脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

1月の右脳訓練ー料理と認知症予防

2017年01月30日 | 前頭葉の働き

1月は台所に立つことが多かったような気がします。
「料理はボケ予防になる」 とか、デュアルタスク(同時に二つのことをする)が脳の活性化に役立つということで「料理しながら歌を歌う」等、認知症予防と料理を絡めて語られることも最近よくありますね。間違っているわけではないのですが。
よく言えば「当たらずといえども遠からず」もう少し正確に言えば「的を射てない」
どら焼き

このような記事を目にするたびに、「研究テーマなんだなあ」と思ってしまいます。
日常生活の中で「料理をする」時には、さまざまな条件を考えるものなのです。まず今日の献立を決めるとき、順不同ですが、ざっと思いつく条件をあげてみましょうか。
1.家族の体調
2.天候や気温
3.冷蔵庫のなかみ
4.財布のなかみ
5.昨日の献立 
6.自分の意欲
こういう条件をほとんど瞬時に比較衡量して、献立を決めるのです。以上はすべて前頭葉機能が発揮されてこそ実現できるものです。 
ちなみに、前頭葉機能だけ低下している状態の小ボケの人たちは、「献立が単調になった」 と家族から言われます。発想が湧かないからなのですが、上にあげたような条件を考える意欲もない状態なのです。
バラ餃子(浜松風)
 
調理台の前に立っていることだけが料理をすることではないということがわかっていただけましたか?
考えてみると、もうひとつ条件がありますね。 
どのような思いで料理をしているかという大切な条件を考慮しなくてはいけません 。
「食べさせたい」と思う気持ちというか目標があれば、脳はイキイキと活性化されます 。
当然、イヤイヤながら「やるしかない」 状態で料理しているとき、脳は最低限の機能を使っているにすぎません。特に長く料理をしていたおばあちゃんは、あんまり考えなくても手が動き結果が付いてくることもありますね。
前のケースも後のケースも、「姿」は調理台の前で料理をしています。
脳の働きを考えるときには、その人の「考えていること、感じていること」まで近づいて行かないと理解ができません。
キウイソース 

皮をむいて

フードプロセッサーにかける

ちょっと煮て

完成
 
「同時に二つ(以上)の作業をする 」ということは、日常生活上では実によくあることです。
話Aをしながら別のことBを考えていることなどはごく普通ではないでしょうか。この時は前頭葉の注意分配能力が発揮されているわけです。注意すべきは、Aがどのくらい大切な重要な話題なのかということ、もちろん同様にBの重要さの度合いも考える必要があるということです。当然、重要であるほど、前頭葉の注意分配能力、前提として注意集中能力も大きく要求されることになります。

「歌を歌いながら料理する」をもう少し詳しく考えてみましょう
よくよく知っている歌の場合と、新しい歌の場合で、「歌う」という作業にかかる脳の機能発揮の具合は違います 。その前に「歌うことが好き」かどうかによっても変わりますね。
料理も、慣れ親しんだ料理をする場合と、レシピを確認しなくてはいけない場合では 違います。
うえで言ったように料理の目的によっても違います。 「食べさせたい人のために作る」のと「作らなければいけないから作る」のでは脳の関与は全く違います。
実験のために料理するときは、また別の規制が働くことでしょう。
とにかく前頭葉機能が関与すると、その状況を理解することは一挙に複雑化するものです。そして大人が生活するときには、常に前頭葉機能が司令塔として見張っていることを、忘れないようにしないといけません。「生活する」ということは複雑なことです。
レモンをいただきました。

塩レモンに挑戦。漬け込んだところ。

年末に作成したもの。
 

2015年の記事ですが、料理をしながら前頭葉機能を考えるもお読みください。
 


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