脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

小布施町 脳のリフレッシュ教室交流会

2024年02月21日 | 認知症予防教室
今年も小布施町 脳のリフレッシュ教室交流会に伺いました。
一番最初に山王島の教室が始まったのが2002年。それから町内各地区に1教室ずつたちあげて、2007年から教室交流会を年度末に開催するようになりました。コロナ禍で実現できない年もありましたが、山王島の教室が20周年を迎えた去年の交流会再開はみんなが待ち望んだことだったと思います。
小布施町 山王島「脳のリフレッシュ教室」20周年
今年は北部地区の教室が20周年を迎えます。
毎年うれしくなるのですが、地域包括支援センターの皆さんはなんと豊かな前頭葉を持っていらっしゃることでしょう。皆勤賞や継続賞の文言、賞品…
今年は櫻井町長さん、副町長さん、保健福祉課長さん、どなたも出席がかなわず(例年どなたかが必ず出席されるということは、この認知症予防活動が評価されているということでしょうね)「今年は町長もどきが登場します」と予告がありました。
「櫻井町長もどきからご挨拶です」本間センター長は明るく紹介した後、いったん袖に入り再登場したら会場大盛り上がり。

挨拶も低い声色で、完璧!町長さんには椅子に座って交流会に参加していただきましょう。

そのままの和やかな雰囲気のまま継続賞授与式へ。継続賞の言葉がなんだか素敵で、見せていただきました。
コロナの影響でたくさん集まっていただくより規模を縮小したほうが安全ということで2回に分けての交流会で、初日は東部地区と北部地区の発表でした。


幕開けは東部地区。

東部地区はハモニカ伴奏つきの合唱です。
「青い山脈」の替え歌合唱で十分楽しいのですが、ハモニカ伴奏が付くとみなさんで合わせる努力をなさったのが一層感じられますね。

替え歌の歌詞に私は胸を突かれました。「悲しい時に分かち合う」というだけでなく「楽しいこともみんなで一緒」という歌詞で、高齢期を生きていくときにはこういう気持ちが必須ではないかと思ったのです。
認知症から身を守るには、自分で自分の脳を正しく健康的に使う自助と近隣がお互いに支えあう共助とそれでもおぼつかなくなった人に手を差し伸べる公助の三段階がありますが、共助は普段からの関係性が続いていないと難しいでしょう。脳のリフレッシュ教室の長い歴史が(東部地区は来年20周年ではないですか?)こういう温かい支えあいの気持ちを育ててくれたに違いないと涙がちょっと出てしまいました。

北部地区はカラフルな法被を身にまとっての登場です。演目は紙芝居。新しい取り組みでした。
紙芝居の筋に乗って、指示通りに会場に大きな声が響くところが小布施町の脳リフ教室生の素晴らしいところです。もちろん演ずる側も楽しげです。
 
山王島!山王島教室は大人数で始まりましたが今日の参加者は8人。人数が減ったことよりも、初回にお顔を拝見した方がいらっしゃるということ、21年間継続されたことに感動してしまいました。心からありがとうをお伝えしたいと思いました。



スタッフの皆さんはいつも紫色のTシャツ着用して「紫色のお姉さん」と名乗るのですが、紫色のお姉さんの背中が「がんばれ」と声援を送っているとしか思えません。会場の皆さんの手拍子もやはり山王島の皆さんへのエールのような気がしました。
飯田地区も派手な法被で登場。

歌いながらの手遊びを披露してくれたのですが、もちろん「皆さんもぜひやってみてください」という声掛けがあります。



会場にとても自然に二人組ができるんですよ。この楽しそうな笑顔。せっかくの発表を見ている人がいなくなって、皆さんけっこう夢中。「すご~く久しぶりだったので楽しいね」って聞こえましたよ。


最後の横町地区。登場してくる教室生の楽しげなこと。あたま、手首、足首の飾りを決めるときにもこんな笑顔だったのでしょうね。



『365歩のマーチ』に合わせた、体操です。もちろん「体も動かしながら、歌も歌ってください」はお決まり。


この頃よくデュアルタスクということばに出会います。歌いながら調理するとか歩きながら暗算するなどのように、二つのことを同時に遂行すれば脳が元気になるというのです。もちろん同時進行の課題があれば、前頭葉の注意集中や分配力がなければお手上げになるので、その意味では正しいといえます。
ところで一人で黙々とデュアルタスクを遂行するときと、みんなで笑いながらするときとでは脳の働き具合は飛躍的に変わります。人は一人で生きるようになっていません。なぜこのような視点が入ってこないのでしょうか?脳はもっと複雑に機能します。認知症の研究をネズミやマーモセットでできるという発想をどう思いますか?

今回講演でお話しするときにこんな試みをしてみました。北部地区の北沢さんは替え歌つくりの名人で、たくさん作っていらっしゃいますが、一番最初の作品から一つパワーポイントに入れておきました。
これも『青い山脈』の替え歌です。事前の打ち合わせなく、その場でマイクを向けると抵抗なく歌い始めてくださいます。もちろん皆さんも大きな声で合唱です。
このような脳の使い方ができることは、間違いなく認知症予防に直結する脳の使い方です。
今年は北部地区が20周年ですから、表彰式がありました。記念品は春を告げる鉢植えの花。皆さんがあれこれ選びながら、自分の選んだ花が一番かわいいと思っていらっしゃるのがよくわかりました。口々に「マスクを外したほうがいいね」「お花がよく見えるように」などとお世話を焼きます。


ポジティブ思考も大切なことです。北沢さんのもう一枚の替え歌も上げておきましょう。

北部地区の長老である田中七郎さん。奥様が先立たれ、千年樹の里近くのホームに入所なさったと聞き、ちょっと心寂しく思っていました。2年前にこんなに交流会を楽しまれていた田中さん。その時94歳と聞きました。

なんと当日施設の職員の方と一緒にいらっしゃってくださいました。
そして皆さんと一緒に歌い、運動もし、北部地区の20周年記念品も選ばれました。



終了時には、北部地区のみんなが田中さんの周りを囲み、田中さんが一人ずつの名前を言われ、そうするとみんなが笑顔になって。きらきらした濃密な時間を楽しんでいらっしゃいました。96歳の田中さんが交流会を楽しまれたことはみんなを幸せにしてくれました。
20年前に始まった北部地区の脳のリフレッシュ教室が、2年前のあの元気な94歳の田中さんを実現させてくれたことは間違いなく、しばらく参加できない期間が続いてもその積み重ねが今回の交流会での珠玉のひと時を生んだ…
認知症を予防するということは、ほんとうに生き方そのもの。その時その時を充実させながら生きることだと教えていただいたような気がしました。







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