ANDY'S HOUSE

ANDY'S HOUSEの息子のお話
~ 点頭てんかんという病気と明るく前向きに暮らしていく家族日記 ~

点頭てんかんとは?

2005-01-31 16:00:00 | Sick
点頭てんかんは、別名ウエスト症候群とも言われている。
これはイギリスの小児科医であったウエスト氏の子供が、1841年当時4ヶ月の時に見られた特異な発作を「乳児けいれんの一特殊型」と題して報告した事により、医師ウエスト氏に因で付けられた名前である。そのもっとも特徴的な様子は、頭をコックリコックリとうなずくようにするので、「点頭」てんかんといわれている。
「点頭てんかん」と呼ばれるためには、特有な発作像と脳波の所見がなければならない。
ところが、発作のタイプや脳波異常の様子は、2~3歳以上になると他の物に変化してくるので、3歳以上になると「点頭てんかん」とは言わず他の病型と診断される。従って「点頭てんかん」とは、乳児期に限って見られるてんかんの一特殊型である

原因

2005-01-31 15:59:16 | Sick
点頭てんかんの大多数の例では、背景に何か脳疾患がある、またはあると想像される場合が多く
この様な例を症候性点頭てんかんと呼び、七~八割を占める。
また、現在の診断技術では基礎疾患が証明できないが、種々の状況判断から背景に何か基礎疾患が潜んでいる疑いがあり、将来技術の進歩によって基礎疾患が証明される確率が高い場合を潜因性点頭てんかんと言う。
発病原因が不明で基礎疾患が見当たらない場合を突発性点頭てんかんと言う。

①症候性点頭てんかん ・・・ 臨床症状・経過・検査所見などから、原因・基礎疾患 の存在が証明、 あるいは強く疑われる場合を言う。発作が始まる前から発達の遅れがあったり、時には他のタイプのてんかん発作が先行することもある。原因が発生した、あるいは発生したと推定される時期によって三群に分けられる。

第一群:出生前原因
先天代謝異常症・胎内感染症・染色体異常症・遺伝性疾患・脳形成異常症などの先天性脳疾患がある場合(五~六割を占める)

第二群:周生期原因
胎内仮死・難産による新生児低酸素症、虚血性脳症未熟児脳質周囲性白質硬化・新生児頭蓋内出血・新生児髄膜炎などが原因とみなされる場合(三~四割を占める)

第三群:生後原因
生後1ヶ月以後に発生した脳炎・髄膜炎・頭部外傷などの出来事が原因の場合。(ほぼ一割ぐらい)

②潜因性点頭てんかん・・・生後の発育が順調で、何らかの基礎疾患が見出されないが本当は未知の基礎疾患が背景に潜んでいるものと推定されるもの

③突発性点頭てんかん・・・発病原因がまったく不明で出生から発病まで正常に成長発育し、発病 後もあらゆる精密検査をしても 正常所見を呈す。(脳波を除く)この様な例の一部は遺伝の関与が示唆される

発作の特徴

2005-01-31 15:58:09 | Sick
「点頭」つまりうなずくと言う名前が示すように、その発作像は極めて特徴的である。

(1)発作は突然頭部を前屈(点頭)し、両上肢を振り上げて、時には下肢も股・膝関節で屈曲する短時間の強直性けいれん。
(2)個々の発作は、瞬間的か数秒の短時間のものもあるが短時間(数秒から十数秒間隔で、何度も反復して繰り返す。この事をシリーズ形成と云う。
(3)発作回数は、発祥当初は少ない事もあるが次第に多くなり、1回のシリーズの中での発作の回数も、また1日のうちでのシリーズの回数も増加してくることが多くみられる。
(4)発作は覚醒期に見られるが、一日のうちで入眠間際や覚醒間際に頻発する傾向がみられる。


発症の特徴

2005-01-31 15:57:54 | Sick
(1)発症年齢
発症年齢は1歳未満。特に4~7ヶ月に多く見られる。発症時期と症状が年齢と強い関係を持っている。        
大田原症候群(生後1ヶ月くらいから多く見られる)→ウエスト症候群(4~7ヶ月に多く見られる)→レノックス・ガストー症候群(1歳過ぎに多く見られる)
     
年齢によっての以降が認められている。この3者をまとめて「年齢依存性てんかん性脳症」 という。難治性てんかんの代表にもなっている。この独特な発作が初めて出現する前後の時期には、通常発熱もなく、特に誘因と思われる出来事などもなく発症する。

(2)特徴的な脳波
点頭てんかんの場合、記録全体に亘って高振幅の棘波・棘徐波が不規則に連続して現れる。
これをヒプスアリスミアと呼ばれる。この所見は点頭てんかん独自の異常所見で、他の発作型ではみられない。従ってヒプスアリスミアがあれば、点頭てんかんの疑いは極めて高くなるが非典型的なヒプスアリスミアのケースが3人に1人ぐらいある。
また、ヒプスアリスミアは、乳児期に典型的な形をとり、年長になると(2~3歳を過ぎると)変容し、他のありふれたてんかん波に変わるのが普通である。

ACTH療法

2005-01-31 15:56:01 | Sick
1956年にベルギーの神経科医ソルレらが初めて報告して以来、ACTHという脳下垂体ホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)が点頭てんかん発作を抑制する効果があることが多くの追試によって確認された。その効果は即効性で、投与開始後二週間以内に発作は全く消失するか、もしくは大部分消失するので、今日でもなお世界中の多くの施設で第一選択薬として使われている。
ホルモン療法と言えば、すなわちACTH療法を意味すると言ってよい。アクス療法、アクサー療法などとも呼ぶ。

<使用するACTH製剤>
日本では、作用時間の長い人口合成ACTH製剤であるコートシロンZが専ら使われている。1日1回、0.01~0.015㎎ /㎏を筋肉内に注射する。

<投与スケジュール>
標準的な投与スケジュールは1日1回ずつ筋注を、最初の2週間(14日間)毎日行う。有効な場合は、この最初2週間連日の筋注で、発作が消失ないし著減し、明らかな効果が分かるので、3週間目からは筋注を1日おきにし、第5週、第6週は週2回だけに、次いで第7週、第8週は週1回だけに筋注回数を減らし、合計8週間で終了とする。
筋注を毎日または1日行う期間は、最初の4週間だが、この期間は入院して行うのが原則。筋注回数が週2回以下になれば、通院で行っても差し支えない。
以上は、基本スケジュールであって、決してこの通りに行わなければならないとキマリではない。1回投与量を下は0.005㎎ /㎏、上は0.025㎎ /㎏を限度として、増減させて差し支えない。連日筋注の期間を7~10日間に短縮したり、3週間に延長したりする。また前記のように8週間かけて漸減中止するのではなく、4~6週投与したあと、突然中止しても、特に目立った不都合はない。
個々の例で、効率の様子によって、臨機応変に使い分けることが望ましい。

<効果>
効果は即効性で、多くの場合、治療開始後1~2週間の間に現れる。約8割の患児で、発作が完全に消失するであろう。臨床発作の消失とほぼ平行して、脳波異常(ヒプスアリスミア)も消失するか、著しい改善が得らる。
脳波の改善率は、一般に発作改善率より低い傾向がある。つまり、目でみると発作はすっかり消失したように思える例でも、脳波で検査すると、程度はずっと軽度になったとは言え、異常所見が残存している場合が少なくない。

<副作用>
注射開始後最初に現れるのは不機嫌、異様な興奮、睡眠寸断など、2週目からは、肥満、むくみ、血圧上昇が現れる。もっと長期的には白内障、骨粗しょう症を来すことがある。感染に対する免疫力も低下するので、感染源への接触を極力避けること、すでに感染症にかかっている時は、ACTH療法を中止するなどの配慮が必要。もっとも、前記した0.01~0.015㎎ /㎏という1回量は、初期の時代の使用量に比べて半分の極少量なので、最近では副作用の程度も著しく軽くなった。