お灸女子。といってお灸を愛好している方が増えているようですね。
解説本も色々出ているため、
治療院には行かず、ご自分でツボを探してすえる方もいらっしゃいますね。
それで、効果があれば良いのですが、
出なくて、お灸は効かない。と決めつけられると残念ですね。
当室でも、ご自宅でお灸をすえることをお薦めする場合があります。
毎日治療に来ていただくには大変な方には、
毎日ご自分でお灸をすえていただくことで、
治療効果がより増すと考えるからです。
効果が出ない場合、
ツボの選び方や位置が間違っているかもしれません。
私たち灸師は、三年勉強して国家資格を取ってやっと一人前。
私のお灸の師匠、入江靖二先生は、
「ツボは効くものではなく、効かすものだ。」
と良く言っていました。
また「痛(つう)を以って兪(ゆ)と為す。」とも。
本に書いてある位置は参考にして、
圧して痛気持ちいいところがツボだ。と・・
あとは、灸の種類により熱の伝わり方が違いますので、
一般的な温灸は、刺激が緩やかですので、
治療効果も緩やかに出てくることが多いかもしれません。
わからない時には、灸師に聞いてみてくださいね。
2月17日に静岡脉診医学研究会の例会がありました。
いよいよ「九鍼十二原篇」の本題に入りました。
今回の内容は、下記文章の解説でした。
岐伯答えて曰く、臣請うらくは推してこれを次し、綱紀あらしめ、一に始まり、九に終わらしめん。其の道を言わんことを請う。小鍼の要は、陳べ易くして入り難し。麤は形を守り、上は神を守る。神なるかな、神客門に在り。未だ其の疾を睹ざれば、悪くんぞ其の原を知らん。刺の微は、遅速に在り。麤は関を守り、上は機を守る。機の動は、其の空を離れず。空中の機、清静にして微なり。其の来たるや逢うべからず、其の往くや追うべからず。機の道を知る者は、掛くるに髪を以てすべからず。機の道を知らざれば、これを叩くも発せず。其の往来を知りて、これに与かるの期を要む。麤の闇なるかな。妙なるかな。工独りこれあり。往く者を逆と為し、来たる者を順と為し、明らかに逆順を知れば、正行して問うことなし。逆いてこれを奪わば、悪くんぞ虚なきを得ん。追いてこれを済わば、悪くんぞ実なきを得ん。これを迎え、これに随い、意を以てこれを和すれば、鍼道畢われり。 「現代語訳 黄帝内経霊枢」東洋学術出版社 より
八木斌月先生の持っていらっしゃる本「霊枢経新義解 九鍼十二原篇」柴崎保三講述と
読み合わせして、先生の解釈を加えての講義でしたが、
今回も、微妙に解釈が違いました。
一番違ったところは、
「麤は形を守り、上は神を守る。」の解釈で、
麤(そ)とは、技術の未熟な者のことで、
上とは、高度な技術を持つ者を意味する。
と解釈することが一般的なようですが、
八木先生は、
麤とは、痛いところに治療をする人のことで、主に対症療法。
上とは、神氣、氣血をうかがい、補瀉の手法を行う人。
ということではないか?と。
今でも、鍼治療と言っても、色々なやり方があります。
どちらが上、下、良い、悪いということはないですよね。
また、「神なるかな、神客門に在り。」と2冊とも原文が書かれていますが、
八木先生は、
「神なるかな神、客門に在り。」とした方が自然では?とおっしゃっていました。
帰宅し、「現代語訳 黄帝内経霊枢」を読みかえしてみましたら、
15ページに「訳注」として、他の文献では、「神乎神」という句があるので、
「神乎神、客在門」と読む説もある。と書いてありました。
流して読むのでなく、自分でも味わって読んでみたくなりました。
解釈によって色々な読み方ができるのが面白いですね。