馬糞風リターンズ

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奄美・島唄・・・・男はつらいよ「紅の花」

2015年12月13日 | 映画
男はつらいよ・紅の花はシリーズ最終48作目です。山田洋次監督は区切りの50作を目差していたようで、渥美清の体調が極度に悪化してシリーズ継続が危ぶまれる状況であったけれど「寅さんとリリー」の結婚は先延ばししたようです。しかし、渥美清がこの48作撮影終了後に他界して結局「寅さんとリリー」は結ばれることなく終わってしまいました。当ブログは寅さんシリーズを何度か取り上げていますが、この48作紅の花も前半のロケ地津山に付いて何度か紹介しました。後半の舞台となるのは奄美群島の加計呂麻島です。
映画の中で島民が歌う「島唄」が流れていました。当ブログもよく歌う「島育ち」が幾度も使われていました。「赤い蘇鉄の 実も熟れる頃  加那(かな)も年頃 加那も年頃  大島育ち
渥美清の真骨頂である「語り」で島唄を寅屋の皆さんに解説する場面があります。具体的に「島育ち」と入っていませんが流れとして「島育ち」の「加那」の説明と思われます。
寅「カナ(加那)ちゃんという美しい娘がおりました」
寅「ウン、ある日島の娘達は昆布取りに行かないかとカナちゃんを誘ったんだ」
さくら「うん」
寅「カナちゃんというのは気立てがいいからな、喜んでついて行った。娘達はカナちゃんの事を高ーい崖の上へ連れて行ったんだ。さあそれからどうしたと思う?後ろから背中をドーン…深ァーい海の底へ沈めてしまったんだ」
寅「あ~、哀れなカナよ。お前はなんと言う可哀そうな娘なのだ。美しく生まれたのはお前の罪ではないのに、花の命を失うなんて むごいむごい。っと、まあ、つまりこういう唄なんだな」
博「そうか、歌に出てくる、カナも年頃と言うのはその可哀相なカナちゃんの事なんですねえ」

 当ブログは奄美・沖縄には行ったことはありません。また、特別このエリアのことが詳しいわけでもありません。ですからこれから書く事は全くの聞きかじり、付け焼刃の無責任で間違ったことも沢山あると思います。前もってお断りします。
 さて、島育ちの「加那も年頃 加那も年頃 大島育ち」と歌われている「加那」とはドンナ人か?
その前に、当地域で使われている言葉(言語)を通常「琉球語」といわれ「琉球方言」として扱われます。しかし、2009年2月に、ユネスコ(国連教育文化科学機関)が、方言ではなく、「言語」だと発表しました。琉球諸島には6つの言語があります。北から「奄美語」、「国頭語」、「おきなわ語」、「宮古語」、「八重山語」、「与那国語」です。
 そこで、奄美語で「加那」とは普通名詞で「恋人、愛する人」という意味でつかわれるようです。「島育ち」での「加那」はこの普通名詞、恋人、愛おしい人と解釈したほうが妥当と思います。
それでは、映画で寅さんが解説した「加那」さんの歌はあるのだろうか?この地方には「加那」という固有名詞の名前の女性が沢山居たようです。有名なのは西郷隆盛の島での奥さんが「加那」さんです。そんな女性の悲しい物語が幾つも伝承されているようです。
 なお、喜界島出身の同級生がいます。喜界島や奄美諸島の風俗・歴史・文化、・・・言葉などの詳しいことは是非そちらにお問合せください。最近、彼のブログに島内の人達の想いと気位を垣間見る記事がありました。未だ歴史の1頁として客観的に語ることができない時事にある日本国の琉球処分という過酷な現実を背負いつつ暮らす奄美・沖縄の人達にヤマトンチュウは如何答えるのか?沖縄の基地問題だけではない蹂躙した側は蹂躙した側の心にどう応えてゆくのかが問われている問題です。
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