5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

モーストリーカブキ

2018-02-22 21:33:06 |  文化・芸術

名古屋の「新」御園座は今年(2018年)4月1日の開業予定である。従来の劇場イメージがあるせいか、今度の上層階を分譲マンションにしたタワービルにはいまいち馴染めない。だいいち劇場的でない。観劇の常連だった年寄たちが来なくなって若い連中がやってくるという目論見があたれば結構なのだが。

御園座ビルはスクラップ&ビルドだった訳だが、京都の南座は二年前から耐震工事で改装がすすんでいるらしく、今年11月に再開する予定だそうだ。「南座、楽しませナイト」というリードで「関西発」という中日夕刊のコラムがこれを取り上げている。

歌舞伎の祖、出雲の阿国が「かぶきおどり」を演じたといわれる四条河原に近く、江戸初期の官許の芝居小屋がその始まりだというから、日本屈指の歴史と伝統を持っている劇場ということになる。

こちらが見慣れてきた桃山風の建物は昭和4年の竣工だというから今年で築89年、耐震工事が必要なはずである。櫓のある外観が特徴の登録有形文化財だから、その「外観」は変えずに、場内の構造をより新しくするのだそうだ。

内部変更の最大のものが、1階席と舞台を同じ高さに出来る床装置である。記事に付いた写真を見るとたしかに座席が消えて体育館の運動フロアのようなイメージに見える。

これで思い出したのがニューヨークのリンカーンセンターにあるフィルハーモニック・ホール(NYフィルの本拠地)だ。留学中の夏休みを過ごしたマンハッタン。音楽会はオフシーズンということだが、その分安価なチケットで一流の演奏が楽しめたから、貧乏留学生には願ってもないチャンスだった。

このホールが夏場の定例で実施していたのが「モーストリー・モーツァルト」という連続企画。音楽はモーストリーモーツァルトだったが、面白いのは客席。客席の上全体をベニヤ板で敷き詰めて、客たちは靴を脱いで寝そべって音楽を楽しむという、野外のロックコンサートのようなスタイルだ。もちろん舞台の演奏家たちもより近くに感じる。

蒸暑いマンハッタンもホールの中は空調が効いて快適。マチネの音楽会だがそのほとんどが自分には子守歌状態だった。当時のフィルハーモニーホールは「音響良からず」という風評があって、手直し工事が続いていたから、床張りも音響チェックを兼ねたものだったのかもしれない。

南座の場合は、高低差のない客席と舞台を使った客参加型のコンテンツを考えているらしい。京都は年間300万人以上の外人観光客が訪れるという国際観光都市。伝統の歌舞伎と新設の動く床を合わせた新しいエンターテインメントは、きっと彼らの注目を集めることだろう。楽しみだ。

夏場の「モーストリー企画」もやるといい。




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