5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

トヨタの不幸は蜜の味

2010-01-29 22:58:49 |  経済・政治・国際
最初にトヨタ車リコールのニュースを聞いた時、「こりゃ売れないアメリカ車のイジワルだろうか、トヨタも間の悪いことよ」と思ったのだが、先週末あたりから、リコール規模が大きくなって、今日あたりは「感情的反発高まる」というヘッドラインが見られるほどだ。

アメリカのメディアがセンセーショナルに繰り返し報道するのをみると、事態はクリティカルな状況になったといわざるを得ない。なにせ、アバロン、カムリ、カローラ、などのベストセラー8車種、230万台がリコール対象で、さらに無期限製造中止というのだから。

トヨタUSAの「リコール」に関するパブリシティをWEBで読んでみたが、「今回のリコールは、顧客の安全を第一に考えてのことであること、部品下請け《CTS》との原因追求を終えて、新しいアクセルペダルを突貫作業で製造中であること、アメリカ議会での公聴会は、全米のユーザーに向けて説明できる絶好の機会であること」などを、逃げずに淡々と説明していて好感がもてる。

だが実際に毎日トヨタ車を運転するアメリカ人にはやはり説得力は弱そうだ。省エネ、高品質で顧客の気持を掴んでいたトヨタなのだから、裏切られた感覚も生まれているのだろう。

今日のNBCニュースを読むと、やはり最初に直感した「売れないアメリカ車のイジワル」がどうやら始まったようだ。

4年目にして最初の黒字を計上し、ビジネスがやっと上向きになりつつあるGMとフォードは、トヨタの失策が自社モデルの拡販につながると即断したようで、早速、トヨタ車を1000ドルで下取りするというトレードインを発表したというのである。

他人の不幸をよろこぶ心理は誰にもあるようで、今日の韓国KBSのニュースも結構キビシイ。

まず、「トヨタのリコールは1千万台を超えるかもしれない」と、北米だけでなく、中国やヨーロッパまで拡大しつつあるリコールの動きを煽ったあと、続いて、「トヨタの不幸は現代のチャンス」と、アメリカ市場でトヨタの追い上げを図っている韓国の現代自動車の車の認知度が、このトラブルを機に大きく伸張する可能性があるとインターブランド(コンサルタント会社)が言及したというニュースを短く伝えている。日本語では報道されないニュースだが、韓国人なら拍手しそうなハナシである。

NBCが流したワシントンの日本大使館前で行われたNUUMIの工場閉鎖に抗議する組合員のデモの映像は、「失業問題に無理解なトヨタ」というイメージ作りに一役買うかもしれない。日本車嫌いのアメリカ議会だが、来月の公聴会では、ひさしぶりのジャパンバッシングの材料にしようと手ぐすねをひいているだろう。「アクセルだけが事故原因とは考えられない、何かもっと重大な原因でも?」という個人的なコメントがマスコミで一人歩きを始めたなどなど。

今後、トヨタの説明責任と対応の巧拙によって、単なるアクセルペダルのリコール問題から、「米軍移設問題できしむ日米関係の刺激材料になる可能性も出てきた」などと日本のマスコミに書かれ始めているのだから、鳩山さんもこの際、危機管理をしっかりして、発言のタイミングを間違えないようになさるとよかろう。









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