5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

オバマの晩餐会メニュー

2011-01-25 23:00:00 | たべもの
先週、アメリカを公式訪問した中国の胡錦濤国家主席。日曜のモーニングテレビでは、評論家の誰かが、「なんとなく元気がなさそうに見える」と評していたが、現地アメリカのマスコミもどうやら同様の評価で、NYTなどは「歴代中国指導者の中で最も無力な権力者」だとズバリの指摘。「過去の中国指導部とは違い、絶対的な権力を持てずにいる」と決め付けた。

このタイミングにそれはなかろうとも思うが、最高権力者が、毛沢東からトウ小平、江沢民、胡錦濤と下るうちに、その権力の度合いは、9・7・5・3と段階的に減少して来ていると指摘する専門家もあるようで、経済的大躍進を進める国家的印象ほどには、胡主席のイメージ・インパクトが弱まっていることも事実のようだ。

とはいえ、共和党多数の米議会に「中国ロビー」も強力な影響をしているとなれば、オバマ大統領としては「取扱い注意」の国賓であったことに間違いはなかろう。

そんな、ホワイトハウス側の緊張度、特に歓迎ホステス役のファーストレディ、ミシェル・オバマの晩餐会準備の様子をBBCニュースは「世界でもっともストレスのかかるディナーパーティ」だったとその記事で紹介している。

オバマ大統領のホワイトハウスには、初の女性エグゼクティブシェフ、クリステータ・コマフォードがキッチンの差配を振るっているが、今回の中国主席ご一行歓迎にも、この女性料理長とペーストリーシェフのビル・ヨセスとが、企画サポートおよび現場担当として活躍した。

やはり興味があるのは公式晩餐会のメニューの内容だ。

「アメリカ・クラシックメニュー」をという中国側の希望もあって、ロブスターやリブステーキ、アップルパイにバニラアイスクリームといったいわば典型的な料理が出されたようである。備忘のために報道記事から拾った英語メニューを並べてみよう。


【First】
D'Anjou Pear with Farmstead Goat Cheese Fennel, Black Walmuts, and White Balsamic

【Second】
Poached Main Lobster
Orange Glaze Carrots and Black Trumpet Mushrooms

Wine: DuMol Chardonnay "Russian River" 2008 (California)

Lemon Sorbet

【Main】
Dry Aged Rib Eye with Buttermilk Crisp Onions
Double Stuffed Potatoes and Creamed Spinach

Wine: Quilceda Creek Cabernet "Columbia Valley" 2005 (Washington State)

【Dessert】
Old Fashoned Apple Pie with Vanilla Ice Cream
Wine: Poet's Leap Riesling "Botrytis" 2008 (Washington State)


当然ながら、ワシントンDCと北京の間で料理の希望や好き嫌い、アレルギーの有無などを何度も確認し、ホワイトハウス内部でもメニュー選定から数回にわたる試食を経て、当日は厳選した一級の素材でしかも慎重に調理されているわけだから、不味いはずなどないわけだ。

野菜を多用して比較的あっさり目、「ヘルシー」に作られているように思えるのは、ミシェルの好みだろうし女性料理長のアイデアもあってのことだろう。だが、北京大会堂での政府主催の歓迎晩餐会にほんの末席参加した経験からすると、醤や油を使い、香草でアクセントをつけた味の濃い中華料理に馴れた舌にはもの足りなかったかもしれないと思う。もちろん、胡主席の食志向を知っているわけではないから、本人は大喜びだったのかも知れないが。

肉に魚、野菜と使われた食材がアメリカ産なのは当然だが、ワインもアメリカ産のものだけであわせたのは、ホワイトハウス側のこだわりなのだろう。ワシントン州のワインが選ばれているが、食卓ではアメリカン・ワインのトップセールスがあったのかも知れない。

ミシェル苦心の「晩餐メニュー」に対する主席側の感想は発表されていないが、随行たちの非公式な発言などが聞けたら外務省などは大いに参考にできそうだ。

ウイキリークスの情報漏洩に頭を悩ますホワイトハウスでもあるわけだが、たくさんの公電の中には、諸外国での「公式晩餐会」にまつわるエピソードもきっと沢山みつかりそう。こうした「食と政治」についてまとめるだけでも本が何冊も書けるのでは。

BBCのニュースには、「美味しい食べ物や酒を前にすると、厳しく反目し続ける政治家たちも、つい気持ちを開くこともある」と書かれている。こうした食卓外交の重要性をよく認識しているのは、ゲストの胡主席自身だったはずである。菅首相は食にこだわる「食いしん坊」だろうか。




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