脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

続 慢性硬膜下血腫にご注意

2017年11月17日 | これって認知症?特殊なタイプ

「慢性硬膜下血腫」のエピソードをまとめなくっちゃあと思いながらようやくまとめたのですが、今日またその友人から別件で電話がありました。
駿河平の銀杏並木

用事が済んだら「その後、いかがですか?」になりますよね。と言っても、本当に確認の気持ちだけで特別心配したわけではありません。
なぜかというと、慢性硬膜下血腫は、タイミングを逸さず手術を受けることさえできたら、何の後遺症も残さないのはごくごく普通のことですから。彼女のご主人は「あれ?これはおかしい!」とすぐに受診したので、心配はしていなかったのです。もちろん、経過は順調、というか元通り!

電話の声は続きます。
「それがね。今度は、昨日私が頭を打っちゃって。車のトランクを開けていたところにガンってぶつけて」
私「まあ!ご主人の時のように出血はあったの」
「出血はなかったんだけど、痛くて、痛くて…」
私「手足がうまく動かないとか、言葉が変とか、見え方が変とかはなかったんでしょ?それだったら脳はやられてないということよ。脳は痛みは感じないものだから、その痛みは頭皮の問題だから。よかったわね。じゃあ、カレンダーに印をつけて、3か月くらい先までは、頭を打った日を記録しておくのよ」と。
これで一件落着と私は思っていました。

ご主人が、典型的な慢性硬膜下血腫の経過を見せてくれて、そして何の問題も残していないのだから心配しなくてもいいと納得できていると思ったのです。が、続いた言葉に絶句。
「お父さんみたいになったらいやだから、一生懸命冷やしたのよ」
私「慢性硬膜下血腫になるかならないかは、時間がたってみてわかることなの。頭を打った時に血腫ができるかどうか決まってて、ただし症状が出るのに時間がかかり、症状が出ないと血腫ができたかどうかわからない、という説明でわかるかなあ。
冷やしたら、血腫ができないわけじゃなくて…」と言いながら「そうか!頭を打った時にできる『たんこぶ』の処置をしてる…頭蓋骨の外の問題(頭皮)と、中の問題(脳)がまぜこぜになっている」ことに気づきました。

前回ブログの説明でもちょっと言葉足らずのところがありますから、もう一度まとめておきます。
病気にしろ事故にしろ、脳の実質が壊れたら、必ず何かの障害が起きてきます。場所によってできなくなることがかなりはっきりしています。(後遺症)
慢性硬膜下血腫は頭を打ってから起きる症状なので、頭部打撲に少し絞ってまとめましょう。

頭を強く打った→その衝撃で外部への出血がなくても脳の実質に大きなダメージをこうむった。頭蓋骨骨折を起こした時には鼻や耳からの出血がある場合もある。→意識障害や嘔吐やけいれんなど生命の危機的状況。このように損傷が大きい時は脳挫滅、軽微な場合は脳挫傷と使いわける。

頭を強く打った→脳震盪を起こし短時間意識がなくなる場合もあるがその後、何の後遺症も起さない。この場合は脳の実質には損傷はなかったと考えればいい。
かけがえのない脳を守るために、脳膜や脳脊髄液や頭蓋骨や頭皮や毛髪で、脳は幾重にも大切に守られている。

ただ、強く打ったために頭皮に内出血は起きることはよくある。頭蓋骨があるために外にぽこんと膨れ上がる(たんこぶ)また頭皮はとても厚いし毛髪もあるので出血しているように見えにくい。
体だと内出血しても内部に出血できるのでコブにはならないし、出血したところが色づく。からだの骨は保持や運動するために筋肉に覆われているが、頭蓋骨は動かす目的はなくて脳を守るためだけにあるから筋肉は不要。筋肉がないためにコブになる。同じ頭部でも顔面の額から下の方は、表情を作るための筋肉が細やかな働きを果たすために発達しているから、コブはできないし内出血の色も外から確認できる。

強く打った時に、内出血ではなく、頭皮が切れる場合もある。そのときは頭皮には多くの血管があるので出血量が多くなりがちで驚くことになるが、脳内出血とは全く意味が違うので心配することはない。いわゆる「傷の手当て」をすればよい。

私は医者ではありませんので、以上に書き記したことは仕事上や生活してきた中で理解し、蓄積したことです。今日の青空のようにすっきりと理解できますように。




コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。