先月のこと、事務所のM君が担当している特定目的会社の変更登記のお話です。
今までは紙で申請していたようですが、この時はオンライン申請することにしたらしく、申請書を作成しようとした時、はたと、「どの様式を使えばいいの?」と思ったM君は、管轄法務局に確認のお電話をしたそうです。
すると、「会社用ってヤツを使ってくださ~い♪」との御上のご指示をいただき、何社かまとめてオンライン申請をしたそうです。
ところが、何とホセイです!!
何がいけなかったかというと、“会社用”の様式じゃなくって、“会社以外の法人用”で申請書を作らなければいけなかった、ということでした。
申請書は間違っていないのにホセイ というのは何ともおかしな話じゃありませんか。
このホセイというのは、「一旦申請の取下げをして、再度正しい様式で申請書を作成しなおして申請しなさいよ!」という意味です。
もちろん、申請書を作りなおすというのも大変なんですが、問題は税金!登録免許税です!
申請を取り下げるということは、登録免許税を返してくださるワケですが、基本的には申請人、つまり、会社に戻ってしまいます。還付処理には相当な日数がかかりますので、再申請するには、代理人である私どもが何十万円かを立て替えて、さらに依頼人である会社さんから還付を受けた免許税を返してもらわなければいけません。
だいたい、間違ったことを教えてくださった(敬語)御上の方にだって非はあるんだから、何とかならないのかと思いましたが、M君が一生懸命交渉しても、剣もホロロに「ダメ~ッ!」の一点張りだったそうです。
紙の申請で取下げをする場合は、“再使用証明” という制度があり、収入印紙を貼った紙に一定の処理をしてもらうと、その登記所に限り、その紙(印紙)をもう一回使うことができることになっています。(貼り足して使うこともできます。)
が、オンラインで申請して免許税を電子納付しますと、紙がありませんので、還付を受けるしかないんです。
そこでM君、何とかならないかと思い色々調べたところ、免許税を代理人に還付できる裏技を発見しました。
私もゼンゼン知りませんでしたが(幸か不幸かそういうケースに行き当たったことがなかったモノデ・・・(ちょっと自慢!?))、法務局によってはその裏技が使えるということでした。
裏技とは?申請人(依頼人である会社)に「還付金(登録免許税)は代理人に渡してください」という内容の委任状(税務署に宛てたもの)をいただき、提出するのだそうです。
・・・と言うわけで、会社さんには事情をご説明して委任状をいただき、免許税は事務所に還付してもらえ、登記は再申請という段取りとなりました。
何で今日この話題かと申しますと、2~3日前、これが正式に先例になったからです。
【平成21年6月16日付法務省民二・民商第1440号】
やっぱりみんな困ってたんだな~・・・と思った次第です。やり方は先日とほぼ同じでした。
ここから先はオマケです。
私たち司法書士は、登録免許税の額を間違えることがあります。(まあ、人間のやることですから、お許しを!)
間違えたケースにもよりますが、これを依頼人に知られると信用にキズが付く場合もあるので、できれば依頼人に分からないよう、処理しようと思うんです。
紙申請のときの再使用証明であれば依頼人には分かりませんが、少し多かった場合(収めすぎの場合ですね。例えば、1000万円のところを1001万円印紙を貼ったとかです。)は一部の再使用というのはできませんから、還付ということになるんですね。
再使用証明された印紙は、別の事件に使っても良いのですが、1001万円を使う別の事件って、そうそうありませんし、1000万円を別途立て替えることはムリですよね~。
そんな金額で今後仕事をいただけないというのも困るので、「収めすぎた額は返してもらわなくて良いです!」と言えるかというと、それもいけません。放棄できるのは、通常1,000円までとなっているらしく、1万円だと強制的に還付されてしまいます。
黙っていても、「これって何のお金ですか?」との問い合わせが来ますから、はじめから正直にお詫びしますが、何とかならないモノでしょうかね~。
(ちなみに登録免許税が不足している場合は、代理人が追加納付をすればOKです。)
今回のようなケースは、当然依頼人に内緒にできるようなモノではありませんが、登録免許税っていうのは、代理人が立て替える場合も多いので、「もうちょっと考慮してくれてもいいじゃん!」 と思いますが、まあ、一歩前進ではあります。
オマケの方が長くなりましたでしょうか?
本日はこれにて。
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