教団「二次元愛」

リアルワールドに見切りをつけ、二次元に生きる男の生き様 (ニコニコでは「てとろでP」)

アニメーターの給料が低い理由はいかに (上巻)

2009-04-16 00:02:27 | オタネタ全般
http://japanimation.blog72.fc2.com/
当blogでときどき引用させてもらっている↑このblogで、アニメーターの給料についての記事が載っていた。

ひらたく言うとこうだ。

『アニメーターは1日15時間働いても月収5万円がふつうだ』

わたしはアニメ業界には縁がないので事情は良くわからないが、少なくとも労働者にとって望ましくない状況なのはわかった。
それが妥当なのか不当なのかを少し考えてみたい。
わたしは完全に部外者なので見当違いのことを書くかもしれないがご了承いただきたい。
反論歓迎である。



資本主義経済では、キホン的にはモノの値段は需要と供給で決まる。
そしてモノのなかには労働力というものも含む。
今回の場合、需要とはアニメ製作会社の求人、供給とはアニメーター志願者。

アニメーターになりたい人が少なければ、アニメ製作会社は高い金はらって雇わざるを得なくなる。
アニメ製作会社の求人が少なければ、アニメーター志願者は給料が安くてもかまわないから雇って欲しいと言いだす。

で、現状はこれが一方に極端に偏っていると分析できる。
問題はこれだ。
 [1].アニメ製作会社の求人が少なすぎる
 [2].アニメーター志願者が多すぎる
まあ、ある意味あたりまえかも。
以降、これらについて別々に考えてみたい。



[1].アニメ製作会社の求人が少なすぎる

現在のアニメ業界では、とりあえず赤字でもいいから安値で地上波のTVアニメを受注し、TV放映がなされた後のグッズのライセンスやDVD販売により黒字化させるのが一般的だと思われる。
これは長年の商習慣の末にたどり着いたビジネスであろうから、たぶんそんなに超ダメダメなビジネスモデルではないと思われる。

だがアニメーターの雇用を考えた場合、これは大きなデメリットが発生する。
地上波のTVアニメでは放送できる枠に限りがあるからだ。
原因は2つある。
1つ目、地上波のTVは時間枠になっているため、放送可能な時間は有限である。
2つ目、地上波のTVは放送法や電波法などにより参入規制がなされているため、放送局の数が少ない。

1つ目はこれはどーしよーもない。
2つ目は一見すると談合や癒着のようにも見えるが、事情はそう簡単ではない。
これは周波数帯が有限の資源であるため自由な参加を認める事が困難であり、また自由化させすぎてくさった業者が横行しないようにし、なおかつ国がある程度の舵取りを行えるようにするためのものだ(話せば長くなりそうなのでこれでおしまいにする)。
つまりアニメだけの事情でどうにかなるものではない。

つまり、地上波のTVをあてにしているビジネスモデルでやっている現状では、改善のしようがない。
逆に言えば、地上波のTVをあてにしない商売を考える必要がある。

たとえばOVAで出したり2時間モノの映画仕様にする方法が考えられる。
この意味合いで最も成功しているのはジブリだ。
TV放送をあてにしないでも映画で大きな売り上げを得られ、なおかつDVDやキャラクターグッズの収入もある。

しかしこの方法はごく一部を除いて大きな成功を収めているとは言いがたい。
通には好まれども、OVAで大ヒットしたという話も稀にしか聞かないし、(ジブリを除くと)TVアニメ化していないアニメ映画を製作してヒットしたという話もまた稀だ。

ジブリ以外の一般的なアニメ製作会社のものだと、Production I.G.の攻殻機動隊がいちばんうまくいった例かもしれない。
最初に映画化し、その後でTVアニメ化やライセンシーなど別方面にも展開でき、トータルではかなりのビジネスになった。
しかし攻殻機動隊はProduction I.G.にとってはウマみのない商売だったと言われている。
なぜなら、製作請負みたいなかたちでの受注だったようで、コケたときのリスクが低いかわりに、いまみたいに爆売れしたときの儲けもほとんどなかったようだ。
(どうもProduction I.G.は「オレが作ったアニメのおかげでヒットしたのに、あいつらばっかり儲かりやがって・・・」と思っているふしがある。これはIGポート(3791)の決算説明会資料などから推測できる。)

キホン的にアニメ製作会社はアニメを作る会社なので、原作に相当するものを作るリソースを持っていないところも多い。
だから上記のような問題が発生する。
これを回避するためには、リスクを負ってアニメの製作委員会に多額の出資を行うか、ゲーム会社や出版社をグループ内に持つかしかないと思う。IGポートがマッグガーデンを囲いいれたのもそのためだし、GONZOがひところネトゲ会社といっしょだったのもそれが狙いだったのかもしれない。
どれも財務体力がないと取れない作戦なので、これはあまり良い作戦ではないかもしれない。

これからの可能性を秘めている新たな手段としては、もちろんネット配信は外せない。
どれがいいかわからないが、レンタルサーバーによる自社配信とか、GyaOのような専門サイトで配信とか、手段はいくつか考えられる。
これならば地上波のTVアニメを受注するよりもかなり安上がりに立ち上げることができるだろう。
ただ、ぼちぼちそういう配信が立ち上がりつつあるというところで、まだどうなるか未知数だ。

うまくいけば、エロゲのように場合によっては数人レベルでもアニメ配信ができるようになるかもしれない。
そうするとアニメを製作する(というか、アニメの元請になる かな?)ということに関して参入障壁が大きく下がる。
エロゲのように小規模メーカーが多数立ち上がるようになる。
ひいてはアニメ製作会社の求人が少なすぎるという問題は解決できると期待できる。



(次回は 『 [2].アニメーター志願者が多すぎる』 について)