脳機能からみた認知症

エイジングライフ研究所が蓄積してきた、脳機能という物差しからアルツハイマー型認知症を理解し、予防する!

4月の右脳訓練ー東京の桜を楽しむ

2017年04月03日 | 右脳の働き

先週に引き続き歯科受診のため上京しました。
東京の桜は、満開の一歩手前で、かわいい盛り。伊豆高原の我が家の前の桜並木はまだほころんでもいないのですけど。
フェイスブック友だちのY田かおるさんからお知らせがあった、六本木ミッドタウンのレストラン「六本木テラス フィリップ・ミル」に行きました。
店のロビー。奥の黒い扉から明るい店内に。

友人と待ち合わせてランチを楽しみました。
ひろびろとした空間の、おしゃれなお店でした。
久しぶりの友人と長いおしゃべりをしていたら、コーヒーのお代わりを持ってきてくれました。
桜がテーマのデザートを紹介します。

食後、係の方から案内された4階テラスからのサクラ。見えた途端二人で「まあ、見てみて」と声が上がりました。友人と、この4階のテラスを行ったり来たりしましたが、景色について「何か言葉で表現しあう」ことはありませんでした。身を乗り出してみる景色が、少し場所を変えるだけで全く違う印象になることにも驚きました。
こういう、どこか人工的なサクラの景色って見たことがありません。花が咲いてないとまた全然違う印象になるのでしょうね。

檜町公園方向。イベント広場に富士山出現!

テラスにはオリーブやハーブや少々の野菜、お花が植えられて、普通のお庭のようでした。

Y田かおるさんのおすすめの『日本の写真史を飾った写真家の「私の1枚」』展も、見ましたよ。視覚を通して訴える力は、当然右脳へ届けられますから、情感に訴える力が大きいと思います。より深く伝わるような気がします。

実はその前があります。国立新美術館のミュシャ展へも行きました。これが第一目的だったのです。

会場に入った途端に大作が揃えられていて、ちょっと度肝を抜かれます。一緒に行った友人とも話しましたが、チェコもスラブ民族のことも本当に知らない私たち!ブログを書くためにいろいろと情報収集してみました。
島国であり、原則的にはず~と「日本」であり続けた日本とは違って、歴史的に見ても周囲の列強に支配されましたし(神聖ローマ帝国、オスマントルコ、そうそうナチも。まとめて書けません)、20世紀になってからもドイツやロシアからの支配も受けました。
第二次世界大戦後にチェコスロバキア共和国が復活し、1993年に、またチェコ共和国とスロバキア共和国に分離されたことも改めて復習。
自分が帰属している「国」がなくなっていく状態を繰り返し経験することは、どうしても実感として理解することはできません。
歴史の復習しているうちに、子どもの頃に読んだ「最後の授業」というお話を思い出しました。「普仏戦争に敗れたためにアルザス地方は、明日からドイツ語を使わなくていけない。ある民族が奴隷となってもその言葉を保つことができればそれは牢獄の鍵を持っていることと同じ」と繰り広げられる授業です。
「言葉」の力は本当に大きなものです。コミュニケーションの手段だけではなく、物事を考えるときの道具として「言葉」はありますから。
国外では日本が初めて全作展示された「スラブ叙事詩」は民族の大叙事詩。

神話からも史実からもシーンを選ばれながら、チェコ民族の結束を図るためのこの作品群は16年もの時間をかけて制作されました。完成した時にはチェコスロバキア共和国が成立していたために、受け入れられないという悲劇も起こりましたが。

島国である日本歴史からは考えられないように、支配層が全く変わり、民族の持つ言語や信仰や文化のアイデンティティを蹂躙され…
その有為転変がどこか抑えた筆致で表現されていました。

悲しみや怒りが外に出ていないのに、共感できる。激しい動きのシーンのはずなのに、どこか静まり返っているような…ミュシャは言葉を使って理解させる形ではなく、あくまでも視覚に訴える形での民族の結束を語りかけたのでしょう。
チェコ民族ではない私たちには到底理解しがたい、圧倒的なミュシャのアピールを、彼の地の人たちは感じるに違いありません。
「国」や「民族」を支える根幹が、「最後の授業」で語られたように「言葉」であるはずなのに、「絵画」もまた民族としての結束を実感させる道具になりうるのです。そしてもしかしたら、「絵画」の方が心情的にはより深く「チェコ民族である」ということをアピールできるのではないかというのが、今日の感想でした。
左脳は「言葉というデジタル情報」を使って理解し、右脳は「色や形というアナログ情報」から理解します。右脳経由の情報の方が、より原初的なところに到達できるのは、子供が言葉の獲得以前にすでに感情をいろいろな形で受け止めることができ、表現できることを考えればいいかもわかりません。
そうそう、パンフレットをはじめ解説にも日本で言い習わされている「ミュシャ」はフランス語の発音によるもので、チェコ語では「ムハ」となるということが繰り返し強調されていました。
ムハさん、よかったですね。初めての海外展示で「チェコ語」が強調されましたよ。
「脳」という切り口を持つと、何でもおもしろい!結婚記念日―右脳と左脳のせめぎあい
もう少し静かに見たかった。何しろ大作ですから離れて見たいのですが、離れると人が多くて見えないし、ちょっと残念でしたね。

後半は、私たちが知っているアールヌーボーのミュシャの作品でした。スラブ叙事詩を見た後でしたからいつものように「きれい」とか「かわいい」と単純にいっていいものかと思いました。ミュシャは心の奥底に「チェコ民族」に対する滾る思いがあったからこそ、優雅なポスターや種々の作品で高い評価を受けた後に、精魂傾けて文字通りの超大作スラブ叙事詩を描いたのですから。

美術館前のサクラも見ごろです。
ケヤキが赤い水玉模様を着せられているのは、同時開催の草間弥生展のアピールです。
どちらも好評を博していますから、当日券売り場に長蛇の列ができていましたが、私はネットで購入済み。メールに送られてきているバーコードを読み取るだけで、入場できました。
短い時間で効率よく動くには、ネットでの下調べは必須です。

今回はもう一つ、国会議事堂前に広がる「国会前庭」へも寄りました。
2月に憲政記念館で開かれたアジア国際映画祭に行った時に「国会前庭」を知り、「春に来たい」と思いましたので。アクセスや開花情報も含めて、こういう時もネットの予習は不可欠ですね。

暖かい春の空をバックに三権分立の象徴の時計塔。どちらかというと遅咲き桜が多いようでした。

小高くなっているところからこの景色に出会ったとき(視覚情報が入った時)、私は一人でしたが「まあ…」と声がでてしまい「一人でもったいないこと!」と思いました。
皇居桜田濠の桜が咲き始め、周囲の緑との対比もすてきなら、お堀の水、走り去る車、遠景の高層ビルまで。東京の景色ですね!
静かないいお花見ができました。


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