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シリア情勢を悪化させた米国の「IS掃討作戦」

シリア情勢を悪化させた米国の「IS掃討作戦」

ISが去っても紛争は終わっていない

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シリア情勢が複雑さを増している(写真:Bassam Khabieh/ロイター)

シリア情勢の複雑さは世界が手に負えるようなレベルをはるかに超えている。事態は急速に変化し、利害関係者の数は増え続け、戦線は絶えず移動し、すべてが泥沼と化していく。

シリアの内戦に2つの流れがはっきりと見えていたのは、わずか6カ月前にすぎない。1つは、アサド政権がロシア、イラン、イスラム教シーア派武装組織ヒズボラの支援を受けて着々と勝利への道を歩んでいたこと。

もう1つは、米軍主導の有志連合による掃討作戦を前に、過激派組織「イスラム国」(IS)の完敗が迫っていたことだ。しかし今となっては、IS掃討作戦はひいき目に見ても、犠牲が多すぎてとても勝利とはいえないような戦いだったように思える。多数の命を犠牲にしながら、紛争解決のメドはまるで立っていない。

米国の任務は膨大に

それどころか、事態は緊迫の度合いを増している。2月10日には、イスラエルがシリア南部にあるイランの軍事施設を攻撃した。国内でクルド人の分離独立問題を抱えるトルコは、国境を挟んでクルド人同士が結び付くのを防ぐためにシリア北部のアフリンへ侵攻。クルド人勢力の掃討に着手した。

一方の米国は、反体制組織シリア民主軍(SDF)の支援を得てスンニ派アラブ人兵士を組織するのに、過去6年を費やしてきた。

SDFの混成部隊はクルド人を軸とし、IS掃討作戦の前線で戦ってきた。だが、ISの掃討がほぼ終了した今、SDFはアサド政権だけでなく、同政権を後ろ盾とするロシアや、イランが操るシーア派民兵からも銃口を向けられる存在となっている。

確かに、米国がIS掃討に照準を合わせたのは間違いではなかった。だが今や米国が直面する任務は膨大なものとなっている。米国と連携して前線で戦うさまざまな協力者を見殺しにするわけにはいかず、他国、とりわけロシアとじかに衝突する危険性が高まっている。実際、米国が最近行ったシリア空爆で複数のロシア人戦闘員が死亡したもようだ。

 

 

 

 

シリアに侵攻したトルコはNATO(北大西洋条約機構)加盟国だが、米欧の同盟国は強く非難するのをためらい、トルコのエルドアン大統領に自制を促すにとどめている。

トルコは傍若無人に振る舞い続け、ロシアから最新鋭の地対空ミサイル「S400」を購入し、またもやNATO加盟国をあぜんとさせた。今後の和平プロセスの可能性をくじくような動きだ。というのも、ロシアの戦略的関心は中東をも覆っており、西側諸国がロシアに対抗するにはトルコの協力が欠かせないからだ。

オバマとトランプの功罪

未来の歴史家はISを徹底的に追い詰めたことについて、オバマ、トランプの両米大統領を称賛するだろう。だが、この戦争が持つ、より大きな意味合いを理解しなかった点で両人は非難されよう。

2011年にシリアのアサド大統領に退陣を求めたとき、オバマ政権に先の展開が見えていなかったのははっきりしている。同年7月、シリア駐在のフォード米大使はシリア中部の町ハマを訪れた。1982年にアサド大統領の父が住民を虐殺した場所だ。

米国務省によれば、訪問の目的は「平和的に意見表明するという、シリア国民の権利に対し強い支持を表明する」ことにあった。だが、民衆が立ち上がれば、父親がかつてそうしたようにアサド大統領は暴力で応じてくる。そのことをオバマ政権は本当に予見できなかったのか。

7年前に反アサドのスタンスを取ったとき、米国はトルコやロシア、イラン、イスラエルなど他陣営の思惑は無視して自らの国益を主張していた。だが、事ここに至って米国がどっちつかずの状況に陥る中、米ロ代理戦争の危険性が極めてリアルに立ち現れている。

トランプ政権にリーダーシップを発揮するつもりがあるのなら、まずは関係する各勢力の利益を理解し、和解の可能性を探るところから着手すべきだ。しかし、各勢力が何を望んでいるかを聞く前にトランプ政権は自問せねばならない。シリアが急速に混迷を深めていく中で米国が拠って立つ足場とは何なのか、と。

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イスラエル、3カ国で相次ぎ攻撃、イランとの“影の戦争”激化

中東を読み解く

2019年8月27日

»著者プロフィール

 イランの同盟国であるイラク、シリア、レバノンの3カ国がこの数日、相次いで無人機やミサイルによる攻撃を受けた。イスラエルがイランとの“影の戦争”を激化させていると見られている。レバノンのシーア派武装組織ヒズボラの指導者ナスララ師が報復を誓うなど中東情勢は新たな緊張に包まれている。

(Eblis/gettyimages)

「やられる前に殺せ」

 激化したのは8月24日のシリア攻撃からだ。ダマスカス南東アクラバにあるシリア駐留のイラン革命防衛隊の拠点がミサイル攻撃を受け、人権監視団体によると、少なくとも5人が死亡した。死者の中に、革命防衛隊員1人とヒズボラの戦闘員2人が含まれているという。

 イスラエル軍は一連の攻撃の中で唯一、このシリア攻撃についてのみ認める声明を発表、「革命防衛隊のコッズ隊とシーア派民兵組織のテロリストの標的を攻撃した。彼らがイスラエルに“自爆ドローン”の攻撃を仕掛けようとしていたからだ」と明らかにした。コッズ隊は革命防衛隊の中で海外戦略を担うエリート部隊。神出鬼没と知られるソレイマニ将軍に率いられている。

 この直後の25日未明。今度はレバノン・ベイルートの南郊にあるヒズボラの事務所近くで無人機1機が墜落、続いてもう1機が爆発した。この攻撃でヒズボラのメディアセンターの一部が破壊された。同じ日にイラク西部アンバル州でも、イラン支援のシーア派民兵組織「カタエブ・ヒズボラ」の拠点が無人機による攻撃を受け、指揮官ら2人が死亡した。

 この一連の攻撃に先立って7月から、イラクの4カ所でシーア派民兵組織の武器庫などが標的になる攻撃が発生しており、これもイスラエルの攻撃と見られている。イスラエルのネタニヤフ首相は明確には認めなかったものの、「イランはどこにいても隠れることはできない。必要な時はいつでも、彼らに対して行動を起こす」と述べ、イラン関連施設を狙った攻撃であることを示唆した。

 同首相はその後のツイッターでも「イスラエルを抹殺しようとする奴らがいれば、やられる前に彼らを殺せ」と先制攻撃の必要性を強調した。イスラエルはこれまで、シリア駐留のイラン革命防衛隊やヒズボラなどの拠点を再三攻撃してきたが、イラクまで手を伸ばし始めたことは注目に値する。

 イスラエルによるイラク攻撃は1981年以来初めてであり、イスラエルの行動がいかに一線を超えたものであるかが分かる。戦線を拡大しても、イランの脅威の芽を徹底的に摘み取るという断固とした決意の表れともいえるだろう。だが、こうしたイスラエルの強硬方針はペルシャ湾で米国とイランが対決を激化させる中、中東情勢を一段と不安定なものにするのは必至だ。

 

 

 

報復誓うヒズボラ

 今後はとりわけヒズボラの動きが焦点だ。強硬なアジテイターとしても知られるヒズボラの指導者ナスララ師がベイルートのメディアセンターが攻撃を受けた25日夜、ベカー平原で演説、イスラエルによる攻撃だと非難するとともに、レバノンからイスラエルに報復すると警告したからだ。

 同師は緊張する現状について、イスラエルによって作られた“新たな段階”と指摘、「レバノンとの国境に配備されているイスラエル軍に通告する。今夜からわれわれに備えて待っていろ」と恫喝した。イスラエル国民に対しても、ヒズボラが侵略を見過ごすほど寛容ではないなどと強調した。

 ベイルートの情報筋によると、ヒズボラはイランの意を受けて、シリアの内戦でアサド政権支援のため、最盛期には2万人の戦闘員をシリアに送り込んだ。しかし、戦死者も数千人に上ったうえ、アサド政権が内戦の勝利を確定的にしたことなどから一部が撤収、シリア派遣部隊は現在、8000人程度にまで減っていると見られている。

 だが、ヒズボラはシリア内戦の実戦で戦闘力を一段と高めたといわれており、イスラエルにとっては大きな脅威だ。シリアに拠点を築いたヒズボラはシリア、レバノン双方からイスラエルに攻撃を仕掛けることが可能になっており、戦争になれば、イスラエルは2正面作戦を強いられることになるだろう。

 イスラエルがこうした対外的な攻撃に出ている一方で、パレスチナ自治区ガザからも先週末、3発のロケット弾がイスラエルに向け発射され、うち1発が高速道路近くに着弾、この報復としてイスラエル軍機がガザのイスラム過激派組織ハマスの拠点などを空爆した。

 イスラエルでは9月17日にやり直し総選挙が実施される予定だが、選挙に向けて周辺国やハマスに対する攻撃が一段と激化する恐れがある。ネタニヤフ首相が敵対勢力から国家を防衛するという強硬姿勢を示すことで、選挙を有利に運ぼうとしかねないからだ。「そうした火遊びが大戦争を招くかもしれない」(ベイルート筋)。米国とイランが対決するペルシャ湾だけではなく、イスラエルを取り巻く状況も緊迫の度を強めてきた。

 

 

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中東の台風の目となりつつあるヒズボラ

 

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世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2019年9月4日

»著者プロフィール
 

 ヒズボラは1980年代にシーア派の原理主義的組織として発足したものだが、近年、レバノンのスンニ派やキリスト教グループへの影響力を拡大しているようである。フリーランスのジャーナリストMichal Kranzは、Foreign Policy誌(電子版)に8月9日付で掲載された論説‘Hezbollah’s Rainbow Coalition’で、次のように指摘する。

(Bumblee_Dee/flyingv43/iStock/Getty Images Plus)

・ヒズボラは、レバノンのあらゆるグループの不満に付け込むことに成功しており、かつてないほどキリスト教徒、スンニ派、ドゥルーズ派への影響力を強めている。

・ヒズボラが議会で非シーア派グループへの影響力を大きく増大させたのは2018年5月の議会選挙においてであった。ヒズボラグループが議席を増やしたのみならず、同盟関係にある「自由愛国運動」がレバノンのキリスト教政党で最も強力となった。その上、親ヒズボラのスンニ派議員6名が当選し、サード・ハリリ首相が率いる、従来支配的だった反ヒズボラ、スンニ派党である「未来運動」は議席の3分の1を失った。

・レバノンのキリスト教徒はスンニ派よりはるかに多くヒズボラを受け入れている。ヒズボラとキリスト教徒の提携は、ISへの対処、シリアの避難民の返還問題での立場が同じことでさらに強化されている。

・ヒズボラは レバノンの少数グループの擁護者との評価を高めている。資金供与が特にスンニ派に対するヒズボラの影響の拡大に重要な役割を果たして来た。

・将来のことは分からないが、ヒズボラが非シーア派グループを優先していることは明らかである。ヒズボラはその成功のおかげで、ヒズボラの出自がシーア派であることに極力言及せず、レバノン全体の将来を語ることができている。

・好むと好まざるとに関わらず、ヒズボラがレバノンを支配しているのは周知の事実である。

 ヒズボラは2つの顔を持っている。一つは過激なシーア派の軍事勢力であり、もう一つはレバノンの有力政党としての政治勢力である。

 前者の側面については、ヒズボラは特にイスラエルと対決してきた。そもそもヒズボラが生まれたのはレバノン内戦の最中の1982年、レバノンにおけるイスラエル軍の軍事作戦への抵抗を契機としたもので、その後もイスラエルとは何回も戦火を交えている。その他に中東各地でテロ活動を行ってきており、米、EU、豪州、イスラエル、エジプトなどはヒズボラの全体または一部をテロ組織に認定している。日本の公安調査庁は、ヒズボラを注目される国際テロ組織の一つにあげている。

 他方、政治勢力としては、ヒズボラは以前からレバノンの議会に議席を持っていたが、2018年5月の総選挙で自身議席数を増やしたのみならず、同盟関係にあるキリスト教多数派政党の「自由愛国運動」が最大のキリスト教政党となり、また親ヒズボラのスンニ派議員6名が当選し、ヒズボラグループは議会で最有力のグループとなった。難航の末2019年1月31日ようやく成立した新内閣では、ヒズボラは貿易担当国務大臣の他に、保健大臣、青年・スポーツ大臣、議会担当大臣のポストを占めている。

 ヒズボラが政治勢力として拡大したのは、イスラム主義の背景を弱め、キリスト教徒、スンニ派、ドゥルーズ派への影響力を強めた結果だという。今やヒズボラはレバノンでれっきとした有力政党である。これはヒズボラを支援するイランにとっても好都合である。イランはイランから、イラク、シリアを通ってレバノンに至るいわゆるシーア派三日月地帯の形成、強化を図っており、レバノンは枢要な地位を占めている。そのレバノンでヒズボラが国民の支持を広く受けた存在であることは、シーア派三日月地帯を強化するものとなっている。米国やイスラエルにとってシーア派三日月地帯は手ごわい存在になったと言うべきだろう。

 米国やイスラエルはヒズボラの2つの顔のうち、軍事勢力としてのヒズボラを重視し、制裁を含め厳しい姿勢で対処し続けるだろう。しかし、レバノンにおける政治勢力としてのヒズボラを無視することはできない。レバノンという国に対処する場合には、ヒズボラの存在と影響力を考慮に入れざるを得ないだろう。

  
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204 転:あと数年の安逸

204 転:あと数年の安逸

2019/8/15(木)15:28 - 管理人(上領達之) - 107.96.178.217.static.user.transix.jp - 39 hit(s)

 

 今日は日本の「敗戦記念日」です。この転載記事は久々の「有料版」ですけれど、この掲示板が「教育手段」であることを理由に使わせてもらうことに(勝手に)決めました。目先の利く「機敏な中国人」の真似ができる方はこの機会に大いに「ぼろ儲け」してください。
-------------------------------------------------------------------------------------------------
田中宇の国際ニュース解説 会員版(田中宇プラス) 2019年8月14日 http://tanakanews.com/ 
――――――――――――――――――
★ブレトンウッズ、一帯一路、金本位制
――――――――――――――――――
7月17日、米国ワシントンDCの世界銀行で開かれた「ブレトンウッズ会議75周年」の会合に参加したフランスのルメール財務相が「ブレトンウッズ体制は、もう限界にきている。体制を改革して国際金融秩序を立て直さないと、この体制は正統性を失って消えていき、代わりに(中国が主導する)一帯一路・新シルクロードが新たな世界体制になってしまう」と表明した。
http://www.reuters.com/article/us-g7-economy-france/reinvent-international-monetary-order-or-face-chinese-dominance-france-idUSKCN1UB2MZ Reinvent international monetary order or face Chinese dominance: France
http://www.dw.com/en/bretton-woods-at-75-has-the-system-reached-its-limits/a-49687599 Bretton Woods at 75: Has the system reached its limits?

ルメールの発言は、2つの意味で興味深い。一つは、国際金融システムが現時点ですでに08年のリーマン危機後と同種の危険な状態になっていることをフランスが認めたことだ。もう一つは、ブレトンウッズと一帯一路が同列に並べられている点だ。ブレトンウッズは世界的な通貨体制で、一帯一路はユーラシア大陸のインフラ整備事業であり、両者は分野が異なっていると考えるのが常識論だが、実はそうでなく、一帯一路(中国のユーラシア地域覇権)には通貨体制も含まれているということを、フランス財務相が示唆したと考えられる。
http://www.zerohedge./news/2019-07-27/bretton-woods-dead-what-next Bretton Woods Is Dead: What Next?

「ブレトンウッズ体制が限界に達し、急いで改革する必要がある」という宣言は、今回初めて発せられたものでない。08年のリーマン危機で米国中心の国際金融システムの根幹に位置する債券金融市場が凍結し、なかなか蘇生しなかったとき、当時のフランスのサルコジ大統領や、ロシアのメドベージェフ大統領によって初めて発せられた。それを受けるかたちで米ブッシュ政権が呼びかけてG20サミットが創設され、IMF世銀もG20の傘下に移行することになった。G20とIMFがブレトンウッズ体制の改革を検討し、ドルだけが単独で国際基軸通貨である既存のブレトンウッズ体制をあらため、IMFのSDR(特別引出権)を活用し、ユーロや人民元、円、金地金なども加えた諸通貨を加重平均した多極型の新たな国際基軸通貨体制に移行する案を出した。国際社会(先進諸国)の経済政策の最高意志決定機関がG7からG20に交代することも発表された。今回ルメール仏財務相が指摘した「早くやるべきブレトンウッズ体制の改革・再発明」は、すでに11年前の08年から決まっていることだ。
http://tanakanews.com/090929G20.htm G8からG20への交代
http://tanakanews.com/091006G20.htm G20は世界政府になる

ブレトンウッズの多極型への改定が予定通りに進まなかったのは、米国の連銀(FRB)や金融界がドルの単独覇権(基軸通貨制)を守りたがり、ドルを増刷して債券を買い支え、凍結状態の債券市場があたかも蘇生しているかのような状況を作り出し、ドルと債券金融システムを延命させてきたからだ。15年からは対米従属の日欧中銀がQEを肩代わりしてきたが、今年に入っていよいよそれも限界になり、金融システムの水面下の行き詰まりがひどくなっている。かつて米国の覇権運営の稚拙さを批判したドゴールの伝統を継ぐフランスは、早く通貨体制を改革せよと米国に警告を発した。
http://tanakanews.com/110216dollar.php きたるべきドル崩壊とG20

私が見るところ、この警告はもう手遅れだ。10年あまりのQEは、米国中心(米欧日)の金融バブルを思い切り膨張させており、もうこの巨大なバブルをうまく縮小させて軟着陸するのは不可能だ。ルメール仏財務相の警告の後、米連銀がトランプの圧力を受けて7月31日に利下げに踏み切ったが、これを機に米中心の国際金融システムの不安定さが増している。米連銀は、バブルの縮小でなく、逆にバブルを急増させて金融システムを延命させるQEの再開に向かっている。JPモルガンなど米金融界の主流派が、ドルが基軸性を喪失しそうだとか、年末までに連銀がQEを再開すると予測し始めた。米国がQEを再開したら、もう軟着陸もシステム改革も不可能になり、あとは米欧日の中銀群の全体が限界までQEを続け、限界がきてQEを続けられなくなった時点で金融システムが崩壊する。
http://www.zerohedge.com/news/2019-07-23/jpmorgan-we-believe-dollar-could-lose-its-status-worlds-reserve-currency JPMorgan: We Believe The Dollar Could Lose Its Status As World's Reserve Currency
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-01/quants-warn-lehman-market-crash-conditions-september Quants Warn Of "Lehman-Like" Market Crash Conditions In September

米欧日の金融システムの全崩壊は不可避だと考えられ、ドルだけでなく円やユーロの通貨と金融システムも、これまでのQEのツケが出る形で大打撃を受けるだろう。今はまだ何とかうまく回っているので、米欧日の金融全体の崩壊など想像もつかない。金融が崩壊する国債金利が高騰するが、今の流れは日欧のゼロ金利状態に米国が合流していく金利低下局面であり、金融崩壊とは逆の方向だ。株価は、みんなバブルだと気づき始めているものの、史上最高の水準だ。
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-06/nomura-we-are-headed-second-lehman-shock-selloff Nomura: We Are Headed For A Second "Lehman-Like Shock" Selloff

しかしその一方で、今のようななりふりかまわぬバブル膨張は、長く続けられないのも確かだ。リーマン危機など、これまでのバブル崩壊の多くは、金融相場が最高値になった直後に起きている。「人々がバブルだと気づきだした最高値の水準」がもっとも危険だとすら言える。米連銀がゼロ金利やQE再開に向かい出したら、そのあとの延命的なバブル膨張は、数年ぐらいで限界に達する。今から数年後には、大きな金融危機になる。
http://www.wsj.com/articles/u-s-mortgage-debt-hits-record-eclipsing-2008-peak-11565708431 U.S. Mortgage Debt Hits Record, Eclipsing 2008 Peak

株や債券の売買の大半(米国株の8割)は、個人や企業の投資家が一回一回の人間としての判断を下して売買しているのでなく、プログラムに沿ってコンピューターが自動的に売買している。プログラムは全体として、できるだけ安定的にバブルを膨張させる方向に組まれている。予定通りの展開が続く限り相場が上がり続けるが、何かの拍子にうまくいかなくなると大崩壊する。どんな風に展開するか、まだ予測ができないが、仏財務相が警告した「ブレトンウッズ体制が消失して一帯一路に取って代わられる」事態になる。

http://www.investmentwatchblog.com/80-of-the-stock-market-is-now-on-autopilot/ 80% of the stock market is now on autopilot
http://tanakanews.com/081017brettonwoods.htm 「ブレトンウッズ2」の新世界秩序

ここで今日の2番目のポイントに入る。一帯一路は、ブレトンウッズの代わりになりうるものなのか。表向き言われているような単なる国際インフラ整備事業を超えた、基軸通貨とか覇権の事業なのか。中国政府自身は「中国は覇権国家にならない」「一帯一路は覇権事業でない」と言い続けている。だがその一方で、中国政府は人民元の国際化を急ぎ、人民元を一帯一路の地域内の貿易決済通貨・基軸通貨にしていく過程にある。中国は、覇権事業をやらないと言いつつ、実は覇事業をやっている。一帯一路は、中国をユーラシア大陸の(ロシアと並ぶ)地域覇権国にするための事業である。
http://tanakanews.com/100223china.htm 済覇権としての中国

ドルが基軸通貨の地位を失い、人民元にとって代わられるなら、元ドル為替は最終的に元高ドル安が進むはずだ。だが今の流れは逆で、中国政府はトランプにかけられた懲罰的な対米輸出関税に対抗するため、人民元の対ドル為替を1ドル=7元の米中談合値を割って元安ドル高にしている。その報復に、米政府は中国を「為替を不正操作している国」として指定した。今の流れだと、トランプは来秋の選挙後まで経済問題で中国に厳しい態度をとり続け、貿易戦争が続き、人民元の対ドル安も続く(トランプは中国に厳しい態度をとるほど人気が出る)。
http://www.washingtonpost.com/podcasts/post-reports/why-china-is-playing-the-long-game-in-its-trade-battle-with-the-us/ Why China is playing the long game in its trade battle with the U.S.
http://www.ft.com/content/fbf430a6-b998-11e9-8a88-aa6628ac896c China’s new renminbi level set to pressure Asia currencies

しかも中国は、金融崩壊の傾向が続いている。今年に入って3つの中小銀行が経営破綻して国有化された。先日3行目の山東省の恒豊銀行が行き詰ったときには、銀行間の相互不信が急増し、銀行間の融資市場(レポ市場)が凍結状態になった。米国より先に中国が金融崩壊するという指摘は、マスコミがよく書いている。
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-11/chinese-banks-no-longer-trust-one-another-repo-rates-skyrocket Chinese Banks No Longer Trust One Another As Repo Rates Skyrocket
http://www.bloomberg.com/news/articles/2019-08-09/china-to-buy-stake-in-another-troubled-regional-bank-report China to Buy Stake in Another Troubled Regional Bank: Report

だが、中国の金融崩壊は、中国政府が意図的にやっているバブル潰し政策の結果だ。リーマン危機後、米欧日がQEなどバブル再膨張の道に入ったのと対照的に、中国はバブル膨張を積極的に阻止する策を続け、その結果、株価が下落し、金融機関が破綻してきた。中国政府は、きたるべき米国発の世界的な金融危機の発生時に巻き添えにならぬよう、先に予防的にバブルを潰している。先にバブル潰しをやっている中国は、QEで「永遠のバブル膨張」の中毒にはまってしまっている米欧日よりも健全な状態にある。
http://tanakanews.com/170531china.php 中国の意図的なバブル崩壊
http://tanakanews.com/160516china.php 金融バブルと闘う習近平

米欧日がいずれ崩壊する巨大なバブル状態にあることを認めたがらないマスコミや「金融専門家」は、中国の金融危機だけ喧伝するので、状況が歪曲されている。「米欧日が金融崩壊し、生き残った中国がその後の国際通貨体制で大きな役割を占める」と予測している私などは「中国の犬の妄想」と思われたりする。だが、妄想を信じ込まされているのは米欧日のマスコミだけ見ている人々の方だ。
http://tanakanews.com/190510china.htm 世界経済を米中に2分し中国側を勝たせる
http://tanakanews.com/180805japan.htm 米国の破綻は不可避

香港で動乱が起きており、中国軍が香港市民のデモ隊を弾圧して1989年の天安門事件的な展開になり、国際社会が中国による人権侵害を非難して経済制裁し、中国が経済難に陥っていく、という展開が語られている。たしかに、習近平は中国軍を香港に派兵しようとしており、これから天安門事件的な弾圧をやりそうだ。だがそうなった場合、予測されるのは、米国やEUなどが中国を経済制裁しても意外と多くの国々が同調せず静観する展開だ。30年前の天安門事件と比較して、中国の国際影響力の拡大と、米国(欧米)の影響力の低下が露呈することになる。
http://www.zerohedge.com/news/2019-07-31/china-accuses-us-orchestrating-hong-kong-protests China Accuses US Of Orchestrating Hong Kong Protests

最近は中国傘下の香港だけでなく、ロシアの首都モスクワでも反政府デモが激しくなっている。中国とロシアの政府は、米国(米英)の諜報機関が反政府デモの黒幕だと批判している。米英諜報界は、大昔から香港やモスクワに持っている市民運動扇動の諜報ツールを使って反政府運動を煽り、米国への批判を強める中国とロシアの政権転覆を画策する「カラー革命」をやろうとしている。英国が香港を中国に返還する際に扇動網を仕掛けたと考えるのは自然だし、モスクワの反政府デモの黒幕が英米諜報界というのも昔から知られていた。今回は、米英諜報界(軍産複合体)がトランプらから攻撃され弱体化する一方、中露の国際影響力が強まるなかで「軍産の最後っ屁」的なものとして、香港やモスクワでの反政府デモが拡大している。
http://www.rt.com/news/466349-hong-kong-color-revolution/ ‘World is watching’: US reaction points to Hong Kong as a ‘color revolution’

中露の国際台頭ぶりから考えて、中露政府がデモ隊を弾圧しても、国際社会から大して非難されない。むしろ、中露の反政府デモの黒幕が米英諜報界だったことが暴露され、香港やモスクワに米英諜報界が持っていた扇動ネットワークが破壊・取り締まられ、軍産の影響力の低下に拍車がかかって終わる。軍産の敵であるトランプは、自分の傘下の諜報界がトランプの許可を受けずに香港やモスクワの反政府デモを扇動するのを黙認しているようだが、その理由は、中露の政府が軍産系の米英諜報界のネットワークを潰せるようにしてやる隠れ多極主義戦略のためだ。香港とモスクワの反政府運動は先週あたりから、デモ行進で米国旗を掲げ、米国歌を歌うようになっているが、これは反政府デモの黒幕が米国であることを示唆させるトランプ側からのお茶目な策略であると感じられる。軍産・諜報界にはトランプ側の要員も入り込んでおり、彼らが軍産に自滅的な策をとらせている。
http://www.hideoutnow.com/2019/08/hong-kong-protesters-wave-american-flag.html Hong Kong protesters wave American flag, sing national anthem
http://news.antiwar.com/2019/08/12/russia-and-china-us-must-stop-promoting-protests-in-our-countries/ Russia and China: US Must Stop Promoting Protests in Our Countries

そんなこんなで、香港やモスクワでの反政府デモは、中露の国際政治力を阻害しない。むしろ増長させる。いずれ起きる大転換の基本構造は、中国やロシアが米国を押し倒す覇権争奪でなく、米国が金融崩壊によって自滅し、その穴埋めとして中国など非米型・多極型の覇権構造が立ち上がってくる流れだ。しかし、米国(トランプ)が、中露との敵対を扇動するほど、中露は、以前より格段に押し倒しやすくなっている米国の覇権を押し倒すのが手っ取り早いと考える傾向をつよめる。中国共産党の上層部にはトウ小平以来、米国との対立を嫌うリベラル派が強く、米国との対立をいとわない習近平を批判してきたが、トランプが米国の覇権を自滅させつつ中国敵視を強めるほど、リベラル派でさえもが、米国を押し倒して覇権をもらえば良いと考えるようになる。
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-01/watch-out-america-china-russia-are-coming-after-dollar "Watch Out America" - China & Russia Are Coming After The Dollar

中国だけで世界覇権を運営するのは国力が足りない。そこで、ロシアやインド、BRICS、イランなど非米的な他の諸大国と組んで多極型の覇権体制にするのが良いという話になる。今はまだ米国覇権体制が強いので、米国への従属を好む国が多いが、いずれ米国が金融崩壊していくと、EUやブラジルなど多くの国が非米色を強め(というより対米従属が無意味になって)多極型の覇権に参加していく。日本も、韓国とはこれ見よがしに大喧嘩するくせに(=目くらまし)、中国とは目立たないように仲良くしている。8月10日に軽井沢で行われた日中の7年ぶりの外務次官会談(戦略対話)でのラブラブぶりが象徴的だ。もう日本の「傀儡系」の人々は誰も中国を批判しない。
http://www.scmp.com/news/china/diplomacy/article/3022296/china-and-japan-vow-build-ties-new-era-strategic-talks-resume China and Japan vow to build ties for ‘new era’ as strategic talks resume

先進諸国は、バブル膨張する金融からのトリックル(したたり落ち)で経済成長している。非米諸国(新興諸国、発展途上諸国)は、製造業やインフラ整備など実体経済で成長している。金融バブルが維持されている限り、先進諸国は成長できるが、バブルの大崩壊後は、中国など非米諸国の実体経済が世界経済の牽引役になる。米欧日のバブル崩壊後、再びG20やIMFでブレトンウッズ体制に代わる国際通貨体制の作り直しが検討されるだろうが、それを隠然と主導するのは中国だ。終わりゆく覇権国の米国は、新たな体制作りに目立たない形で協力する。これらの転換を端的に表現すると「ブレトンウッズ体制(米国覇権)が崩れて一帯一路(中国主導の多極型)に代わられる」になる。
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-04/could-us-be-gearing-return-gold-standard Could The US Be Gearing Up For A Return To The Gold Standard?

これからの新たな基軸通貨体制で重要な役割を果たしそうなのが金地金だ。もともとブレトンウッズ体制も金本位制だった。単独覇権派と隠れ多極派の長い暗闘である米上層部では戦後、多極派がドルを過剰発行して金本位制を行き詰まらせ、1971年にニクソンが金ドル交換停止をやって米覇権を自滅させようとしたが、単独覇権派はこれを逆手にとって、ドルを金地金から切り離して無限大に発行できる現行の債券金融システムに作り替えるとともに金地金の価格を抑圧し、ドルを延命させた。金融崩壊を防ぐため、この延命策は目立たないように行われ、表向きブレトンウッズ体制は継続し、金地金だけが通貨であると定めた米国憲法も改定しなかった。ドルと金地金のつながりが失われたのに、その意味が公式に議論されることはなく、代わりに「金本位制など古くさい」「金地金は利子も生まない時代遅れで野蛮な資産だ」といった言説がマスコミで流布され続けた。これは価値の歪曲であり、詐欺的・ネズミ構的なプロパガンダの構図だ。ニクソンショック後、ドルの覇権は金本位制から「プロパガンダ本位制」(=詐欺)に取って代わられた。
http://tanakanews.com/150426gold.php 人民元、金地金と多極化
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-12/doug-casey-why-gold-best-money Doug Casey On Why Gold Is The Best Money
http://tanakanews.com/150314gold.php 金本位制の基軸通貨をめざす中国

ニクソンショック以来、プロパガンダ本位制に基づくバブル膨張が50年近く続いてきたが、いよいよそれも行き詰まり、体制の限界の到来が指摘されている。ドルの覇権が円滑に別の新体制に移行するのでなく、これからドルの覇権がいったん自滅して大混乱になる。人々は、ドルにも米国債にも頼れなくなり、金融的な価値の大黒柱として他のツールを探すようになる(すでになっている)。他のツールとして存在しているのは、野蛮で時代遅れなはずの金地金しかない。それで、ドルや米国債への潜在不信が強まるほど、金地金への需要が増大し、先物を使って相場を押し下げようとする金融界の圧力を超えて金相場が上昇する。予測されている米連銀のQE再開は、連銀がバブル膨張の維持を優先してドルが覇権維持の努力をやめることを意味するので、金相場を上昇させている。
http://www.zerohedge.com/news/2019-08-08/golds-surge-message-central-banks-are-out-control-not-inflation Gold's Surge Is A Message: Central Banks Are Out Of Control, Not Inflation
http://www.zerohedge.com/news/2019-07-21/why-powell-fears-gold-standard Why Powell Fears A Gold Standard

以前の上値限界値だった1オンス1350ドルを6月20日に突破してからの金場の上昇ぶりを見ると、相場が需給関係のみに依拠して自然に上がっているのでなく、管理された上昇をしていると感じられる。下値の限界が設定され、限界値を超えて相場を下げようとする動きを防いでいる。下限を下回って大幅に売られても、すぐに下限の上まで戻る。しかも、中国市場が開く日本時間の午前10時に大きな動きがあることが多い。どうも中国政府が金相場を管理しているように思える。いきなり急騰させるのでなく、ゆっくり上昇させていきたい感じだ。下値の限界を設定することで、人々が以前のような暴落を恐れずに金地金に投できるようにして、金地金に対する需要を増やそうとしている観がある。機敏な中国人は金先物を買い、下限以下に急落したら買いを入れてぼろ儲けし始めている。
http://tanakanews.com/190627gold.php 金相場抑圧の終わり
http://tanakanews.com/190810dollar.php トランプのドル潰し

すでに書いたように、ドルや米国債など米欧日の金融システム(米国覇権)がバブル崩壊すると、その後の人類の金融的な価値の大黒柱(の一つ)が金地金になる。その金地金の世界的な価格管理を中国が担当していくとしたら、それは中国が米国に代わる金融覇権国になることを意味しうる。米覇権崩壊後の世界の金融システムは、純然たるガチガチの金本位制でなく、金本位制をイメージ的に意識した多極型のSDR的な通貨バスケット制になりそうだ。新体制は、現体制のプロパガンダ本位制の便利な点を継承する。新体制を管理する正式な役割はG20とその傘下のIMFが担うのだろうが、G20の隠然とした主導役として中国がいる形になるのだろう。中国は今後も「うちは覇権国でない」と言いながら覇権を運営する。
http://tanakanews.com/190705dollar.php ドルを破壊するトランプたち
http://tanakanews.com/180718goldchina.php 金相場の引き下げ役を代行する中国

今はまだドルの崩壊感が薄いので、ドル崩壊後の世界がどんなものになるか描きにくい。今回の分析も執筆に何日もかかった挙句、仮説にすぎない。だが、ドル崩壊後の世界がどうなるかを考えながら国際情勢を見ていくことが重要になっている。先々の展開を洞察・想像的に考えずに今の動きを見ても、大事なことはわからない。陰謀論とか妄想とか中国の犬と中傷されてもよい。中傷する人の方が、思考が浅薄であることを露呈している。
http://tanakanews.com/161106trump.php トランプが勝ち「新ヤルタ体制」に

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http://tanakanews.com/190814gold.php 

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崩れない911公式論


崩れない911公式論
2019年8月23日   田中 宇

 


2018年(昨年)4月、911事件に関する米政府の判断に疑問を持つ米国の弁護士たちで作る「911調査弁護士会(Lawyers' Committee for 9/11 Inquiry)」が、911事件現場であるニューヨーク市の検察に対し、「911事件で倒壊した世界貿易センタービル(WTC)は、米政府の公式論のような、ハイジャックされた飛行機の衝突で倒壊したのでなく(ジェット燃料の燃焼温度ではビルの鉄骨が溶けない)、あらかじめビル内に仕掛けられた、ビル制御崩壊(高層ビル解体工事)用の高性能爆弾の爆発によって倒壊したと考えられるいくつもの証拠がある。倒壊現場から高性能爆弾に特有の物質が見つかっているし、当日の消防士らの証言や、WTCの倒壊を撮影した動画の分析などが証拠だ。誰が何のために高性能爆弾をWTC内部に仕掛けて爆発させて多くの人々を殺したのか、米政府がなぜ間違った結論に固執しているのか、米検察は再捜査すべきだ」という趣旨の請求書を出した。 (Lawyers' Committee for 9/11 Inquiry) (9/11: Finally the Truth Comes Out? Jan 4, 2019)

これまで何度か書いてきたように、2001年9月11日に起きた911「テロ」事件に対する米政府の公式な結論は、いくつもの点で不合理で、その不合理さの一つが、911調査弁護士会が指摘した「WTCの倒壊はどう見ても爆弾による制御崩壊」ということだ。この指摘はすでに911事件の当日、米軍系の研究所の制御崩壊の専門家であるバン・ロメロ(Van Romero。当時ニューメキシコ鉱業技術研究所副所長)がメディアに対して語っている。ロメロ氏はその後、公式論の方向に発言の訂正を余儀なくされた。911事件の多くの不合理さは、マスコミや権威ある人々(軍産傀儡)にとってタブーであり、うっかり不合理さを正直に指摘した人はロメロ氏のように上の方から強い圧力を受けて態度を変えさせられる。指摘した人が一般人の場合は「頭のおかしい陰謀論者」のレッテルを貼られる(私はこちら)。 (テロ戦争の終わり) (仕組まれた9・11【5】オクラホマ爆破事件と911)

米国の上層部(軍産エスタブ)は、911に関する不合理な公式論を、不合理だと人々に指摘させない「タブー化」によって維持してきた。米上層部は、公式論が不合理であると知りながら、力づくで公式論を維持してきた。911調査弁護士会の請求も「陰謀論に毒された頭のおかしな異端の弁護士たちの奇行」とみなされて米当局から無視されて当然だった。だが意外なことに、請求書を受け取ったNY市南部地区の検察は約半年後の18年11月、「911に関する再捜査が必要かどうか、大陪審を招集して審議してもらうことにした」という趣旨の返答を、911調査弁護士会に対して出してきた。これは、米当局(の一部)が初めて911公式論に対する不合理さの指摘に対して無視の一点張りによるタブー化の維持から脱却し、公式論の不合理さについて審議することを手続き上認めたものとして画期的だった。 (7 NOV 2018 — U.S. Attorney Geoffrey Berman Will Comply with 18 USC Section 3332) ("Breakthrough": U.S. Attorney Agrees to Present Evidence of WTC Demolition to Federal Grand Jury)

だが結局、その後さらに9カ月が過ぎたが、911再捜査の是非を審議する大陪審は召集されていない。昨年11月の検察側からの返答は、形式を取り繕うための「だまし」だった可能性が増している。WTCのビル崩壊原因をめぐる公式論の不合理さを感じている人々の中には、911当日、現場に駆けつけてWTC内部に取り残された人々の救出作業中にWTCが崩壊して死亡したNY市の消防士たちの関係者がいる。彼らの一部であるNY市の自治的な消防団の一つである「フランクリン広場・ムンソン地区消防団(FSMFD)」の運営委員会は7月24日に委員会を開き、委員5人が全会一致で、911事件の再捜査を求める決議を可決した。 (New York Area Fire Commissioners Make History, Call for New 9/11 Investigation) (NY Fire Commissioners Demand New 9/11 Probe, Citing "Overwhelming Evidence of Pre-Planted Explosives")

この決議は、NY市南部地区の検察に対し「911調査弁護士会に対して昨年約束した大陪審の招集を早く進めてくれ」と促す意味がある。米国の公的な機関が911再捜査を求めたのはこれが初めてだ。FSMFDは、WTCから約20キロ離れたNY市内のクイーンズの方にある消防団で、911当日に消防車で駆けつけて救出活動をしている間にWTCが崩壊し、24人の消防士が死亡している。 (Do firefighters believe 9/11 conspiracy theories?)

911事件は間もなく事件から18年が過ぎる(この記事は気の早い「18周年記事」だ)。記憶は風化し、多くの人にとって真相などどうでも良い「昔の話」になっている。公式論の不合理さを指摘する人を陰謀論者扱いする体制は固定され、ほとんど揺らがない。だが同時に、近年トランプが米大統領になって、911後に米国が展開してきたテロ戦争や単独覇権主義のインチキさが露呈するような戦略を展開し、米国と世界の人々が911とその後の米国の戦略の不合理さをより強く感じる流れになっているのも事実だ。911公式論は、表層的(報道されている仮想現実的)には、まだ鉄壁の強さだが、実質的には、以前より多くの人がおかしい、怪しいと思うようになっている。 (Majority Of Americans Do Not Believe The Official 9/11 Story) (How is London’s Grenfell Tower Still Standing?)

WTCは内部に仕掛けられた爆弾で崩壊したのに米国の政府や上層部(軍産マスコミ)がそれを隠している、という話が陰謀説でなく事実だとしたら、爆弾を仕掛けたのは当局筋自身だ。93年に起きたWTC爆破未遂事件が、まさにFBIがエージェントにやらせたことだったが、その手法が01年にも繰り返されたことになる。911は米諜報界の自作自演だったことになる。米国は、自作自演で911事件を起こし、それをイスラム組織のせいにして恒久的な「テロ戦争」を開始し、アフガニスタンやイラクなどに侵攻して何十万人もの無実の市民を殺した。アルカイダやISといった「敵」も、米諜報界の支援を受けてきた。米国は、史上最悪の国家犯罪組織だったことになる。 (FBIに雇われていた1993年のテロ実行犯)

911事件が米諜報界の自作自演であるなら、なぜあの事件が起こされたのか。これについても私は何度か書いている。冷戦後、米上層部では諜報界の黒幕だった英国と組んで「金融覇権体制」を強化する動きになり、軍事覇権が軽視されたが、これに不満な軍産系は、米軍を中東に引っ張り込みたいイスラエルと組んで、米国を軍事覇権に引き戻す911事件を引き起こし、米国がイスラム世界を恒久敵視するテロ戦争の体制が作られた、というのが私の読みだ。911後、軍産系の好戦派が米政府を牛耳ったが、その中には親イスラエルのふりをした反イスラエル・隠れ多極主義のネオコンが入り込み、テロ戦争を過激に稚拙に展開して自滅的に失敗させ、米国の覇権を意図的に浪費し、恒久的なはずのテロ戦争を短めの約20年で終わらせた。この過程で米国は史上最悪の犯罪国家になった。トランプは、ネオコンが途中までやった米国覇権の自滅策を完遂する覇権放棄・多極化策を展開している。 (覇権転換の起点911事件を再考する) (911十周年で再考するテロ戦争の意味)

トランプ政権下でも911の公式論は崩れず、公式論が維持されたまま米国覇権が先に崩れていくかもしれない。だが、そうならずに911公式論が破壊されていく可能性もある。それは、911事件の犯人扱いされたサウジアラビアが、米国の同盟国から敵に転換させられ、米国に敵視されたサウジが犯人扱いの濡れ衣を晴らそうと911事件をめぐる秘密を暴露していき、公式論が崩れる可能性だ。左傾化する米民主党は、米国の同盟国だったサウジやイスラエルを敵視する傾向になっている。トランプは、サウジやイスラエルとの同盟関係を是が非でも維持する姿勢(演技)をしているが、これがまた利権優先の腐敗した構図を意図的に露呈しており、全体としてトランプの抵抗を乗り越えて米国がサウジやイスラエルと疎遠にしていく流れになっている。サウジとイスラエルは、911事件の表と裏の「容疑者」であり、米国がサウジ・イスラエルと疎遠になるほど、911の公式論を破壊しようとする動きが横から出てくる。 (911サウジ犯人説の茶番劇) (国家と戦争、軍産イスラエル)

911の公式論は、健全な洞察力や情報分析の努力があれば、不合理なものだと見抜けるような存在だ。そして911公式論の不合理が見破れれば、QEや地球温暖化人為説、イラン露中への濡れ衣敵視など、他の歪曲的なプロパガンダの不合理さも見えてくる。911以後の米国の世界戦略は不合理なものが多く、米国を知るほど米国に対する疑いやが増すという「知米は疑米」の構造になっている。911事件は「疑米」の原点である。私はそのように実感しつつ、911以来の18年間、いろんな分野の「疑米」を記事にしてきた。 (プーチンを怒らせ大胆にする) (米国が中国を怒らせるほどドルが危なくなる)

だが残念なことに、対米従属しか眼中にない日本では「疑米」の姿勢が「良くないもの」「反米」「陰謀論」としか見なされず、日本人のほとんどは米国の本質や覇権構造について何も知らないまま無為に過ごしており、これは今後日本の「弱さ」となってはねかえってくる。日本以外の同盟諸国の多くも「疑米」の姿勢を持ちたがらない反面、米国に敵視された諸国は逆に「疑米」の精神を持ち、その分だけ、米国覇権が自滅した後の多極型の世界において優勢を得る。 (理不尽な敵視策で覇権放棄を狙うトランプ)

米国がトランプになって「疑米」よりさらに取り組みやすい「呆米」(トランプの米国の無茶苦茶さに呆れること)の姿勢が登場してきた。独仏や豪加といった同盟諸国が「呆米」の姿勢を強めている。しかし、この段階になってもまだ日本は疑米も呆米もやっておらず、世界有数の間抜けな国になっている。

 

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対米従属と冷戦構造が崩れる日本周辺

対米従属と冷戦構造が崩れる日本周辺

2019年8月16日   田中 宇


 

この記事は「目くらましとしての日韓対立」の続きです

7月23日に、中国とロシアの爆撃機などの編隊が、日韓の係争地で韓国が実効支配している独島(竹島)の領空を初めて侵犯し、韓国軍機がロシア軍機に近づいて猛烈に警告射撃した事件は、それ自体が、驚きや疑問(露中の意図など、政治的に興味深い分析のネタ)の多いものだった(日本海が「中露の海」になったことなど)。だが、事件自体よりも驚きだったのが、事件後、米国のエスパー新国防長官が、事件について語るときに独島(竹島)を「(日韓の係争地でなく)韓国領」であるとさらりと言ったことだ。そしてさらに驚きなのは、日本政府がこの発言に関して米国に修正を求めず、米国防総省がその後何の言い直しもせず「竹島は韓国領」ということが国際的に確定するのを日本政府が容認していることだ。 (Trump’s ambiguous attitude on Seoul-Tokyo disputes) (Russia And China Display Strategic Coordination In Asia-Pacific

日本政府は竹島問題について、喧嘩相手の韓国にはさかんに文句を言い続けているが、行司役である米国が「韓国の勝ち」を宣言してしまったことに対しては黙っている。日本国民の多くは、このことに気づいてすらいない。日本政府は大事なこと(米国を味方につけること)をやらず、どうでも良いこと(韓国との喧嘩)にうつつを抜かしている。国際的に見て、竹島はもう韓国のものだ。 (Pentagon still trying to sort out Russian violation of allied air space while keeping angry allies from fighting each other

日本はなぜ竹島の領有権を事実上放棄したのか。日本政府が馬鹿だから?。多分違う。日本政府は意図的に竹島の領有権を目立たないように放棄したと私は考える。私の見立ては、安倍政権が、日韓の対立関係の中心を、これまでの戦争犯罪関係や竹島問題から、半導体など貿易戦争に移していることの一環が、今回の竹島放棄だ。安倍はおそらくトランプにそそのかされて、日韓の対立を激化している。覇権放棄屋であるトランプの、日本など極東での目標は、米朝対立を解消して北朝鮮を中国の傘下で安定させ、在韓・在日米軍を撤退すること、日本を中国、ロシア、北朝鮮と仲良くさせて、対米従属しなくても良い状態にすることだ。 (South Korea to Remove Japan From Trading White List

日本はこれまで対米従属を続けるため、中国、ロシア、北朝鮮、韓国のすべてと仲が悪い状態を好んできた。日本はまた、韓国や中国との間で戦争責任問題を意識的にこじらせ、中韓が日本独自の軍事拡張に反対するよう仕向けることで、米国が日本に要求する対米自立的な軍事拡張をやりにくくするとこで、対米従属を維持しやすくしてきた。日本が対米自立すると、日本の権力が官僚機構(非民主的な勢力)から国会(民選された政治家)に移るので、官僚機構は自分たちの隠然独裁的な権力を維持するため、対米従属を必要としてきた。他の諸国は、米国から露骨な意地悪をされるとナショナリズムが扇動され反米姿勢が増して対米自立へと押しやられるが、官僚機構は「戦争責任」を口実にナショナリズムを抑制しており、米国が意地悪をしても官僚の傀儡であるマスコミが換骨奪胎して報道し、反米ナショナリズムが醸成されず、対米自立への動きが起きない。戦争責任問題が長引くほど、日本は官僚独裁と対米従属を延命できる。

トランプはこの構造を破壊すべく、安倍と個人的に親しくなり、安倍がトランプの後ろ盾を得て官僚(外務省など)から権力を奪って自らの独裁を強化するよう仕向け、その上で「在日米軍を撤退させたいので軍事外交的に対米自立せよ」「韓国との対立だけを扇動し、それを目くらましとして、北朝鮮やロシアや中国と関係を改善し、在日米軍撤退に備えよ」「韓国との対立で戦争責任問題を使うのをやめて、貿易戦争に特化せよ。そうすれば軍事的に対米自立しやすいし、あとで韓国と仲直りするのも簡単だ」などとけしかけたのでないか。これは想像にすぎない。 (従属先を軍産からトランプに替えた日本

だが、トランプが明言する目標である在日米軍の撤退を実現するために、日本が近隣諸国との対立を日韓対立だけに限定して国民の目を日朝、日露、日中の対立からそらすとともに、日韓対立を貿易戦争だけに限定して、日本の自衛力拡大を妨害してきた戦争責任問題と、こじらせると解決困難になる領土紛争を外すことが好都合であるのも確かだ。日韓対立を扇動することは、これから従来の主敵だった北朝鮮と和解していかなければならない韓国の文在寅政権にとっても目くらましとして都合が良い。 (What’s America’s Winning Hand if Russia Plays the China Card?

覇権放棄屋のトランプが仕掛け人であるなら、日本の事実上の竹島放棄が、露中の初の独島(竹島)領空侵犯が同時に起きたことも説明できる。竹島紛争は日韓がバラバラに対米従属するための、日韓双方にとっての格好の口実だった。従来、米国が日韓を仲裁してもうまくいかなかった(日韓ともに対米従属を続けたいので)。しかし、中露が領空侵犯という小手調べによって竹島紛争に介入する素振りを見せ、米国がこれを非難せず、中露が竹島紛争を仲介して解決することに道が開けてくると、竹島が日韓の対米従属の口実にならなくなり、竹島紛争で対立することが日韓にとって無意味になっていく。

世界の体制は表向き、まだ米国の単独覇権だが、詳細に分析していくと、米国覇権は薄氷の上に乗っており、いつ覇権体制が壊れて多極型に転換しても不思議でない状態だ。近年いろいろ書いてきたように、それは政治経済の両面で起きている。政治面は中東が見えやすいが、日本周辺の極東でもそうなっている。この転換を引き起こしているのはトランプだが、彼は「薄氷を割る」行為を来年の大統領選挙で再選された後まで延期し、それまでに各方面で「多極化の準備」を進めようとしている感じだ。 (多極化への寸止め続く北朝鮮問題

極東では、北朝鮮問題がその一つだ。トランプは最近、北の金正恩が米韓軍事演習に反対してミサイル試射など「怒りの表明」を繰り返していることに対して「北のミサイル試射は、国連制裁違反かもしれないが、私とキムとの約束には反してない」と北を擁護したうえ、「私自身も、防衛費の無駄遣いである米韓演習をやめたい。金正恩が米韓演習に反対する気持ちは理解できる」と明言している。だがその一方で、実際に米韓演習が中止されたり、米朝和解が進展することは起きていない。国連や米国による北制裁が緩和されず、事態は寸止めされている。トランプはロシアゲートの濡れ衣を解いて軍産に勝っているので好きなようにやれる傾向だが、あえて事態を寸止めしている(イラン問題、対露関係など、ほかにも寸止めされている分野が多い)。 (Trump Agrees With Kim’s Opposition to US War Games

寸止めされている間に、日本は北敵視をやめている。北がミサイルを試射しても、以前なら大騒ぎした日本は最近「日本の経済水域に到達していないので脅威でない」と言って静観している。(笑)だ。米国が北を敵視しない状態が続いているので、対米従属の日本も北を敵視しなくなっている。いずれ実現する日朝和解への伏線が張られている。トランプが再選を果たして米朝和解に動くとき、それに前後して日本も対北和解に動きそうだ。そこに至る準備として、マスコミやネット系プロパガンダは、北よりも韓国を敵視することに熱心だ。「金正恩にすら馬鹿にされる文在寅」みたいな見出しが踊っている。日本人(と韓国人)の多くはマスコミを軽信し、日韓の相互敵視が目くらましであることに気づかない。 (Japan says no threat to its security from North Korean projectile launch) (Australia Won’t Host Any US Missiles

トランプは北朝鮮に対して宥和的だが、対照的に中国に対してはこれみよがしに敵対的だ。中国敵視は選挙にプラスなので、トランプは来年の再選後まで、貿易と軍事外交の両面でこれみよがしな中国敵視を続けるだろう。中国を怒らせ、一帯一路やBRICS(とくにRIC)を対米自立的な経済圏として結束させ、米国圏がいずれ金融破綻した後も非米圏が生き残れるようにするのがトランプの策だ。米同盟諸国の多くが、米国の脆弱さと中国の台頭を感じ、トランプの中国敵視についていけなくなっている。トランプは同盟諸国に米中どちらかを選べという態度をとり、中国に嫌われたくない同盟諸国を対米従属から振り落としていく。豪州は、米国から中国を標的とする米軍のミサイルを配備しろと求められて拒否した。英国も、訪英したボルトンから「中国やイランを敵視できないなら同盟国じゃない」と非難されても中国イランと距離を置けない状態を露呈している。 (Forget Iran, Maximum Pressure Has Shifted To China) (Steve Bannon’s Foreign Policy Crusade Against China

ボルトンは日韓にも来たが、日韓には「中国を敵視しろ」と言っていない。「イラン敵視に協力しろ。米軍と一緒にペルシャ湾に軍艦を出せ」とだけ言われた。韓国は協力することにしたが、日本はイランとの関係を悪化させたくないので、ペルシャ湾でなく手前のイエメン沖に軍艦を出すことにした。トランプと米軍は「ペルシャ湾やインド洋を航行する船の大半は米国でなく日中韓などアジア諸国の船なのだから、ペルシャ湾の航路の安全確保の努力の8割は、米軍でなく日中韓などの軍隊がやるべきだ」という姿勢だ。日本は、米国抜きで、中国や韓国と協力してペルシャ湾・インド洋航路を自衛する方向になる。日韓は喧嘩している場合でない。日韓政府はそれを知りながら喧嘩している。喧嘩は、目くらましである。 (To avoid Iran ire, Japan may send ships off Yemen: Report) (China Mulls Joining US 'Escort' Coalition In Gulf Even As It Defies Iran Oil Embargo

ボルトンはトランプの世界戦略の過激で好戦的な面を担当しているが、トランプ自身は好戦策と宥和策を行ったり来たりしており、同盟諸国がボルトンの要求を容れて中露やイランを敵視すると、あとでトランプが突然宥和策に転じてハシゴをはずされかねない。そのため同盟諸国は米国の好戦策に乗らずに敬遠する傾向を強めている。ボルトンは覇権放棄・多極化のピエロである。本人もそれを自覚しているはずだ(そうでなければトランプの安保担当補佐官を引き受けない)。 ("New Cold War" Unleashing "Geopolitical Chaos": China Reacts To US Offensive Missiles In Asia) (Boris Johnson’s Brexit focus could end up boosting China trade ties as he takes over role of British prime minister, observers say

日本の官僚機構はまだ対米従属に固執しているが、米国に相手にされなくなっている。金食い虫の失敗作として知られる米軍の新型戦闘機F35に関して、米政府が、ロシアにすり寄ったトルコを開発パートナーから外す流れになったので、日本がトルコの代わりにパートナーに入れともらおうとした。だが米政府は、日本政府の参加申請をにべもなく断っている。おまけにトランプは、トルコをパートナーからはずす必要はないと表明した。米国に逆らうトルコが大事にされ、対米従属に固執する忠臣の日本が邪険にされている。 (Japan wants to be an official F-35 partner. The Pentagon plans to say no.

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余りに長い間、発展途上諸国を圧迫したために、自身が発展途上諸国と化した欧米

アメリカ

2019年9月 8日 (日)

余りに長い間、発展途上諸国を圧迫したために、自身発展途上諸国と化した欧米

2019年9月3日
Andre Vltchek
New Eastern Outlook

 多くの人々は既に気が付いている。アメリカはもう本当に世界の指導者や「先進国」とさえ思えない。もちろん、私は「先進国」や「発展途上諸国」のような表現を嫌いなので、私は皮肉で書いている。だが読者は私が意味していることお分かりだ。

 橋、地下鉄、都心部、全てがばらばらに壊れ、ぼろぼろに崩れている。20年以上前、私がニューヨーク市に住んでいた頃、日本から帰国するのは衝撃的だった。アメリカは、貧しい恵まれない国で、困惑し意気消沈した人々の窮乏、ホームレスの人々、要するに、ならず者など、問題山積のように感じられた。今、中国で若干の時間を過ごした後、アメリカに着陸する時、私は同じことを感じる。

 それはもっとずっと酷くなっている。かつて欧米がソ連を、それで非難したものが、アメリカとイギリス自身で、今実際、はっきり感じられるのだ。近頃監視は、あらゆる所にある。ニューヨーク、ロンドン、シドニー、田舎でさえ。人がする全ての行動、あらゆる購入、全てのコンピュータ・クリックが、何らかの方法で、どこかで登録されている。この監視は、たいてい、さらにじゃなく、非合法だ。

 言説は政治的配慮に支配されている。舞台裏にいる誰かが、何が許容でき、何が許容できないか、何が望ましく、何がそうでないかを判断しているのだ。一つ「ミス」をすれば、人はおしまいになる。大学の教職から、あるいはマスコミから。

 このような状態ではユーモアは繁栄できず、風刺は死ぬ。それは宗教的原理主義と変わらない。もし「他人の気分を害すれば」その人は破壊される。このような状況で、本当の小説は本質的に人の気分を害し、常に枠を越えるものなのだから、作家は画期的な小説を書くことができない。結果的に、もはや、ほとんど誰も小説を読まない。

 骨抜きの「制御されたユーモア」しか認められない。どんなパンチも直感的に実行してはならないのだ。全て前もって計算されなければならない。どんな「法外な」政治小説も欧米(だから形式としての小説がほぼ死んでいる)の「見えない検閲」を通過できない。ロシア語や中国語が読める人々は、小説は、ロシアと中国での方がずっと挑発的で前衛的なの良く知っている。

 欧米では詩歌も死んだ。退屈な新鮮味がない消化しにくい学科に貶められた哲学もそうだ。

 ハリウッドとマスメディアが(主に中国人、ロシア人、アラブ人、ラテンアメリカ人や他の人々に対する)あらゆる種類の大いに侮辱的なステレオタイプ的な人種差別主義のがらくたを容赦なく生産し続ける中、欧米政権とその構造をちょう笑したいとを望む素晴らしい脚本家や映画製作者は既に沈黙させられている。人は(またもや、どこかで、どういうわけか)承認される方法で、非欧米人に恥をかかせることができるだけで、湾岸や東南アジアやアフリカで、ロンドンとワシントンのために自国を破壊している親欧米派エリートを批判するなどとんでもないのだ。それは「上から目線」で「人種差別的」なのだ。帝国とその使用人にとって素晴らしい仕組みではないだろうか?

 我々全員、何がジュリアン・アサンジとエドワード・スノーデンに起きたか知っている。欧米では人々が逮捕され、検閲され、失踪している。何百万人もが仕事を失っている。メディアで、出版社で、映画スタジオで。今起きていることと比べれば、冷戦時代は比較的「寛大な」ように思える。

 ソーシャル・メディアは「厄介な」個人や「容認できない」メディアや余りにも「正統でない」思想を常に抑圧している。

 旅行は新兵訓練所になった。旅行は彼らがあなたを粉砕する場所だ。欧米の空港を通れば、俗悪で侮辱的な「治安スタン」に遭遇するはずだ。今や人は単に命令されたら、パンツを下ろしたり、くつを脱いだり、液体を含んでいる全てのビンを棄てたりするよう期待されるだけではない。人は微笑し、ばかのように明るくにっこり笑うことを期待される。人は、どれぐらい熱心で、どれぐらい協力的か示すことになっている。大声で答え、自分を苦しめる相手目をまっすぐ見つめるように。もし屈辱を受けても、礼儀正しくしていなければならない。もし飛行機に乗りたいなら、人を破壊し、惨めにし、従順にするためだけに行われる、この愚かな役に立たない屈辱を楽しんでいることを示さなければならない。人に本当は一体何に所属しているか教えるために。さもなくば。さもなくば! もし「協力」を拒否すれば、何が起きるか我々全員知っている。

***

 今、「連中」は、人々にこの全てが自身のためであるとを知らせるため、二重語法を使う。それは発声されないが、人はそれを感じさせられるはずだ。「あなたはこれらの酷い発展途上諸国の怪物、狂人、性的倒錯者から守られている。」プーチン、中国共産党員、虐殺者マドゥロ、アサドから、あるいは、もちろんイランのシーア派狂信者から。

 政権はあなたのために戦い、政権はあなたの世話をし、政権はあなたを守っている。

 もちろん、もしあなたがイギリスあるいはアメリカにお住まいなら、あなた借金漬けで、将来の見込みなしの可能性が高い。あなたの子供は空腹かも知れず、アメリカでは、おそらく、あなたは医療費を支払う余裕がない。あなたは自身の都市で住宅を買う余裕がない可能性が非常に高い。多分あなたは二つか三つの仕事を持つことを強いられる。

 だが少なくとも、あなたは「賢明な指導者たち」が、ホワイトハウス、議会、国防総省や治安機関が外国の悪意のある攻撃から、進んでいる、平等主義の社会を築くことで忙しい悪のそれらの中国人とロシア人から四六時中、あなたを無数の陰謀から守っていることを知っている。

 あなたは運が良い!

***

 何かがつじつまが合っていないことを除いては。

 何年も何十年もの間、あなたはあなたがどれぐらい自由か言われてきた。あなたが彼らから守られている連中が、どれほど虐げられ、どれほど不自由か。

 あなたはあなたがどれぐらい金持ちか「他の連中」がどれほど惨めか言われてきた。

 それらの恵まれない気が狂った大群を止めるため、いくつかの本格的な施策が適用されなければならなかった。一部の中央アメリカや東南アジアの国の右翼暗殺団を、米軍のキャンプで訓練しなければならなかった。徹底的に専制主義の不正な王政連中を支援し、満足させなければならなかった。軍ファシスト・クーデターを手配しなければならなかった。何百万人もがレイプされ、何万人もの死体。まったく美しくないが、あなたはそれが必要なのを知っている。あなた自身のため、北アメリカやヨーロッパ市民のために。あなた自身のために。我々が「解放」すると指定した国の利益のためにさえ。

 欧米では,ごく少数の反体制派分子が何十年間も抗議してきた。誰も彼らにさほどの注意を払わなかった。彼らの大半が「雇用されなくなり」、窮乏と彼らの基本的請求書を支払う能力のなさから、沈黙させられた。

 だが突然

 突然、何が起きたのだろう? 何かが本当に起きたがゆえに

***

 帝国は、もっぱら世界の非欧米地域だけ略奪するのがもう嫌になったのだ。

 しっかりてなずけられ、洗脳され、怖がらせられた欧米大衆は、世界の略奪された、そして惨めな地域におけるのと同じ悪意で扱われ始めた。正確には、まだだ。まだ多少の本質的な違いがあるが、傾向は確実にそうなっている。

 実際、欧米大衆は自身を保護するために余り多くをすることができない。政権は全員のあらゆることを知っている。政権は全国民をスパイしている。彼や彼女が歩くところ、彼や彼女が食べるもの、車で、飛行機で行く場所、見て、消費するもの、読むもの。もはや秘密は存在しない。

 あなたは無神論者だろうか? 「告白する」必要はない。あなたはリモコンのボタンを押すことで、コンピュータをクリックする度に、あるいはアマゾンで買い物をすることで、毎分自白しているのだ。

 ビック・ブラザーは監視しているだろうか? 違う。今はずっと詳細な監視がある。「ビッグ・ブラザー」は監視し、記録し、分析している。

 チリのピノチェト将軍は彼の許可なしには、木の葉さえ動くことができないと自慢したものだった。年がいったファシストの人間のくずは誇張して、自慢していた。他方、欧米支配者は何も言わないが、彼らは明らかに自分たちが何をしているか知っている。連中の許可なしには、何も、誰も動けない。

 中国やロシアやキューバから到着して私の頭に最初に閃くのは、実際、ヨーロッパ人と北アメリカ人は一体何としつけが良く、従順で、怖がっているのかということだ。彼らは潜在意識的に自分たちが支配されていて、それに対して何もできないのを知っている。

 列車が遅れたり、キャンセルされたりすると、彼らはおどおどして半ば聴こえるようなのろいをささやく。彼らの医療給付は減少する。彼らは受け入れるか、静かに自殺する。彼らの公共インフラは崩壊する。彼らは「古き良き日々」を思い出しながら、何も言わない。

 メキシコシティー、ヨハネスブルグや北京で、なぜ私は希望を感じ、人々と一緒に笑うのだろう? ウラジオストクやカムチャッカのペトロパブロフスクのように地理的に寒い都市に、なぜそれほど暖かさがあるのだろう? ロンドン、パリ、ロサンゼルスの人々はなぜそれほど心配していて、意気消沈しているように見えるのだろう?

 一部の歴史的に貧しい国が発展しつつある。そこの人々はあらゆるささやかな改善に感謝を示している。楽天主義より美しいものはない。

 欧米は長年、何十年もの間、いわゆる「発展途上諸国」と戦った。発展途上諸国を圧迫し、発展途上諸国をひどく苦しめ、発展途上諸国を略奪し、発展途上諸国の人々を冒涜した。欧米は、発展途上諸国が自身の政府を選択するのを阻止した。今欧米は調子に乗りすぎている。欧米は、自国民を含め、世界全体を支配し、圧迫しようと試みている。

 世界中の様々な国々が、ワシントン、ロンドン、パリとベルリンからの圧力に抵抗して自立しつつあり、欧米の人々は、自国政府に、もっぱら「低開発国」(そう、もう一つの汚らわしい表現)に限らていた悪意で、益々扱われるようになっている。

 明らかに、欧米は「自身から学んだのだ」。

 ロシア、中国、ベトナム、メキシコ、イランや他の国々が前進している中、かつて金持ちだった多くの植民地主義や新植民地主義帝国が今「発展途上諸国」に似始めている。

 近頃、ニューヨークやロンドンで作家であることは非常に悲しい。貧しいことが恐ろしいのと全く同じように。あるいは違っていることで。全世界、役割は逆転しつつある。

 Andre Vltchekは哲学者、小説家、映画製作者で調査ジャーナリスト。彼は Vltchek’s World in Word and Imagesの創作者で、China and Ecological Civilizationを含め、多くの本を書いている作家。オンライン誌New Eastern Outlook独占記事。

記事原文のurl:https://journal-neo.org/2019/09/03/the-west-oppressed-the-third-world-for-so-long-that-it-became-third-world-itself/

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サウジアラビアはダマスカスの大使館を再開する準備をしています

サウジアラビアはダマスカスの大使館を再開する準備をしています

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サウジアラビアはダマスカスの大使館を再開する準備をしています

サウジアラビア副大統領、モハメッド・ビン・サルマン(R)は、2016年11月10日にリヤドで湾岸協力会議(GCC)経済開発局の最初の会議に演説します。/ AFP PHOTO / FAYEZ NURELDINE

サウジアラビア皇太子、モハマド・ビン・サルマンは、ダマスカスのシリアの首都で王国の大使館を再開したいと考えMujtahid、匿名サウジの活動家、9月1日に明らかにしました。

サウジアラビアの内政に関する信頼できる情報を漏らすことで知られる仮名活動家は、MBSとして知られるビン・サルマンがダウマス政府との経済的および商業的関係を回復するようサウジ外務省に指示したと述べた。

昨年、アラブ首長国連邦は、ダマスカスの大使館再開し、戦争で荒廃した国の大使を任命した最初のアラブ国家になりました

「多くの人が信じていることとは異なり、サウジアラビアとシリアのアラブ首長国連邦の間には意見の相違はない」と活動家はツイッターに書いた。

ムジタヒドの主張は、数日後にダマスカスの無名のアラブ外交筋によって確認された。彼はアル・ワタン新聞に、サウジアラビア近くのシリア首都への帰還の報告は信頼できると語った。<iframe id="aswift_4" name="aswift_4" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="718" height="185"></iframe>

「サウジ大使館の開設はそう遠くない」と、情報筋は9月5日にシリアの新聞に語った。

サウジアラビアは、2012年にダマスカスの大使館を閉鎖した最初のアラブ諸国の1つでした。その後、王国はシリアの反政府勢力の重要な支援者の1つになりました。

ダマスカスの王国大使館の再開を計画することで、ビン・サルマンはシリアの地域同盟国であるイランとの緊張を緩和しようとしている可能性があります。

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2019年9月7日のシリアの軍事状況(地図の更新)

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2019年9月7日のシリアの軍事状況(地図の更新)

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シリアの憲法委員会は9月20日までに形成されるかもしれない—野党長

6月6日、06:54

シリアの憲法委員会は9月20日までに形成されるかもしれない—野党長

シリア交渉委員会の長Nasr al-Haririは、「憲法委員会の創設に関する論争のある点の大半は解決された」と述べた。

モスクワ、9月5日。/TASS/。シリア憲法委員会は、9月20日の国連総会の開始前に形成される可能性があります。シリア交渉委員会の長であるNasr al-Haririは、Asharq Al-awsat新聞とのインタビューで述べました。

「憲法委員会の創設に関する論争点の大部分は解決されました。我々は最大限の努力をしており、9月20日までに、すなわちニューヨークでの国連総会の開始前に完全に形成されることを願っています」彼は言った。

Al-Haririは、現時点での主要な問題は、6人の委員会委員全員に同意することであると指摘した。「私たちは、中立でなければならない6人の名前の選択に関する明確な基準を持っています。彼らはシリア政権にも野党にも忠実ではなく、シリア人の一部です」と彼は述べた。野党党首は、シリア・ガイア・ペダーセンのアンカラとテヘランへの次の旅行のための国連特別使節が「残りの問題を解決する」という希望を表明した。

2018年1月30日に、ソチで開催されたシリア国民対話会議の参加者は、国の新しい憲法に取り組む憲法委員会の設立に同意しました。委員会は、市民社会のメンバーだけでなく、シリア政府と野党の代表者を含むことになっています。各グループは、委員会の議席の3分の1を保持します。以前、国連事務総長のシリアガイアペダーセン特使は、委員会が9月下旬までに作業を開始する可能性があると述べました。

 

 

 

 

9月6日、05:37

過激派が過去24時間で20のシリア人入植地を攻撃—ロシア和解センター

過激派は、過去24時間にシリアのアレッポ、ラタキア、イドリブ、およびハマの集落を砲撃しました

モスクワ、9月5日。/TASS/。過激派は、過去24時間でアレッポ、ラタキア、イドリブ、ハマのシリアの地方で20の入植地を砲撃し、シリアの対立する側の和解のためのロシアセンターの長はアレクセイ・バキンが記者団に語ったと語った。

「9月4日に31件の砲撃事件が報告された」とBakin氏は述べ、20の開拓地が発砲したと付け加えた。

彼はまた、過去24時間で、ロシア和解センターの役員が、総重量2.42トンのアレッポ州の入植地の居住者に500食セットを配達したことにも言及した。和解プロセスの開始以来、2,198の人道的活動が実施されたとBakinは述べた。

彼は、難民は彼らの家に戻り続けていると付け加えた。最新のデータによると、615,582人が外国からシリアに帰還し、1,303,896人の国内避難民が以前の居住地に帰還しました。

 

ロシア和解センターは、シリアでの軍事作戦の完了後も、彼らに割り当てられた任務を遂行し続けています。彼らは、人道的な状況を評価するために、国の解放された地域を定期的に旅行します。現在、ロシア軍の主な努力は、故郷に戻ってきている難民を支援し、戦争で荒廃した国のエスカレーション地域から民間人を避難させることに集中しています。

 

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イラン北東部ホラーサーン・ラザヴィー州を訪問したトルコ人観光客の数が90%増加

       
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2019年09月08日17時11分
  • イマーム・レザー聖廟イマーム・レザー聖廟

イラン北東部ホラーサーン・ラザヴィー州を訪問したトルコ人観光客の数が90%増加しています。

イルナー通信によりますと、イラン外務省・北東部事務所のアルバーブハーレス所長は、7日土曜、ホラーサーンラザヴィー州の州都マシュハドにあるトルコ領事館のfaith topcu総領事と会談し、「2018年3月21日から今年3月20日までに、トルコ人観光客60万人がイランを訪問したが、、その前の年の同じ期間中のこの数字は25万人だった」と述べました。

また、「これらのトルコ人観光客のうち、20%から30%がマシュハドをはじめとするホラーサーンラザヴィー州の巡礼・文化施設や名所旧跡を訪問している」と語りました。

 

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2019年09月07日04時07分
  • イランのザリーフ外相イランのザリーフ外相

イランのザリーフ外相が、核合意に定められた同国の責務縮小の3段階目の措置の実施の発表後の、ヨーロッパの立場表明に反応し、「我々が期待しているのは、核合意に署名したヨーロッパの相手国がイランのために取り計らってくれることではなく、彼らがこの合意が定める責務を履行することだ」と強調しました。

イルナー通信によりますと、ザリーフ外相は5日木曜、インドネシア・ジャカルタに到着した際に記者団に対し、「ヨーロッパは、核合意に対する義務がある」と強調し、「この取り決めは米国に従属するものでもなければ、米国の許可に左右されることもない」と述べました。

また、「ヨーロッパ側は、“自らの責務履行に当たって米国からの許可を得たくとも、米国は決してその許可を与えない”という結論に達するべきだ」として、ヨーロッパ側の対応を促しました。

イランのローハーニー大統領は、同国が6日金曜から核合意の責務の更なる縮小に踏み切ると表明しています。

英独仏の欧州3カ国は、昨年5月8日に米国が核合意を離脱した後、イランの経済分野での利益を確保し、合意を維持すると約束していました。

しかし、これらの国は口頭上、あるいは政治的には米国への対抗を見せてはいるものの、イランに約束した経済利益の確保を実現できていません。

イランは今年5月8日、米国の核合意離脱から1年が経過し、かつそれによる経済面での影響緩和に向けてヨーロッパ側が提案してきた方策がうまく機能していないことを確認したうえで、合意の第26項と36項に基づき、核合意に定められた責務の一部履行を停止しました。

イランは、これまで既に2段階にわたって責務を縮小しており、6日金曜にその第3弾に踏み切っています。

イランは責務縮小プロセスの継続を強調すると同時に、核合意の相手側が自らの責務履行に乗り出した場合、イラン側もただちに責務の完全履行に戻すと表明しています。

核合意第26項と36項は、核合意の相手側がこの合意を遵守しない場合、イランにも責務の一部または全ての履行を停止できる権利を認めています。

 

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