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●高江破壊…アベ様らによる《沖縄で、座り込み住民らの強制排除は、辺野古の新基地建設現場などでも続いている》

2020年02月23日 00時00分10秒 | Weblog


東京新聞の社説【沖縄の住民排除 警察への重い戒めだ】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019122402000159.html)。

 《沖縄の基地建設現場での機動隊員による反対派住民の排除は、適法性に疑問がある-。警視庁機動隊の派遣を巡る住民訴訟で、東京地裁が示した判断だ》。

   『●総立ちで拍手: 三権分立、「権力分立」なんて
       ニッポンには無いようで、アベ王国国王様に「権力集中」
    「直近の例では、辺野古破壊訴訟の様に司法もアベ様寄り。
     所信表明演説でアベ様が讃えた、そして、シモベが拍手喝采した
     《日本領域の警備を続ける海上保安庁、警察、自衛隊》は、いま、
     現在進行形で、番犬様を「思いやる」ために高江破壊・辺野古破壊を行い、
     人権侵害をしています」

   『●沈黙するマスコミ…「機動隊に加え、防衛省、自衛隊、
       そして米軍が総掛かりで住民たちを排除し、監視」
    「リテラ…伊勢崎馨氏による記事【安倍が所信表明で高江の
     「米軍ヘリパッド」建設強行を宣言! 反対派排除に巨額税金、
     機動隊員は高級リゾートに宿泊】」
    「《警察の機動隊に加え、防衛省、自衛隊、そして米軍が総掛かりで
     住民たちを排除し、監視する》…日々酷くなる一方の高江破壊。
     でも、「本土」マスコミはほとんど無視。「三権分立」
     「権力分立」無きアベ王国国王様に「権力集中」。司法も役立たず。
     そうなった要因の一つは「本土」マスコミにもある。どこが
     《沖縄の未来》のための「基地負担軽減」なのか?、をアベ様らに
     問い詰めないでジャーナリズムと言えるのか! 「本土」の市民に
     伝えなくて、報道と言えるのか!」

 《警察の機動隊に加え、防衛省、自衛隊、そして米軍が総掛かりで住民たちを排除し、監視する》…それに沈黙した「本土」マスコミ。
 高江破壊で、《政権中枢の高官が民間企業に便宜供与を打診し、行政をゆがめた恐れがある》…アノ和泉洋人氏でした。

   『●《生物多様性の生きた教科書》な森や美ら海を殺すな!
      《和泉洋人首相補佐官…民間企業に便宜供与を打診し、
                         行政をゆがめ…》
    《和泉補佐官は菅義偉官房長官の側近とされ、辺野古新基地建設など
     沖縄の重要案件を取り仕切る
    《和泉補佐官は「ありがたい。海外案件は何でも協力しますから」
     と感謝を伝えた》

   『●《高江のヘリパッド建設工事は異常だった》…その背景に
      和泉洋人首相補佐官の暗躍、高江での《わずか9時間の歓喜》
    《疑惑の裏にこの男あり――。菅官房長官の“懐刀”として悪名高い
     和泉洋人首相補佐官の暗躍ぶりが、また明らかになった。
     沖縄タイムスが24日、沖縄県東村高江周辺の米軍ヘリパッド建設
     関して、和泉氏が民間企業に便宜を働きかけていた証拠となるメモを
     スッパ抜いた》

   『●高江破壊…《反対する市民らに対抗するのに協力することの
       見返りに、海外事業で便宜を図ると和泉首相補佐官は約束》
    「リテラの記事【不倫報道の安倍首相側近・和泉洋人首相補佐官に
     便宜供与疑惑! 沖縄・高江ヘリパッド強行めぐり見返りに
     「なんでも協力するから」】」

   『●国会で追及されない、税金での海外出張《公私混同》和泉洋人
     首相補佐官のもっと大きな問題…それは沖縄イジメ《便宜供与》
   『●辺野古・大浦湾が「ホープスポット」登録…《海と、そして
          海を保護しようと闘っている人々を、守ってほしい》
   『●《民主主義ならぬ「ご都合主義」国家》…《私人》、《調査・
      研究》自衛隊中東〝派兵〟などデタラメ閣議ケッテェ~を乱発
    《「不倫」は和泉洋人首相補佐官(66)、「反社」は菅官房長官。
     根底にあるのは長期政権のおごりと公私混同で、政権中枢は
     腐り切っている

   『●和泉洋人首相補佐官…《日本の民間企業に建設協力を打診し、
     便宜供与を匂わせていた…徹底的に民意をないがしろにする政権の姿》
    「沖縄タイムス・阿部岳さんによるdot.asahiの記事【元防衛大臣・
     驚愕の発言「なんでこんなに必要だったの?」 沖縄・ヘリパッド建設
     強行の舞台裏】…《メモの中で、和泉洋人首相補佐官は「本件は官邸で
     官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題
     と発言していた。菅義偉官房長官の側近として、官邸で権勢を振るう人物
     「本件」は米軍のヘリパッド東村高江周辺に建設する事業を指す》」

 《生物多様性の生きた教科書》(金平茂紀さん)な森・高江を様々な汚い手を使って破壊。《根拠法があいまいなまま警察権力が行使されたことに、強く警鐘を鳴らしたものだ。テント撤去以外にも現地では、沖縄平和運動センター山城博治議長ら延べ十四人もの逮捕、建設車両への警察官同乗、県道の通行規制などが過剰警備として批判されていた。大阪府警隊員による住民への「土人」発言は、大きく波紋を広げた》。そしていま、美ら海・辺野古に土砂をぶちまけ続けているアベ様や最低の官房長官ら。工費と工期は∞なドブガネで、オマケに普天間は返還されない…辺野古は破壊「損」。

   『●高江破壊の「異様…全国を見渡しても、 
      いったい沖縄以外のどこにこのような光景があるのか」?
   『●金平茂紀さん、「No Justice No Peace. 
      (正義のないところに平和は来ない)…高江には、ない」
   『●安田浩一さん「沖縄の新聞は本当に『偏向』」? 
      …沖縄への「思い込みによる差別で、それを許す日本社会」
   『●「国民の信頼を傷付け」ているのは? 
      …「米軍基地という面倒な施設は沖縄に…。そして日本本土は…」
   『●「理」も「正義」も無し…「自衛」のためどころか
      高江「破壊」のために自衛隊機が工事用重機を輸送
   『●「最低裁」のコールが聞こえる…沖縄負担軽減担当相らの
          「辺野古が唯一の解決策」をオウム返しでしょう…
   『●辺野古破壊への「県側の徹底抗戦はこれからだ…
        翁長知事は二の矢、三の矢で巻き返しを図るつもり」
   『●「戦争のためにカメラを回しません。
      戦争のためにペンを持ちません。戦争のために輪転機を回しません」
   『●「腐臭を放つ「判決」」と臥薪嘗胆:
      「銃剣とブルドーザー」から「自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長」へ
   『●「沖縄の未来」のためのアベ様の「基地負担軽減」という強弁
                =「短絡的過ぎる」「まやかしである」
   『●重大な誤りを含む「腐臭を放つ「判決」」:
         「沖縄を弄んだというしかない」異常な辺野古破壊訴訟判決
   『●「第二の加害者」として「悪質なデマ」
      「事実関係を無視した沖縄攻撃」「蔑視・差別」、沖縄イジメに加担

   『●「「辺野古しかない」という一方的な結論は
         司法判断というより、もはや政治判断」…最高裁か最低裁か?

   『●直ぐに辺野古破壊の中止を! 《最悪の場合、埋め立てた
     盛り土が崩れ、護岸が崩壊する恐れ…安全な施工は保証できない》

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https://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2019122402000159.html

【社説】
沖縄の住民排除 警察への重い戒めだ
2019年12月24日

 沖縄の基地建設現場での機動隊員による反対派住民の排除は、適法性に疑問がある-。警視庁機動隊の派遣を巡る住民訴訟で、東京地裁が示した判断だ。警察は重い戒めとしなければならない。

 訴訟の対象となったのは、沖縄県東村高江周辺での米軍ヘリパッド建設に伴い、二〇一六年七~十二月に行われた約百四十人の警視庁機動隊員の派遣。約百八十人の都民が、派遣期間中に支払われた隊員基本給約二億八千万円や特殊勤務手当の損害賠償を求めて一六年十二月に提訴し、今月十六日に判決が言い渡された。

 損害賠償の請求は退けられたが、判決は、東京、大阪、神奈川、愛知など六都府県警から派遣された機動隊員の反対派住民らへの対応に言及。「職務行為が必ずしも全て適正だったとは言い難い」とし、特に一六年七月、住民らが建設現場出入り口に置いた車両やテントを強制撤去したことについて「適法性に看過しがたい疑問が残る」との見解を示した。

 根拠法があいまいなまま警察権力が行使されたことに、強く警鐘を鳴らしたものだ。テント撤去以外にも現地では、沖縄平和運動センター山城博治議長ら延べ十四人もの逮捕、建設車両への警察官同乗、県道の通行規制などが過剰警備として批判されていた。大阪府警隊員による住民への「土人」発言は、大きく波紋を広げた。

 三年にわたる裁判で、警視庁側は、今後の警備に影響するなどとして派遣隊員の人数さえ明らかにしなかった。判決での厳しい指摘は、原告側の陳述や証言、沖縄県警幹部らへの証人尋問の積み重ねにより導き出されたといえよう。

 沖縄で、座り込み住民らの強制排除は、辺野古の新基地建設現場などでも続いている。警察側は、司法の指摘を真摯(しんし)に受け止めて警備に当たるべきだ。法令順守は言うまでもなく、威圧的と受け取られないよう細心の注意を払うことが求められる。

 原告側は、今回の訴訟の最大の争点を「国家が一部地域に国策を押しつけるため、警察権力によって住民らの抵抗を排除することが許されるか」に置いた。抗議活動は平和的に行われており、都府県の機動隊派遣自体が工事推進を目的とした違法なものと訴えたが、その主張は通らなかった。

 原告は控訴する方針だ。愛知県でも来年三月、同趣旨の住民訴訟の判決がある。身近な都道府県警察の在り方を通して、沖縄の基地問題が問われている。
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●高畑勲監督…「『火垂るの墓』…どれだけの人が戦争の悲惨さを知り…反戦映画の枠を超える名作になった」

2018年04月16日 00時00分51秒 | Weblog


リテラの記事【高畑勲監督が最後に遺した無念の言葉「これで安倍政権が崩れないのが信じられない」「自由で公平で平和な国で死にたい」】(http://lite-ra.com/2018/04/post-3933.html)。
日刊ゲンダイの記事【沖縄の現状に思い寄せ アニメ巨匠・高畑勲監督の“遺言”】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226756)。

 《その無念のなかには、いま、この国に進行している事態を止められなかったという思いも含まれていたのではないだろうか》。
 《反戦・反核の人だったが、とりわけ強い思いを寄せていたのが沖縄の現状である…辺野古の新基地建設について「許し難いひどい話」、沖縄県に米軍基地の負担が集中していることについて「後ろめたい」などと話していた…安倍政権の5年で、沖縄の“孤立”はますます深まった9条改悪にも手を付けようとしている高畑監督の言葉に、安倍首相も少しは耳を傾けたらいかがか》。

 東京新聞のコラム【筆洗】(http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/hissen/CK2018040702000148.html)によると、《高畑勲さん…▼『火垂るの墓』も「反戦映画ではない」と言った。日本が再び戦争に向かうことに強い危機感を持っていた一方で、戦争を止める力にはならないと考えたからだ▼だが現実は異なる。映画でどれだけの人が戦争の悲惨さを知り、どれだけの親子が戦争について語り合ってきたか反戦映画の枠を超える名作になった▼著書では<私たちは先立った人たちに見つめられているのだ、という…感覚をもつことが必要ではないか>とメッセージを残した。これからは作品の向こうからわれわれを見つめることになる》。

   『●「「死にたくない」だけでは足りない、「人を殺したくない」
                という気持ちこそが、戦争の抑止力となる」
    「【反戦のふりをした戦争肯定映画『永遠の0』にだまされるな!
      本当の反戦とは何か、ジブリ高畑勲監督の言葉をきけ!】
      (http://lite-ra.com/2015/07/post-1342.html)」
    《いまなお“反戦映画”の名作として受け継がれている。ところが、
     当の高畑監督は「『火垂るの墓』は反戦映画じゃない、『火垂るの墓』では
     戦争を止められない」と語っているのだ。高畑監督のいう、
     本当の反戦とは何か…高畑監督にいわせれば、
     「死にたくない」だけではダメだというのだ。むしろ逆に、「死にたくない、
     殺されたくない」という感情につけ込まれて、再び戦争は始まるものだ
     と指摘する…実際、これまでの多くの戦争が「自衛」という名目で行われてきた
     …本当の意味で戦争をなくそうとするなら、「死にたくない」だけでは足りない
     「人を殺したくない」という気持ちこそが、はじめて戦争の抑止力となる

 《「死にたくない」だけでは足りない、「人を殺したくない」という気持ちこそが、はじめて戦争の抑止力となる》。
 恐ろしく暴走を繰り返し、番犬様の家来となり、戦争したくてしょうがないデンデン王国の「裸の王様」とその狂気・凶器な取り巻き連中。彼・彼女ら自公お維議員を支持できる神経が知れない。平和憲法は徳俵。壊憲へまっしぐらで、戦争法まで出来てしまう始末。そんなに、子や孫を「人殺し」に行かせたいものか。小泉純一郎氏やアベ様らが唱えた「非戦闘地域」の惨状は、南スーダンやイラクの日報を隠蔽・改竄・破棄してまで、隠したかったことだ。

 さて、沖縄との関係では、以下の記事が興味深い。《あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める。だから、あなたはもっと頑張りなさい》…という、三上智恵さんへの大激励。

   『●高畑勲監督より三上智恵監督へ、
      「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」
    「リテラの記事【高畑勲監督が沖縄の基地問題を描き続ける
     三上智恵監督と対談、安倍政権を止められない苦悩を吐露】
     (http://lite-ra.com/2017/04/post-3070.html)」
    《すると高畑監督は、「『火垂るの墓』のような作品では
     次の戦争は止められないあなたがつくっているような映画が、
     次の戦争を止める。だから、あなたはもっと頑張りなさい」と語ったという》
    「恐ろしく暴走を繰り返し、番犬様の家来となり、戦争したくてしょうがない
     デンデン王国の「裸の王様」とその狂気・凶器な取り巻き連中。
     彼・彼女ら自公お維議員を支持できる神経が知れない。
       高畑監督をして、《安倍政権を止められない苦悩》、
     《間近に迫る戦争をどうやったら止めることができるのか、自身の苦悩を吐露
     する一方で、《未だに「内閣支持率は52・4%》。
     そんな《苦悩》を感じない人が多数派らしい」

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http://lite-ra.com/2018/04/post-3933.html

高畑勲監督が最後に遺した無念の言葉「これで安倍政権が崩れないのが信じられない」「自由で公平で平和な国で死にたい」
2018.04.07

     (2017年4月、東京で行われた三上智恵監督との
      トークイベントでの高畑勲監督(撮影=編集部))

 『火垂るの墓』『平成狸合戦ぽんぽこ』『かぐや姫の物語』など、多くの作品を手がけた高畑勲監督が、5日、東京都内の病院で死去していたことがわかった。82歳だった。

 スタジオジブリのプロデューサーである鈴木敏夫は「やりたい事がいっぱいある人だったので、さぞかし無念だと思います」とのコメントを発表していたが、その無念のなかには、いま、この国に進行している事態を止められなかったという思いも含まれていたのではないだろうか。

 そのことをあらためて強く感じたのが、高畑監督の死去が報道されたあと、長い親交のあった映像研究家の叶精二氏が、ツイッター上で公開した年賀状だった。

 叶氏は〈昨年の元旦に高畑勲監督から頂いた年賀状です。20年来、毎年簡潔かつ独創的な賀状を頂くのが楽しみでした。これが最後の一枚。高畑監督のお叱りを受ける覚悟で、ご本人の一字一句をファンのみなさまと共有したいと存じます〉とのコメントとともに、2017年の正月に高畑監督から送られてきた年賀状を公開。そこにはこのような文章が書き添えられていた。

〈皆さまがお健やかに
 お暮らしなされますようお祈りします
 公平で、自由で、仲良く
 平穏な生活ができる国
 海外の戦争に介入せず
 国のどこにも原発と外国の部隊がいない
 賢明強靭な外交で平和を維持する国
 サウイフ国デ ワタシハ死ニタイ です〉

 しかし、現実の日本はいま、安倍政権によってまったく逆の状況が進行している。格差が激化し、国民の権利や自由が侵害され、原発がどんどん再稼動し、米軍基地は沖縄の人たちの生活を危険にさらし続け、海外への戦争介入や軍備増強の裏で、外交は弱体化の一途をたどっている。高畑監督の無念はいかばかりだろうか。


高畑監督が発言しつづけた「『火垂るの墓』では戦争を止められない」理由

 高畑監督は“戦争のできる国”づくりをなんとか止めようと、積極的に発言し、行動を起こしていた。

 2014年には特定秘密保護法に反対するデモに参加。その後もデモへの参加は継続しながら、15年の安保法制の際には講演会などでメッセージを発信し、また、沖縄基地問題にも精力的に関わっている

 16年には、実際に辺野古と高江に足を運んだほか、警視庁機動隊員の派遣中止を東京都公安委員会に勧告するよう求める住民監査請求に請求人のひとりとして参加。その年の年末には、高江ヘリパッド建設中止を求めるアメリカ大統領宛の緊急公開書簡の賛同者にも名を連ねた

 高畑監督をつき動かしていたのはもちろん、自らの戦争体験を通じた、戦争への恐怖だろう。1935年生まれの高畑監督は先の戦争で、その恐ろしさを嫌というほど体験している。小学校4年生のときには空襲を受けた。空襲の夜、焼夷弾が降り注ぐなか、高畑監督は姉と2人、裸足で逃げたのだ。爆弾の破片が身体に突き刺さり失神した姉を必死で揺り起こしたりもしたという。一夜明け、自宅のほうに戻ると、遺体だらけだったという体験も語っている。

 代表作である『火垂るの墓』があれだけ人々の感情を揺さぶり、高い評価を得たのも、そんな高畑監督のリアルな戦争体験と戦争への思いが強く反映されていたからだろう。

 だが、その高畑監督は近年、「『火垂るの墓』では戦争を止められない」と発言するようになっていた。

 『火垂るの墓』を観たときに多くの人が抱くのは、なんの罪もない幼い兄妹・清太と節子が戦争に巻きこまれ、死に追いやられることへのやり場のない怒りと悲しみだ。そして、やさしいはずの親戚さえ手を差し伸べなくなるという、戦争のもうひとつの恐ろしさを知る。死にたくない、殺されたくない、あんなひもじい思いは絶対にしたくない──そういう気持ちが生まれる『火垂るの墓』は反戦映画だと多くの人が認識しているし、実際、学校などでも「戦争という過ちを犯さないために」という理由で『火垂るの墓』が上映されることは多い。

 しかし、高畑監督は、もっとシビアに現実を見つめていた。神奈川新聞(15年1月1日付)のインタビューで、高畑監督はこう語っている。

「『火垂るの墓』は反戦映画と評されますが、反戦映画が戦争を起こさないため、止めるためのものであるなら、あの作品はそうした役には立たないのではないか

「攻め込まれてひどい目に遭った経験をいくら伝えても、これからの戦争を止める力にはなりにくいのではないか。なぜか。為政者が次なる戦争を始める時は「そういう目に遭わないために戦争をするのだ」と言うに決まっているからです。自衛のための戦争だ、と。惨禍を繰り返したくないという切実な思いを利用し、感情に訴えかけてくる」

 また、昨年4月、東京・ポレポレ東中野で行われた、映画監督・三上智恵氏とのトークイベントで同様に、こう語っていた。

「『火垂るの墓』のようなものが戦争を食い止めることはできないだろう。それは、ずっと思っています。戦争というのはどんな形で始まるのか。情に訴えて涙を流させれば、何かの役にたつか。感情というのはすぐに、あっと言うまに変わってしまう危険性のあるもの。心とか情というのは、人間にとってものすごく大事なものではあるけれども、しかし、平気で変わってしまう。何が支えてくれるかというと、やはり『理性』だと思うんです。戦争がどうやって起こっていくのかについて学ぶことが、結局、それを止めるための大きな力になる


森友、日報隠蔽…高畑監督「これで安倍政権が崩れないのは本当に信じられない」

 高畑監督が、感情による戦争への忌避感が反戦につながらないと考えたのは、おそらく、この国がもつどうしようもない体質に強い危機感を抱いていたからだ。勝手に空気を読み、世間の動きには逆らわず、その流れに身を任せていく。高畑監督はそれを「ズルズル体質」と呼んで警鐘を鳴らしていた。15年7月、東京都武蔵野市にて行われた講演会で高畑監督はこのように話している。

「政府が戦争のできる国にしようというときに“ズルズル体質”があったら、ズルズルといっちゃう。戦争のできる国になったとたんに、戦争をしないでいいのに、つい、しちゃったりするんです

「日本は島国で、みんな仲良くやっていきたい。『空気を読み』ながら。そういう人間たちはですね、国が戦争に向かい始めたら、『もう勝ってもらうしかないじゃないか!』となるんです。わかりますか? 負けちゃったら大変ですよ。敗戦国としてひどい目にあう。だから『前は勝てっこないなんて言っていたけれど、もう勝ってもらうしかない』となるんです」

 また、前掲神奈川新聞のインタビューでは、こう語っていた。

「『戦争をしたとしても、あのような失敗はしない。われわれはもっと賢くやる。70年前とは時代が違う』とも言うでしょう。本当でしょうか。私たちは戦争中の人と比べて進歩したでしょうか。3・11で安全神話が崩れた後の原発をめぐる為政者の対応をみても、そうは思えません。成り行きでずるずるいくだけで、人々が仕方がないと諦めるところへいつの間にかもっていくあの戦争の負け方と同じです

 そして、高畑監督はだからこそ、「ズルズル体質ストッパーとなる存在、つまり憲法9条にこだわっていた。高畑監督は、日本国憲法を勝手な解釈で骨抜きにし、さらには、その意義を根底から覆そうと企む安倍政権の動きに対して、このように語っていた。

「日本がずっとやってきた“ズルズル体質”や、責任を取らせない、責任が明確にならないままやっていくような体質が、そのまま続いていくに決まっている。そうしたら、歯止めがかからないのです。だから絶対的な歯止めが必要。それが、9条です(前掲した武蔵野市の講演会)

「『普通の国』なんかになる必要はない。ユニークな国であり続けるべきです戦争ができる国になったら、必ず戦争をする国になってしまう。閣議決定で集団的自衛権の行使を認めることによって9条は突如、突破された。私たちはかつてない驚くべき危機に直面しているのではないでしょうか。あの戦争を知っている人なら分かる。戦争が始まる前、つまり、いまが大事です。始めてしまえば、私たちは流されてしまう。だから小さな歯止めではなく、絶対的な歯止めが必要なのです。それが9条だった(前掲・神奈川新聞インタビュー)

 高畑監督の危機感と、護憲の姿勢は、けっして理想論ではなく、シビアでリアルな視点から出てきたものだ。だからこそ、高畑監督は精力的な作品づくりの一方で、アクティビストとしての活動を始めたのだろう。

 しかし、これだけの行動をとりながらも、その結果として、高畑監督が吐露したのは、圧倒的な「無力感」だった。前述した昨年4月の映画監督・三上智恵氏とのトークイベントでこのように語っている。

「なんとかしなきゃと言いながら、無力感が強いですね。安倍政権には(自衛隊南スーダン派遣の)日誌のことも、森友学園も、すごい不祥事が続いていて、でも、なんでそんなことになっているのかを考えたら、えらいことでしょう? 『政権を維持するため』ですよね、簡単に言えば。忖度であれ、なんであれ、どういうメカニズムかは知りません。もちろん、それは改善する必要があるんでしょうが、しかしどっちにしても、それを支えようという力があれだけ働いているのが露骨にわかるにもかかわらず、これで崩れないというのは、もうちょっと考えられない。本当に信じられない

 わたしたちは高畑監督が素晴らしいアニメーション作品を残してくれたことにあらためて感謝するとともに、この無念の言葉をもう一度、噛みしめる必要がある。

(編集部)
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https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/226756

沖縄の現状に思い寄せ アニメ巨匠・高畑勲監督の“遺言”
2018年4月7日

     (高畑勲監督(C)共同通信社)

 肺がんのため5日に死去した、日本を代表するアニメーション監督・高畑勲さん(享年82)。終戦前後の混乱を生きる兄妹を描いた「火垂るの墓」などメッセージ性のある作品が多く、反戦・反核の人だったが、とりわけ強い思いを寄せていたのが沖縄の現状である。

 高江の米軍ヘリパッド建設の中止を求めて米大統領へ送った公開書簡の賛同者に名を連ねたり、ヘリパッド建設の警備に警視庁が機動隊員を派遣したことを「違法な公金支出」だとした住民訴訟の原告団にも加わった。

 2015年12月に沖縄大学で講演した際には、辺野古の新基地建設について「許し難いひどい話」、沖縄県に米軍基地の負担が集中していることについて「後ろめたい」などと話していた。琉球新報のインタビューでこう語っている。

「沖縄と政府は裁判になっているが、(沖縄は)当然のことをしている。私としては全部支持する」

「日本は70年間、戦争をせずに済んだ一方で沖縄を米国に提供して犠牲にし、日本は多額なお金を米国に提供してきた。米国は戦後、日本を軍隊として戦争に協力させたかったと思う。できなかったのは憲法9条を日本が持ち、それを支持した日本国民がいたからだ

沖縄が戦後ずっと大変な目に遭い続けてきたことが、日本に70年間の平和をもたらした。9条を日本国民が支持したから70年間平和になった、と簡単に言えないのではないか。『後ろめたい』とはそういうことだ」

 安倍政権の5年で、沖縄の“孤立”はますます深まった。9条改悪にも手を付けようとしている。高畑監督の言葉に、安倍首相も少しは耳を傾けたらいかがか。
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●高畑勲監督より三上智恵監督へ、「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」

2017年04月17日 00時00分25秒 | Weblog

三上智恵監督『標的の島 風かたか』公式ページ(http://hyotekinoshima.com)より↑]



リテラの記事【高畑勲監督が沖縄の基地問題を描き続ける三上智恵監督と対談、安倍政権を止められない苦悩を吐露】(http://lite-ra.com/2017/04/post-3070.html)。

 《すると高畑監督は、「『火垂るの墓』のような作品では次の戦争は止められないあなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める。だから、あなたはもっと頑張りなさい」と語ったという》。

 リテラの記事【トランプのシリア先制攻撃を全面支持した安倍首相の支離滅裂! 裏でアサド政権に資金協力しながら】(http://lite-ra.com/2017/04/post-3061.html)で、《この男の「米国のポチ」ぶりは重々承知していたつもりだったが、まさかここまで思考停止しているとは……》。そして、いま、番犬様にシッポを振りながら、隣国との戦争を煽り、火に油を注ぐ人治主義国家デンデン王国「裸の王様」。
 こういったリテラ記事に添えられている「自由民主党HPより」の図をご覧あれ…その極めつきのウソツキぶりが明確に、呆れるほどに。

   《不戦の誓いを守り続ける
    そして、国民の命と
    平和な暮らしを守り抜く
    
平和安全法制

…噴飯もので、冗談としか思えない詐称。それに積極的に付き従う、情けなき与党・公明や「癒(着)」党・お維。「民」とともに「進」む気のない、頼りなき野党・民進党。
 《安倍首相が、アメリカへの強い「支持」を表明した。さらに「東アジアでも大量破壊兵器の驚異は深刻さを増しています。国際秩序の維持と、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを、日本は高く評価します」と発言し、トランプによる北朝鮮への“先制攻撃”に期待感をのぞかせた》なんて、言葉が悪くて申し訳ないが、アタマオカシイでしょ? 小泉純一郎氏による、即座のイラク侵略支持した、また、結局、《大量破壊兵器》なんてどこからも見つからず、後に「靴を投げつけられる」という屈辱を味わうドラ息子ブッシュ氏を積極的に支持した、その二の舞。「ビンラディン暗殺・私刑に喝さいを叫ぶ国民」のままでいいのか?

 高畑勲監督は、かつて、《人を殺したくない」という気持ちこそが、はじめて戦争の抑止力となる》と語っていた。恐ろしく暴走を繰り返し、番犬様の家来となり、戦争したくてしょうがないデンデン王国の「裸の王様」とその狂気・凶器な取り巻き連中。彼・彼女ら自公お維議員を支持できる神経が知れない。
 高畑監督をして、《安倍政権を止められない苦悩》、《間近に迫る戦争をどうやったら止めることができるのか、自身の苦悩を吐露》する一方で、《未だに「内閣支持率は52・4%》。そんな《苦悩》を感じない人が多数派らしい。

 三上智恵監督は《「統合エアシーバトル構想」…アメリカと中国の争いに自衛隊と南西諸島が差し出され、新たな戦争の「防波堤」にされようとしている》と言います。「本土」の方々にどこまで浸透しているか…。
 高畑勲監督より三上智恵監督へ、「あなたがつくっているような映画が、次の戦争を止める」。

   『●宮崎駿監督「憲法を変えるなどもってのほか」
    《宮崎監督に加え、高畑勲監督(77)が「60年の平和の大きさ」と
     題して寄稿。本紙に五月、掲載された鈴木さんのインタビューも、
     「9条世界に伝えよう」として収録された。いずれも憲法九条や
     改憲手続きを定めた九六条の改憲に反対する内容だ》

   『●宮崎駿さん「沖縄の非武装地域化こそ、
        東アジアの平和のために必要です」
   『●宮崎駿監督は「憲法解釈を変えた偉大な男として
      歴史に名前を残したいのだと思うが、愚劣なことだ」と批判
   『●「「死にたくない」だけでは足りない、「人を殺したくない」
              という気持ちこそが、戦争の抑止力となる」
    《スタジオジブリ高畑勲監督の反戦への思い…
     高畑監督にいわせれば、「死にたくない」だけではダメだというのだ。
     むしろ逆に、「死にたくない、殺されたくない」という感情につけ込まれて、
     再び戦争は始まるものだと指摘する……実際、
     これまでの多くの戦争が「自衛」という名目で行われてきた……
     本当の意味で戦争をなくそうとするなら、
     「死にたくない」だけでは足りない
     人を殺したくない」という気持ちこそが、
     はじめて戦争の抑止力となる

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その1)

   『●「防波堤」としての全ての「日本全土がアメリカの「風かたか」」
               …米中の「新たな戦争の「防波堤」に」(その2)

    「そして、《さらに切迫した問題》として、南西諸島での自衛隊配備
     による「住民分断」。アメリカが画策し、日本政府が悪乗りする
     《「統合エアシーバトル構想」…アメリカと中国の争いに自衛隊と
     南西諸島が差し出され、新たな戦争の「防波堤」にされようとしている》。
     アメリカの意のままに、アベ様らのやりたい放題ではないか。でも、
     第一《防波堤》としての《日本全土がアメリカの「風かたか」》…
     《米中の「新たな戦争の「防波堤」に》なっているのは南西諸島を
     含むニッポン列島全体」

   『●サーロー節子さん「自分の国に裏切られ、
      見捨てられ続けてきたという被爆者としての思いを深くした」
    「最後に、東京新聞の記事【自民、「敵基地攻撃」保有提言へ 
     北朝鮮脅威でミサイル防衛強化】
     (http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2017032801002289.html)に、
     《自民党安全保障調査会…発射拠点を破壊するいわゆる
     「敵基地攻撃能力」の保有を直ちに検討するよう求めている…
     敵基地攻撃に関し、政府は法的に可能との立場だが…》。
      正気とは思えません。「裸の王様」壊憲王の「外交音痴
     「無定見外交」を暴露しているようなもの…愚かすぎる。
     次は「核」がほしい、と言い始めるにきまっています」

   『●「外交音痴、政治音痴、もう政治家とは呼べない領域」な
            失言王・萩生田光一氏…成果無しなアベ様外交
   『●歴史学者らの公開質問状に、「侵略の定義は  
       国際的にも定まっていない」というアベ様はどう応えるのか?
   『●「軍事的対応ではなく、緊張緩和に知恵を絞り、
      外交努力を重ねることこそが平和国家を掲げる日本の役割」
   『●番犬様を諌めることもなく「海自、米空母と訓練検討」…
          「あくまでも非軍事的解決の道を探るべきである」

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http://lite-ra.com/2017/04/post-3070.html

高畑勲監督が沖縄の基地問題を描き続ける三上智恵監督と対談、安倍政権を止められない苦悩を吐露
2017.04.12

      (4月7日に行われたトークイベント)

   「中国は怖いとかって煽られて、どうかしてる。もちろん中国は
    大国ですから、怖い側面がないわけではないけど、アメリカだって
    ものすごく怖い。シリアに爆撃しましたよね、今日。やっぱりトランプが
    こういう形で出てきている。何が起こるかわからない」

 米トランプ大統領がシリア・アサド政権へのミサイル攻撃を公表した4月7日、スタジオジブリの高畑勲監督は、こう戦争への危機感を募らせていた。東京・ポレポレ東中野で行われた、三上智恵監督とのトークイベントでのことだ。三上監督は沖縄の米軍基地や自衛隊ミサイル配備問題などを追い続けるドキュメンリー作家で、現在、最新作『標的の島 風(かじ)かたか』が同映画館で公開中。以前から三上作品を鑑賞してきた高畑監督は、同作にも推薦文を寄せている
 二人は数年前、とある映画関係のイベントで出会った。三上監督は初対面のときに、緊張しながら「私は『火垂るの墓』が好きで」と話しかけた。すると高畑監督は、「『火垂るの墓』のような作品では次の戦争は止められないあなたがつくっているような映画が、次の戦争を止めるだから、あなたはもっと頑張りなさい」と語ったという。
 三上監督からこのエピソードを明かされた高畑監督は、「そんな立派なことは言ってないと思うんですけど」と謙遜するが、本サイトでも報じてきたように、戦争映画の傑作として名高い『火垂るの墓』ですら、「戦争は悲惨なものだ」という受け取り方だけでは不十分であると以前から訴えてきた。高畑監督は、トークイベントでも観客にこう語りかけた。

   「ただ、『火垂るの墓』のようなものが戦争を食い止めることは
    できないだろう。それは、ずっと思っています。戦争というのは
    どんな形で始まるのか。情に訴えて涙を流させれば、
    何かの役にたつか。感情というのはすぐに、あっと言うまに
    変わってしまう危険性のあるもの心とか情というのは、
    人間にとってものすごく大事なものではあるけれども、しかし、
    平気で変わってしまう何が支えてくれるかというと、
    やはり『理性』と思うんです。戦争がどうやって起こっていくのか
    について学ぶことが、結局、それを止めるための大きな力になる」

 三上監督が頷く。

   「私も沖縄で20年放送局に勤めていましたが、毎年6月23日の
    たびに『どんなに沖縄戦が悲惨だったか』という企画をやりがち
    なんです。でも、『どれだけ悲惨かはもうわかったから、
    今は平和でよかったね』という感想ではね……。じゃあいま、
    本当に『平和』ですか? 日本の基地もアメリカの基地も
    あれだけあるのに」

   「10年ぐらい前から私は『1945年のことを学ぶんじゃなくて
    1944年のことを学ばないと次の戦争は止められない』って、
    いつも企画会議で言っていましたが、何か間に合わない状況
    なりつつありますよね」

 対する高畑監督は、冒頭に紹介したようにアメリカによるアサド政権へのミサイル爆撃に触れ、「僕が東京で生きている人間として思うのは、東アジアのなかでどうやって生きていくかというのは、安全保障の問題も含めて、日本全体の問題」としたうえで、間近に迫る戦争をどうやったら止めることができるのか、自身の苦悩を吐露した。

   「今の安倍政権がこういう方向性をとっている以上、辺野古の
    座り込み抗議が1000日を超えてあれだけ粘り強くやっていても、
    こっちはそれに対して、言葉じゃ『連帯をしたい』とか
    言っているかもしれないけど、実際にはできていなくて
    これをどう打開するのかということを、三上さんの映画を
    見るたびに思っています。日本全体として考えていかなくては
    いけないことなのは間違いないのに、この現状を知りながら、
    どうしていくのか、と」

 もっとも、高畑監督は何も行動を起こさずにただ打ちひしがれているわけではない。一昨年の安保法制の際にも高畑監督は講演会などでメッセージを発信し、沖縄基地問題にも勢力的に関わっている。
 たとえば昨年は実際に辺野古と高江に足を運んだ他、警視庁機動隊員の派遣中止を都公安委員会に勧告するよう求める住民監査請求に請求人のひとりとして参加。年末には、高江ヘリパッド建設中止を求めるアメリカ大統領宛の緊急公開書簡の賛同者にも名を連ねた。
 それでも、いや、だからこそ、高畑監督は、どれだけ必死に抵抗を続けようが聞く耳を持たない安倍首相に対し、また、基地反対運動を貶めるメディアやネット右翼が垂れ流すデマの数々に、「本土」と沖縄の分断を強く感じているのだろう。それは、ほんの十数年前ならば内閣が吹き飛ぶようなスキャンダルを連発しておきながら、まったく退陣する気配のない安倍政権に対する無力感にも通じている

   「なんとかしなきゃと言いながら、無力感が強いですね。安倍政権には
    (自衛隊南スーダン派遣の)日誌のことも、森友学園も、すごい不祥事が
    続いていて、でも、なんでそんなことになっているのかを考えたら、
    えらいことでしょう? 『政権を維持するため』ですよね、簡単に言えば。
    忖度であれ、なんであれ、どういうメカニズムかは知りません。
    もちろん、それは改善する必要があるんでしょうが、
    しかしどっちにしても、それを支えようという力があれだけ働いている
    のが露骨にわかるにもかかわらず、これで崩れないというのは、
    もうちょっと考えられない。本当に信じられない

 そんな高畑監督に対し、三上監督は少し視点を変え、メディアの態度についてこう語るのだった。

   「でも、その南スーダンの(日報)改ざんにしても、誰が改ざんしたか
    とか、どうやって改ざんしたかとかじゃなくて、さっきも(控え室で)
    高畑さんもおっしゃってましたけど、そういう戦闘地域に(自衛隊を)
    現に出してしまったんだ、と。すでに、日本は軍隊を戦闘地域に
    出しているそのことを正面から取り上げるニュースがなくて
    改ざん問題は誰に責任があるのかというちょっと矮小化したニュースに
    してからしか、書く方も書かないし、受け取る方も受け取らない。
    もう戦場に出て行ったんだ、日本の軍隊はこれはもう軍隊だ
    と世界中に思われているんだ。どうするの? この何十年無視して
    来たこの問題をどうするんですか、自衛隊をこれ以上軍隊として
    成長させていいんですか、ということが問われるべきなんです。
    けど、こういう正面の議論が全然ないんですよね」

 三上監督の言う通りだろう。日誌改ざんの問題はもちろん重要だが、一方でマスコミは、南スーダンPKO派遣や安保法に基づく駆け付け警護の任務付与自体の是非を、正面からほとんど取り上げてこなかった。しかし、事実として、自衛隊はいつ隊員が犠牲になってもおかしくない戦闘にさらされていたのだ。これを追及せずして、メディアはいったい何を報じているのか。それは、トランプによるアサド政権への先制攻撃の問題にも通じる話だ。
 奇しくも、高畑監督と三上監督のトークイベントが終わったすぐ後、安倍首相が、アメリカへの強い「支持」を表明した。さらに「東アジアでも大量破壊兵器の驚異は深刻さを増しています。国際秩序の維持と、同盟国と世界の平和と安全に対するトランプ大統領の強いコミットメントを、日本は高く評価します」と発言し、トランプによる北朝鮮への“先制攻撃”に期待感をのぞかせた。だが、仮にアメリカが北朝鮮へ攻撃を開始したら、その報復攻撃の標的となるのは日本だ沖縄の米軍基地が攻撃され、国民の血が流れる
 そうした現況で、マスコミが報じるべきは、こうした安倍政権の態度が日本を確実に戦争へと導いているという事実に他ならない。にもかかわらず、とりわけテレビメディアは、政府の対応の危険性にほとんど言及しようとせず逆にトランプと安倍首相の挑発に対する北朝鮮側の反応ばかりを報じ、その危険性をひたすら煽り、人々の恐怖という感情を刺激しているだけだ。
 沖縄の基地問題もそうだが、安倍政権は「戦争はごめんだ」という人々の感情を逆手にとり、「戦争をしないためにとの名目でその準備を進めてきた。そして、気がつけば、すでに片足を突っ込んでいた高畑監督が「『火垂るの墓』では戦争は止められない」という表現で警鐘を鳴らしてきた状況は、いみじくも、いま、この瞬間こそを言い表している

(編集部)
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