脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

10月の右脳訓練ー江之浦測候所その2

2017年11月09日 | 私の右脳ライフ

杉本博司さんの哲学的なオープンスタイルの美術館の続き。
近代的な建物群と歴史的な造形物が、一人の人の中で違和感なく融合するにはどのくらいの体験が必要だったことでしょうね。自分の感性に対する絶対的な肯定感をベースに、多くのものにあたり、制作し、さらに感性への信頼を深めていかれたのでしょうか。
古代の人たちのように、太陽の光を取り入れた作品は、説明だけでその光が差し込む「時」を体験することができないのがもどかしく思われました。
夏至光遥拝100メートルギャラリー。標高100メートルの地に作られています。
海に向って直線的に伸びています。北側はガラス板が37枚。

ガラス板を支える柱はありません。

ギャラリーには、杉本博司さんの代表作「海望」のシリーズが。

先端部、12メートルは海に向って突き出た形状になっており、いちばん先端が展望スペースという見事さです。展望スペースのまっすぐ先の相模灘から、夏至の日の出が拝めるのです。

南側は大谷石。

展望スペースを、南側から望みます。すこし曲がった道の突き当りに茶室「雨聴天』があります。

冬至の太陽光は「冬至光遥拝隧道」と名付けられた、地下から進むトンネルの先端から射しこむようになっています。謂れのある巨石を組み上げた円形石舞台に、その入り口はあります。
「夏至光遥拝ギャラリー」の下を潜って進むことになっていました。

ちょっと不安になるほどの暗さのなかを、先端のあかりを頼りに進みます。

途中に明り取りが開いています。後で、上から撮った写真です

隧道は、最後はギャラリーと同様に空中に突き出した形で終わっています。気を付けないと落ちちゃいます。もちろん止め石が置かれていますが、同行の夫は「事故があると責任が問われるなあ」とつぶやいていました。

階段を上ると、もう一つの注目作光学硝子舞台に沿っていることがわかります。

このガラスでできた能舞台は、冬至の日の出で輝くように作られています。
お能を鑑賞するのは、古代ローマ円形劇場を実測して作られた客席からです。

ここに座ると、舞台と海は一体化していました。

庭園内のそこここに配置されている多くの石や石造物は、飛鳥(法隆寺若草伽藍の礎石)、白鳳(川原寺礎石)、天平(元興寺礎石)から始まって、平安(日吉大社礎石)、室町(渡月橋礎石)、桃山(京都五条大橋礎石)、鎌倉(内山永久寺十三重塔)。江戸期のものも近代のものも含まれます。こうしてまとめてみると各時代からまんべんなくチョイスされていることがわかりました。
1000年以上前のものが残るとしたら、石。これから長い時を経て残るものは、石。
長い時の流れを、感じさせる展示でした。
とても書ききれませんが、一人のアーティストが自分の世界を作り上げたという意味で、いままでには体験したことのない時間と場所でした。




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