5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

認知症のサッチャー

2008-08-26 22:33:24 | 政治
「サッチャー元英首相、「認知症」を患う」というニュースを外信が短く伝えている。近々出版される予定の回想録に書かれていることがニュースになったようだ。

それによると、サッチャー女史は、2000年頃から自慢の記憶力が急速に衰えて、周囲に同じことを何度も尋ねるようになったり、亡くなった夫のことを覚えていないなどの、認知症の症状をみせるようになっているということだ。

現在83歳の女史だから発症は75歳。比較的に若いと思うが「鉄の女」も老いには勝てないのだろう。以前から、脳卒中を数度経験していることはニュースで報道されているから、こうした要素も認知症発症と関係があるのかもしれない。8年を経過した今、状況はもう少しシビアになって来ているのだろう。

政治家の認知症罹病といえば、レーガン元アメリカ大統領のアルツハイマー症をすぐに思い出す。レーガンは退任から5年後の1994年に、自らアルツハイマーであることを公式に告白して闘病生活を送り2004年に93歳で亡くなっている。

レーガンは自身が罹病するかなり以前から「老人性痴呆を克服しよう」という精力的なキャンペーンを張ったことがあったというし、サッチャーも、病床のレーガンを見舞ったことがあり、サッチャーを誰だかまったく識別出来ないレーガンの状態を目にして、アルツハイマー病が原因不明の病であること、現代医学のこの分野での遅れを嘆いていたというから、「明日はわが身」、時の流れは皮肉なものである。

大統領や首相の経験者が認知症を患うという事実を踏まえたアメリカやイギリスでは、認知症に対する疫学や病理の研究に、他国に増して力を入れているはずだ。その成果か、最近では痴呆進行を遅らせる効果的な新薬などの開発もされてきているというから、未だ突き止められていない病因の特定もやがてなされることだろう。

世界最速で高齢化が進む我国あたりでも、高齢者医療の大きな一部分を占める認知症研究は重要問題なのだろうが、政府の肩入れ具合はどうなっているのだろうか。

「アルツハイマー、政治家」のキーワードでグーグル検索をしてみたら、去年の麻生外相の失言に対する批判コメントがドバツと出てきてしまう。

揚げ足を取る方も取られる方も、世の中全体が、この病気に対して真面目でない証拠を見たような気がした。あるのは言葉のあそびだけ。自分に拙い事実を指摘されて突然「認知症的発言」をする政治家が多いのは確かだが、実際の「認知症対策」に興味をもつ政治家はどれほどいるのだろうか。結局、痛みは病人しかわからないのだから。








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