5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

さかえまち

2018-02-26 21:25:16 | 社会

今日の中日夕刊を開く。一面は「平昌感動ありがとう」という五輪のニュースと「地下鉄さかえまち?」という名古屋のローカルニュースが並んでいた。

それにしても近頃の日本人はよく「感動」するものである。二言目には感動、感動と「感動コール」が沸き上がる。これもSNS的なリアクションだろうか。メダルを獲れた選手がいうのならともかく、TV画面を大口開けてみていただけの輩が口を揃えて感動するのは気持ちがわるい。

3分遅れで到着した電車の車掌が「心より」お詫び申しあげるのとおんなじだ。「心より」といわないと客を「感動」させられないとでも思っているのだろう。車掌区の誰かが「こう云え」と指示するのだから、語彙不足を責められるのは組織の方だ。これは一例。どうやら全国的に「感動忖度」がはびこってしまったらしい。さて、そんな悪口はやめにして、「さかえまち」の方に話題を振ろう。

名古屋の市営地下鉄の駅では、グローバルデザインを採用して外国人旅行客の利便に供しようとする表示変更が進行中らしい。中心駅の「栄」では思わぬ歴史遺産が見つかったというのだ。記事に付いた写真を見ると、名城線のホーム柱の表示に「さかえまち」という文字が見える。1957年に初めて東山線が開通した時は「栄町」だった。1965年に名城線が市役所まで開通したのを機に駅名は「栄」に変更がされた。だから写真に写った「さかえまち」のプレート板は半世紀の長い間、「栄」のプレート板の下に隠されていたことになる。地下鉄の短い歴史の50年なら、歴史遺産といってもよかろう。

古い名板の由来を説明する文でもその下に埋め込めば立派なアート作品だと思うが、混乱を生んではいけないという役人的判断で3月はじめにはふたたび新しいプレート板が「さかえまち」を隠す予定だという。見納めは今のうちである。

路線表示はNY風にHライン、Mライン、Tラインと、英語イニシャルで表示をし、これまでの色分類と共用するのだそうだ。環状線のMラインは左まわりと右まわりを英語でも併記、改札口の表示は視認性の高い黄色が背景色に使われるらしい。表示される外国語もこれまでの英・韓・中簡の三種に中繁を加えて四種にするそうだ。少しずつグローバル対応がされるというわけだ。

だが、サービス全体を見ると、外国語対応が足りていない部分がまだ残っているのだから、途中で「Lost in Translation」状態になるのではとちょっと心配にもなる。

一例をあげるなら、省力化かどうかは知らぬが、最近はタッチ式のカード専用改札機ばかりが増えて、従来の乗車券が使える改札機が横へ横へと追いやられている。やっとのことで乗車券を買ったのに、どうやって改札口を通るのだ。一日限りの観光客には不親切極まりない。市内交通利用上の不備は、駅名表示だけの問題ではないのだ。

交通行政の意識もそろそろ「さかえまち」から脱してもらいたいものである。



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