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【レビュー】アンティーク・コイン&実物資産で手堅く運用する

2019-02-24 17:49:23 | 経済/経済/社会

https://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784844374763

アンティーク・コイン&実物資産で手堅く運用する
田中 徹郎【著】
価格 ¥1,598(本体¥1,480)
クロスメディア・マーケティング(2016/04発売)



この本、著者本人から直接もらった。

そうはいっても、我輩とこの著者とは何の利害関係もな……というか、本2冊3000円分ほどの利害関係だけ存在する。

以下、レビューといくが、その程度のゴチでヨイショ記事など書けるわけねえとはご理解いただきたい。






アンティークコインっていくらでもありそうだが、なぜこの本なのか?

たしかにいくらでもありそうな気がする。
紀伊國屋で検索しても18件ヒットする。

だいたい何年か前に急に話題になってニワカ本が粗製乱造されたおかげで、我輩にとってはインチキ臭いという印象のほうが強かった。
しかも
「株も債券も預金も不動産も全部ダメ、資産はアンティークコインに全部ぶっこむのが安全かつ確実に儲かる唯一の手段だ!」
などとあおる本が実際にあり、さきの印象は概ね正しいと言ってもいい。

ではこの本はどうなのか?

> 仮に積極運用可能なお金が1億円ほどある場合、現物資産(註:不動産, 地金, コイン, 宝石等)へ投じるお金は5000万円程度あっていいでしょう。

となっている。
決して、アンティークコインに全部ぶっこめ!などとは書いていない。

なぜか?

あとがきにかくある。

> 不動産投資はレバレッジをかけた超投資法みたいな本ばかりですし、宝石は宝石屋さんが描いた本しかありません。コイン関連の本は最近少し目にするようになりましたが、それでもあおり系のにわかコイン商が描いた、投機本の類ばかりです。
> そんなことで、多少の義務感や正義感に駆られて本書を書かせていただきました。
> 本書が少しでも皆さんのバランスのよい資産運用にお役立ていただけるなら、それに越した喜びはありません。

そのとおりだ!!!

不動産投資関連は、破産か大儲けかの2択をせまる超ヤバい投資法か、もっとひどいのではカモネギまっしぐらの買った瞬間から絶対確実に損する超々ヤバい投資法かのどちらかしかほとんど表にでてこないというくらい酷い。
不動産と違い、我輩にとってコインのほうはそれほど知識はないが、あおりまくる投機本の類ばかりと断言していいくらいさらに酷い。
宝石は採掘コストに対して中間マージンで何倍もとるくせに宝石商は常に希少性をあおりまくるので有名な業界で、さらにさらに酷い。

この本は業界にマトモな人もいるのだということを証明するだけでも存在価値があると思うのだよ。






さて個別の内容。

まず冒頭に貨幣論的な解説があり、中盤で1冊半分ほどページをさいてメインのアンティークコインの話、後ろのほうに宝石と不動産の話がある。



貨幣論的な話。

伝統的なマクロ経済論からじゃぶじゃぶマネーの経済になったあたりの話が中心となる。

自分のかかえるカモネギを増やす目的で執筆しているコイン商の書いた投機本でもたしかにそういう記述はありはする。
しかし、冒頭に書いたように
「株も債券も預金も不動産も全部ダメ、資産はアンティークコインに全部ぶっこむのが安全かつ確実に儲かる唯一の手段だ!」
などとは書いていない。
記載内容を全面的に盲信するかどうかはさておきとして、そんなに酷くはないということだ。

とはいえ、
「そんなことはどうでもいいから楽して儲かるコインを教えてください!」
という人にはそもそもこの本は向いていないので、読む前に初めから挫折していただきたい。



メインのアンティークコインの話。

楽して儲かるコインを教えてくれる本ではない。
そういう目的なら、某コイン商が売りたいコインをカタログとして提供しているような感じの本が別にあるので、そちらを買ったほうがいいだろう。

この本は、コインを投資として見た場合に業界はどう見えるのかという観点から書かれたものだ。
不動産だって、三井不動産だかどこだかにいってマンションのカタログをガッツリもらって帰って日がな一日眺めているより、金融や都市計画法の知識が身につく本を読んだほうが役に立つ。それと同じことだ。

昨今では、某コイン商が売りたいコインだけが異常にクローズアップされたおかげで、日本では特定の銘柄のコインだけが投資対象として認知されたような感ならしい。
しかしこの本は、作者の独自の分析によるコイン観からのイチオシコインなど、そういう意味でもあおり系コイン商とは一線を画す。

もしあなたがウナとライオンが欲しいと思っているならこの本は性に合わないから買わないほうがいいだろう。
逆に洗脳されたことに薄々勘付いているならむしろ読んだほうがいいだろう。



宝石の話。

宝石には全く興味はないが、さわりだけでも業界の構造についての知識が得られたのは悪くない。



不動産の話。

不動産に関しては我輩はセミプロ呼ばわりされる感じなので、我輩にとっては読んでもしかたがない。
とはいえ、バラ色の不労所得人生をあおるわけでもなく、かといって日本破滅論みたいな感じでもなく、堅実な感じだ。






追伸:

わたしの投資戦略とともに、アンティークコインの投資先について著者本人に相談したところ、自分だけでは絶対に着目しようのない銘柄を推薦された。
Webサイトのトップページにウナとライオンが出てくるような業者に相談しなくてよかったと思う今日この頃である。

Мешок(ロシアオークション)参戦記(ロシアコイン)

2019-02-17 16:08:59 | オタネタ全般
Мешокなるロシアのオークションでコインを買ってみた。
読みはミショークかな。

https://meshok.net/




Историческая серия: Окно в Европу: Деяния Петра I
歴史シリーズ:ヨーロッパへの窓:ピョートル1世の行為



このコインはだな、すごいんだよ。
スペックを書いてみよう。



額面 : 200ルーブル(340円)
品質 : プルーフ
金属, 試料 : 銀900/1000
一般的な重量 : 3342.390(±9.056)g
最低純金属含有量 : 3000.0g
直径 : 130.0(+0.45)(-0.10)mm
厚さ : 27.50(±0.50)
発行枚数 : 300
製造年月日 : 2003年1月31日
カタログ番号 : 5119-0002



で、何がすごいかっていうとだな。
純銀で3kgもありやがり、300個限定、しかも1個づつにシリアルナンバーが刻印されているのだ。

上の写真の右下に映ってるやつ、あの小さいのが500円玉ですぜ。
純銀で3kgってあんた、地金の価値だけで15万円以上しますぜ。
300個限定、この数なら、日本にあるのは我が家にあるこれ1個だけかもしれませんぜ。

詳しいことはロシア語だが以下のサイトを参照されたし。
発行元のロシア連邦中央銀行のサイトなので、いくらロシア語のサイトとはいえ危険なことはないはずだ。

Деяния Петра I | Банк России
http://cbr.ru/Bank-notes_coins/coins_base/ShowCoins/?cat_num=5119-0002



ロシアの中央銀行は日銀以上に頻繁に記念硬貨を発行している。
中には発行枚数1億枚なんてのもあり、それもう記念硬貨じゃなくてふつうに流通するヤツやんって話だが、少ないヤツは15枚とかまである。

このコインの類似品で1kgのもあるのだが、こっちは3kg品の1桁以上の種類があり、かつ発行枚数も1桁多い。
そして1kgのコインはМешокでもebayでもいくらでも売っていて、もっと小さいのだと「無数に」というくらいたくさんある。
近年のコインだと数100枚以下でないと希少価値に値段はつかないだろうと思ってこれにした。
日本には我が家にしかないなんての最高でないですか!



とはいえ。

これパチモンじゃねえの? おまえ騙されてねえ?

……と心配される方もいるかもしれないが。
その可能性はかなり低い。

なぜか?

まず第1に。
数百年以上前のアンティークコインの場合、技術の未熟さ故か、あまり精巧に作られていないので、パチモンの型も作りやすい。
比較的新しいコインは精巧すぎてパチモンには向いていない。

第2に。
このコインは1個づつにシリアルナンバーが刻印されている。
つまり1個づつ個別対応でこのシリアルナンバーの刻印まで偽造する必要があるということだ。

第3に。
コインの希少価値によって地金の何十倍にもなっているコインであれば、そりゃー偽造するインセンティブも大きかろう。
しかしこのコインはそこまで高くない。
つまり、少なくとも材料にホンモノと同じ純銀を使って偽造しようとする限りにおいて、このコインを偽造してもあんまり儲からないことを意味する。

第4に。
上の写真だとよくわからんと思われるが、このコインはヘアライン(磨き傷)があるとことで安く売られていた。
パチモン屋ならそんなことはせんだろう。

第5に。
日本のヤフオクではパチモンだらけ、一説によると半分パチモンだという。
だがロシアではパチモン専用のカテゴリが用意されている。
だからパチモンカテゴリ以外が安全だということではないが、少なくともパチモンカテゴリで流通が確認されているコインはヤバいということだ。
日本のヤフオクで買うときにもМешокのパチモンカテゴリは大いに参考になる。

第6に。
出品者が高解像度の写真を公開している。
これは大変重要なことだ。
昭和天皇御在位60年記念10万円金貨みたいなホンモノから型をおこして純金を使用した極めて精巧なパチモンを除けば、細部が何かおかしいコインは案外よくあるので、高解像度の写真どおしをにらめっこして照合してからでないと大金払うのは恐ろしい。

最大の問題は、出展者がちゃんと送ってくれるんだかどうなんだかというところだったが、まあなんとかなったのであった。







ちなみに裏面はこんな感じ。
一見ヨーロッパテイストだが、そこはかとなく武骨な感じがする。
まさにロシアという感じ。

これ買うのは大変だった。
あたりまえだが、ロシアのオークションなのでロシア語。

やりとり↓こんなんだぜ。







自分でもマジようやったと思うわ。
ロシア国内の店でないと手に入らない/手に入りにくい/やたら高額になる物はいくらでもあると思われるが、そのかわりМешокで買い物にするにはロシア必須。
ロシアは日本より英語通じないと言われている。
敷居はとてつもなく高かった。

それから、海外送金。
これもかなりめんどうだった。
Аоироさんとsayaちゃんにちょっとだけ相談にのってもらった。その節は感謝。

海外送金がすんで小包が郵便局に放り込まれる。
昨今はありがたいことにネット上から追跡できるようになっているので見てみよう。



日本の側から見るとこんな感じ。
https://www.post.japanpost.jp/int/ems/delivery/





ロシアの側から見るとこんな感じ。
https://www.pochta.ru/emspost/





5日もたってまだモスクワ近郊から出てないんかいっ!ってツッコミ入れないように。
場所代が安いロシアでは在庫を貯めて大きなバッチで処理するほうが低コストにできるのかもしれないし。
というか、冬にロシアから日本のサイトで買い物すると届くのに1か月かかると複数の証言を聞いたことがあり、1週間ちょいで届いたのは驚くべき早さといっていいだろう。

このご時世、なぜか貨物がロシアにあるときはロシアの追跡サイトのほうが情報が早く更新され、なぜか貨物が日本にあるときは日本の追跡サイトのほうが情報が早く更新される。
そんなに通信コスト高くねえだろと思うのだが、両方見ればいいのを知っていればどうということはない。







ちなみに付加価値税20%のロシア国内の店舗販売で↑こんなの見つけた。

52万ルーブル(86万円)。
高い!!!

いくらなんでもこんな値段じゃ買うヤツいねえだろ。

日本だと、銀座にある某あおり系コイン商と言われるヤツがシロウトの資産家をだまくらかしてアンティークコインを相場の倍の値段で売っているのはわりと有名な話だが、ロシアにもあおり系コイン商ってあるんですかね……?

今日こんな値段にならなくてもいいから、いつの日かこんなぐあいにプレミアがつくのをずーーーっと待っていよう。
そもそもコインとは20年かそれ以上のスパンで楽しむものである。