先週からきいてきた、オリヴィエ・ラトリーによる「Bach to the future」(La Dolce Volta LDV69)。これからきくのは、アルバム最後に収録されたハ短調のパッサカリアです。パッサカリアの主題は、フランスの作曲家であるアンドレ・レゾンが1688年に出版した曲集から借用されており、その意味ではノートルダム大聖堂の大オルガン(カヴァイエ=コル建造)で弾くにもふさわしいといえるかもしれません。
主題に続くのは20の変奏とフーガ(フーガをふくめて21の変奏とみたほうがよいかも)。ラトリーは主題を極小からはじめ第20変奏でを極大とする、いってみればモーリス・ラヴェルの「ボレロ」的な手法をとっています。音楽の演出としてはおもしろいのですが、主題(とその後の数変奏)があまりにもかぼそいため、変奏曲としてはどうだろうと思ってしまいます。録音は2019年1月。大聖堂の火災直前の貴重な録音です。