくなってゆくものと予想されます。

今回、連携強化病院に選定された病院であっても、今後の成り行き次第では、医師不足により産科や小児科が休診に追い込まれる可能性は十分にあり得ます。

それぞれの地域で、医療水準を維持するために、地域内の限られた医療資源を最大限に活用し、地域で一体となって対応してゆく必要があると考えられます。

医師不足に対する即効策は見当たらず、長期的展望のもとで、医学生の教育、研修医の教育、専門医の育成など、地道に、気長に、正攻法で取り組んでゆくしかないと思います。

****** 信濃毎日新聞、2007年3月29日

産婦人科・小児科医 9-10病院に重点配置

県の検討会 医師不足で提言

 産科・小児科の医師不足対策を検討してきた県の産科・小児科医療対策検討会(会長・小西郁生信大教授)は28日、県内9-10の病院を「連携強化病院」とし、重点的に医師を配置する-との提言を、県庁で開いた県地域医療対策協議会で報告した。医師を集約し、各地の産婦人科、小児科の医療水準を維持することを目的にしている。

 提言は、連携強化病院以外の病院が独自に医師確保を図ることを妨げないとしたが、提言に沿って医師の集約化を進めると、他病院による医師確保はさらに困難になるとみられる。同協議会でも委員から「県民の理解をどう得ていくかが課題だ」との意見が相次いだ

 提言によると、連携強化病院はある程度の医師数を確保。地域の他の病院や診療所と協力し、24時間体制で入院を必要とする2次医療や救急搬送に対応する。

 10広域圏ごとに、長野赤十字(長野市)や飯田市立(飯田市)など、産婦人科9病院、小児科10病院を指定。産婦人科は上小、大北、木曽、小児科は大北、木曽の各広域圏では選定できず、隣接医療圏と協力して医療体制を構築していくとした。長野市民(長野市)、波田総合(東筑摩郡波田町)など産婦人科25病院、小児科37病院を「連携病院」とし、連携強化病院と連携して地域医療体制を構築する。

 県立こども(安曇野市)と信大医学部付属(松本市)は「中核病院」とし、連携強化病院の機能に加え、高度な第3次救急医療や人材育成の臨床研修などを担う。

 提言は、医師の集約化、重点化により、地域によっては受診する医療施設が「限定されてしまう可能性もある」と説明。「将来の大規模な医療崩壊を防ぐための緊急避難的な措置だ」とし、県民の理解を求めた。県側は、今後、10広域圏ごとに検討会を設け、地域の実情に即した対応策を検討する-と説明した。

 産科・小児科医療対策検討会は県が昨年11月に設置。産科、小児科の2分科会での検討のほか、2回の全体会を開いて提言をまとめた。

(以下略)

(信濃毎日新聞、2007年3月29日)