ちゃちゃ・ざ・わぁるど

日記と言うよりは”自分の中身”の記録です。
両親の闘病・介護顛末記、やめられないマンガのお話、創作小説などなど。

少年ジャンプな日々~魔人探偵脳噛ネウロ

2010年07月10日 10時17分03秒 | コミック・アニメ
もうすでに連載も、はてまたアニメの放映もずっと前に終わっていますが・・・
だからこそ書ける、今、少々ネタバレしても。

好きな作品は数あれど・・・近年、いや、ここ数十年内に私が読んだマンガの中で、
もっとも好きな作品です。
・・・ただし連載中の「ONE PIECE」は除く。まだまだ終わりそうにないし、あれは別格。

で、今回紹介の作品・・松井優征さん作
「魔人探偵脳噛ネウロ」(まじんたんていのうがみねうろ)

(↑これはアニメ版)
初めて読んだのはまだ、ジャンプ本誌を毎週は見ていなかった数年前。
子供を連れて行った病院の待合室で暇つぶしに買ってやったのを見たとき。
もちろん連載途中で、しかも読みきり連載ではないので、そこだけ見ても何のことかわからない。
そういう場合は「わからないからいらん」作品と「わからないからわかりたい」作品がありますが、
これは間違いなく後者でした。絶対ここまでの経緯を知りたいと思わせた稀有なマンガでした。
読んだ回は、クライマックスでもなんでもなく、後から見れば敵の内情を探る的な地味なシーンだったのに。

この回です・・・。
(↑クリックで試し読みが出ます。)

この松井先生の特徴は何と言っても、何ともいえないデフォルメにあります。
魚眼レンズを使ったような場面、不可思議なカメラアングル、バランスの微妙に狂ったデッサン、
そして他の作家さんでは例をみない突拍子もない演出・・・。

「探偵」というからには、ちょっとは推理もありますが、基本推理モノではありません。
主人公のネウロ(語源はニューロン、神経細胞)は魔界からやって来た魔人。
それも、魔界でも相当の変わり者で、主食は「謎」。
犯罪者が犯行を隠すために張り巡らす「謎」が、真実を暴かれた瞬間に脳から解き放たれる、
そのエネルギーを食べて生きているのがネウロです。
魔人の正体を隠すため、父親を殺されたばかりの桂木弥子を女子高生探偵という傀儡にしたてあげ、
不気味な「魔界777ツ能力(どうぐ)」や「魔帝7ツ兵器(どうぐ)」を召喚(ローディング)して
謎を解き、犯人を「お仕置き」しながら「食事」をしていくのが基本的な流れです。
犯行がばれた犯人はそこで得意げに動機を語るのですが、その本性を表した姿がものすごい演出なのです。
グロテスクなまでに獣のような顔になったり、妖怪やモンスターのようになったり、
人間はみなその内側にバケモノを飼っているという基本コンセプトがあります。
説明のシーンになると、バックにとんでもないイメージ映像が描かれるのも特徴です。
これは実際見ていただかないと説明不可能なので、ゼヒ下のためし読みをご覧ください。

それと、キャラクターの描き方や性格描写が徹底的で容赦ありません。
ヒロインの弥子ちゃんでさえ・・・おそらくジャンプ史上もっともひどい扱いをされたヒロインです。
顔はメチャメチャに描かれるわ、ネウロに命にかかわるダークな嫌がらせは受けるわ、
おまけに超大食いの設定で、みかけは普通のかわいい女の子なのに、
食にたいするあくなき欲望を、ホテルバイキングを30分で壊滅させるシーンで表現されたり
「食い物を供えないとひどい目にあうらしい」とウワサされたり
とにかくひどい扱いを徹底的にされています。

松井先生は登場キャラを真に愛するがゆえに、
かわいいばかり、カッコイイばかりの描き方を断じてされないのではと思います。

CDブック化のあと、アニメ化もされましたが、松井先生は
犯人役の声優さんに「思い切り壊れてください」と注文したという話も伝わっています。


後半ラスボス的な恐ろしい敵キャラが出てきますが、その極悪さもハンパない。
描いてて気分が悪くならないだろうかと言うくらい、
よくもここまで徹底的な”悪”を描けるものだと感心するくらい、
とんでもない画面を読者に投げつけてきます。甘さがないというか、その点では読者に対しても一切容赦なし。
敵を倒さんとするネウロは、魔人であり、本来人間を「ウジ虫」程度にしか考えていませんが、
本当はその価値を認め、自分にはない力を持っていると尊敬もし、基本味方であると認識しています。
最後は弥子ちゃんはもちろん、かかわりあったすべての人々が複雑に関係しながら巨悪を滅ぼすのですが、
全23巻の終盤20巻あたりからは息をもつかせぬ展開で、しかも涙なくては読めないという、
読者を完璧に巻き込んで翻弄させる素晴しい結末に一気になだれ込んでいきます。

ひどい描写もグロテスクな場面もふんだんに出てくるにもかかわらず、こんなに完成度が高く、
読後感がすっきりしていて、満足の行く、納得のいく作品は少ないように思います。
とにかく、私は絶賛いたします。

また、CDブックやアニメでネウロを演じた声優の子安武人さん、
ハマリスギ、サイコー!!! 絶対ネウロはこんな声だと確信しました。
嫌味でタカビーで上から目線で傲慢な人間離れしたキャラを演じさせれば右に出る人は・・・
・・・イヤイヤイヤ!! 素晴しい演技です、ほんま!! 大ファンですよ~! 
弥子ちゃんの植田佳奈さんもぴったり、イメージどおり。
可愛いだけじゃない、普通の女の子なのに真の強さを秘めたいいキャラです。

ちなみにちゃちゃめがよく使う「イヤイヤイヤ!!」は、この弥子ちゃんの口癖がうつったものです。

ともかく・・・ネウロ、万歳!! イヤイヤイヤイヤ!!

こちら第1巻試し読み。
もひとつ。本文4頁目と8頁目の説明イメージに刮目!

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« KAIGO.介護 巻の二十五 三... | トップ | KAIGO.介護 巻の二十六 頭... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

コミック・アニメ」カテゴリの最新記事