5月20日の日経新聞に法科大学院の話題が報道されています。
「法科大学院 社会人入学者 3割切る」
「文部科学省は19日、2008年度の法科大学院(国公立計74校)の入試実施状況をまとめた。入学者総数は5397人で、前年度に比べ5.5%の減少となった。このうち社会人入学者は12.3%減と二ケタのマイナスで、入学者全体に占める割合は29.8%と初めて3割を切った。」
「文科省大学院室は『これまでの不合格者がたまってきており、社会人は競争倍率が厳しくなると判断しているのではないか。学費も安くなく、仕事を辞めてまで挑戦することに二の足を踏んでいる可能性がある』とみている。」
「当初7-8割と見込まれていた新司法試験の合格率が4割程度にとどまり、合格が難しくなっていることが不人気の理由だ。」
「文科省は・・・、法科大学院新設を多数認可した同省が、結果的に合格率の低下を招いたとの声も根強い。」
「声も根強い」じゃないでしょう。明白な事実です。
新司法試験の合格者数は、平成22年度には3000人まで増やす計画です(法務省のサイト)。昨年度(19年度)は1851人が合格しました。このブログでも話題にしています。
一方、法科大学院は文科省が設置認可し、平成19年度現在、全国で74校(国立23校、公立2校、私立49校、総定員5,825人)が認可されています(文科省のサイト)。
総定員5825人が全員司法試験を受験し、3000人が合格するとしたら、合格率は52%となります。単純な話です。分母を本年度入学者数5397人としても、合格率は56%です。当初計画では合格率7-8割だったはずです。
(なお、法科大学院卒業生は新司法試験を3回まで受けることができます。上記の合格率は、ある卒業年次の卒業生が3回の受験をし終わったときの累計合格率を意味します。従って、未修者1回目、既修者2回目である昨年度の合格率が4割台であってもおかしくありません。また司法試験は複数卒業年次の卒業生が受験しますから、分母が多くなり、司法試験合格率は、特定の卒業年次の卒業生に的を絞った累計合格率よりは低い数値となります。)
要するに、法務省は司法試験合格者を3000人と決めているのに、文科省が法科大学院の入学人数を多く認可しすぎたのです。
私は、法科大学院卒業を前提とする新司法試験は、合格率7割以上8割程度を確保すべきと思います。勉強の実を上げるのは大学院教育に期待し、司法試験は知識の最低レベルを担保する目的に特化すべきです。今の大学医学部と医師国家試験の関係と同じです。
日本が制度を真似たアメリカのロースクールもそうです。このブログで紹介した弁理士の日野真美さんの体験記から明らかです。私がした推定で、アメリカの司法試験合格率は84%にのぼります。
新司法試験の合格者数の計画(法務省)と、法科大学院の入学定員の計画(文科省)とは、いったいどのような調整を行ったのでしょうか。まさか全く調整せずに縦割り行政で決めたのではないでしょうね。
調べてみると、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)という法律があるようです。
「第六条 法務大臣及び文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院における教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならない。
2 文部科学大臣は、次に掲げる場合には、あらかじめ、その旨を法務大臣に通知するものとする。この場合において、法務大臣は、文部科学大臣に対し、必要な意見を述べることができる。
一 法科大学院に係る学校教育法第三条に規定する設置基準を定め、又はこれを改廃しようとするとき。
二 法科大学院の教育研究活動の状況についての評価を行う者の認証の基準に係る学校教育法第六十九条の四第三項に規定する細目を定め、又はこれを改廃しようとするとき。
三 学校教育法第六十九条の三第二項の規定により法科大学院の教育研究活動の状況についての評価を行う者を認証し、又は同法第六十九条の五第二項の規定によりその認証を取り消そうとするとき。
3 法務大臣は、特に必要があると認めるときは、文部科学大臣に対し、法科大学院について、学校教育法第十五条第四項の規定による報告又は資料の提出の要求、同条第一項の規定による勧告、同条第二項の規定による命令その他の必要な措置を講ずることを求めることができる。
4 文部科学大臣は、法科大学院における教育と司法試験との有機的連携を確保するため、必要があると認めるときは、法務大臣に対し、協議を求めることができる。」
文部科学大臣さんと法務大臣さん、どうかお願いしますよ。
「法科大学院 社会人入学者 3割切る」
「文部科学省は19日、2008年度の法科大学院(国公立計74校)の入試実施状況をまとめた。入学者総数は5397人で、前年度に比べ5.5%の減少となった。このうち社会人入学者は12.3%減と二ケタのマイナスで、入学者全体に占める割合は29.8%と初めて3割を切った。」
「文科省大学院室は『これまでの不合格者がたまってきており、社会人は競争倍率が厳しくなると判断しているのではないか。学費も安くなく、仕事を辞めてまで挑戦することに二の足を踏んでいる可能性がある』とみている。」
「当初7-8割と見込まれていた新司法試験の合格率が4割程度にとどまり、合格が難しくなっていることが不人気の理由だ。」
「文科省は・・・、法科大学院新設を多数認可した同省が、結果的に合格率の低下を招いたとの声も根強い。」
「声も根強い」じゃないでしょう。明白な事実です。
新司法試験の合格者数は、平成22年度には3000人まで増やす計画です(法務省のサイト)。昨年度(19年度)は1851人が合格しました。このブログでも話題にしています。
一方、法科大学院は文科省が設置認可し、平成19年度現在、全国で74校(国立23校、公立2校、私立49校、総定員5,825人)が認可されています(文科省のサイト)。
総定員5825人が全員司法試験を受験し、3000人が合格するとしたら、合格率は52%となります。単純な話です。分母を本年度入学者数5397人としても、合格率は56%です。当初計画では合格率7-8割だったはずです。
(なお、法科大学院卒業生は新司法試験を3回まで受けることができます。上記の合格率は、ある卒業年次の卒業生が3回の受験をし終わったときの累計合格率を意味します。従って、未修者1回目、既修者2回目である昨年度の合格率が4割台であってもおかしくありません。また司法試験は複数卒業年次の卒業生が受験しますから、分母が多くなり、司法試験合格率は、特定の卒業年次の卒業生に的を絞った累計合格率よりは低い数値となります。)
要するに、法務省は司法試験合格者を3000人と決めているのに、文科省が法科大学院の入学人数を多く認可しすぎたのです。
私は、法科大学院卒業を前提とする新司法試験は、合格率7割以上8割程度を確保すべきと思います。勉強の実を上げるのは大学院教育に期待し、司法試験は知識の最低レベルを担保する目的に特化すべきです。今の大学医学部と医師国家試験の関係と同じです。
日本が制度を真似たアメリカのロースクールもそうです。このブログで紹介した弁理士の日野真美さんの体験記から明らかです。私がした推定で、アメリカの司法試験合格率は84%にのぼります。
新司法試験の合格者数の計画(法務省)と、法科大学院の入学定員の計画(文科省)とは、いったいどのような調整を行ったのでしょうか。まさか全く調整せずに縦割り行政で決めたのではないでしょうね。
調べてみると、法科大学院の教育と司法試験等との連携等に関する法律(平成14年法律第139号)という法律があるようです。
「第六条 法務大臣及び文部科学大臣は、法科大学院における教育の充実及び法科大学院における教育と司法試験との有機的連携の確保を図るため、相互に協力しなければならない。
2 文部科学大臣は、次に掲げる場合には、あらかじめ、その旨を法務大臣に通知するものとする。この場合において、法務大臣は、文部科学大臣に対し、必要な意見を述べることができる。
一 法科大学院に係る学校教育法第三条に規定する設置基準を定め、又はこれを改廃しようとするとき。
二 法科大学院の教育研究活動の状況についての評価を行う者の認証の基準に係る学校教育法第六十九条の四第三項に規定する細目を定め、又はこれを改廃しようとするとき。
三 学校教育法第六十九条の三第二項の規定により法科大学院の教育研究活動の状況についての評価を行う者を認証し、又は同法第六十九条の五第二項の規定によりその認証を取り消そうとするとき。
3 法務大臣は、特に必要があると認めるときは、文部科学大臣に対し、法科大学院について、学校教育法第十五条第四項の規定による報告又は資料の提出の要求、同条第一項の規定による勧告、同条第二項の規定による命令その他の必要な措置を講ずることを求めることができる。
4 文部科学大臣は、法科大学院における教育と司法試験との有機的連携を確保するため、必要があると認めるときは、法務大臣に対し、協議を求めることができる。」
文部科学大臣さんと法務大臣さん、どうかお願いしますよ。