ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

第4回産科問題懇談会の協議内容

2006年08月22日 | 飯田下伊那地域の産科問題

当医療圏では『産科問題懇談会』を昨年の8月に立ち上げ、当地域の周産期医療のあり方などについて定期的に協議を重ねてきました。今年8月18日に開催された第4回産科問題懇談会の協議内容が地元紙に詳しく掲載されていましたので紹介します。今回の懇談会では、当医療圏の周産期医療体制のこの1年間の歩みについての経過報告、各施設における現状報告、現時点における問題点、今後の方向性などについて、活発に協議されました。この懇談会は今後も定期的に開催され、協議内容は市民にも逐一公開されてゆく予定です。

****** 南信州新聞、2006年8月20日

産科体制 市立病院は順調 第4回産科問題懇談会 開業医は助産師不足も

地域の産婦人科医療について考える「第4回産科問題懇談会」(会長・牧野光朗飯田市長)は18日夜、飯田市大久保町の同市役所で開かれた。市町村や各種団体の代表、産婦人科医ら30人余りが集い、現状報告のほか、新生児搬送用の保育器購入や今後の産科体制について話し合った。

 懇談会に先立ち、牧野市長が「厳しい条件の下で最大限に努力し、(産科体制は)おおむね機能している」とあいさつ。担当者が「産科問題について住民の意見を聞く会」(3月)、「県議会社会衛生委員会の現地調査」(6月)、「産科問題を考えるシンポジウム」(5月)の経過を報告した。

 懇談会でははじめに、飯田市立病院が現状報告。開業医の減少で、分べん数が年間500件から1000件ベースと約2倍に増加しているものの、山崎輝行医師は「予想通り市立病院に集中しているが、正常分べんはほとんど助産師。異常分べんはもともと市立病院が対応していたので、医者の仕事がそれほど大幅に増えているわけではない。今のところ特に問題なくスムーズにできている」と順調な様子を伝えた。

 ただし、今後、許容範囲を超えて分べん件数が増えた場合には、状況に応じて、さらに、病室を増やし、医師、助産師を増員するとともに、外来は開業医に任せ、市立病院は分べんと手術に集中するなどの対応も考えているとした。

 一方、開業医からは「助産師がみつからない。各方面に働きかけているが、開業医での勤務ではいつ呼ばれるか分からないので嫌がられる。スタッフの体力がいつまでもつか...」(椎名一雄医師)と助産師不足に悩む声や、「(市立病院は)依頼したものを全て受けてくれ、恵まれていると感じる」(平岩幹夫医師)、「何かあったら受けてくれるという安心感はあるが、市立病院が新患をやめたので婦人科の外来が増え、患者の待ち時間がが増えている」(羽場啓子医師)、「どうしてもここ(松川日赤病院)という方もおり、予定日ぎりぎりに市立病院へ行くこともある」(高橋正明医師)、「市立病院の非常勤医師として登録している」(西沢春紀医師)など、市立病院との連携体制に関する声があった。

(以下略)

(南信州新聞、2006年8月20日)