サキさんの介護日記     (若年性認知症の妻との記憶)

若年性認知症の妻。今までの介護の記憶と、現在の様子を気分のままに書いていきます。

覚悟

2021年05月25日 21時04分18秒 | 介護日記
 仕事を辞めて5ヶ月、まだまだ次の仕事は見つからない。というか、働く気持ちも少しずつ失われかけている。このままダラダラと過ごしていくのだろうか。

 サキさんの面会も出来ないままだ。いつ再開されるかもわからない。コロナの終息は見込めないので、ワクチンに期待するしかない。しかし、65歳以下の人の一般接種はだいぶ先の話しになりそうだ。

 仕事もしてない、面会も出来ない。
 どうせ家でブラブラしているだけなら、仕事もせずにダラダラ過ごしているだけなら、いっそのことサキさんを特養さんから引き取ろうか?

 今日、この前の特養さんの家族会で知り合った方の計らいで、その方の信頼されているケアマネージャーさんに話を聞いてもらう機会がありました。そこで特養さんへの不満とか愚痴とか、いろいろ聞いてもらいました。

 特養さんへの不満はあるものの、特養さんを変わったり、在宅に戻す気持ちは全くありませんでした。というか、端から在宅という選択肢が私の頭にありませんでした。もう6年も私一人きりの気ままな生活が続いています。そんな私が、あのころのような生活、サキさんにかかりきりの生活に耐えられるわけがないと思っていました。仕事を辞めた後でも、私の頭の中に「在宅」という思いは全く浮かんできませんでした。

 しかし、私よりはるかに年長なのに、在宅で介護されている方々はたくさんみえます。皆さん、様々な介護サービスを駆使して頑張ってみえます。生活の全てを介護に注ぎながらも、それを負担に思わず生きがいにさえ感じてみえる方々がいます。
 その方々に出来て、何故、私には出来ないのか? 何故、私はしないのか?

覚悟
覚悟がないからです。それだけです。
サキさんを家でみる覚悟もない。
もう一度、働く覚悟もない。
何かに一生懸命打ち込む覚悟もない。


 7年前のサキさん。この1ヶ月後、サキさんは初めて入院。それからサキさんが家に居ない生活が始まりました。途中、1か月間だけ家に戻ってきましたが、その時は、一日中叫び続ける日々でしたけど。

幸い時間はいっぱいあるので、これからの事ゆっくり考えてみます。
自分には何ができるのか。自分はどうしたいのか。
サキさんにとって、何が一番いいのか。
サキさんは、どうしてほしいのか。

「そんなことも分からんの」
サキさんに怒られそうだ。


 

最近思うこと

2021年05月17日 19時23分01秒 | 私の日記
 仕事を辞めた時はクリスマスだったのに、もう梅雨入りとなってしまった。

 自分で思い描いていた「退職後」とは全くかけ離れた生活を送ってしまっている。すべてをコロナのせいにするつもりはないがコロナのせいで随分、イメージと違った「退職後」生活を送っている。

 2週間に一度の面会で何とか心の張りを保っていたが、ついにその支えも失われた。面会再開のめどは全く立っていない。本当なら15日に面会予定だったのだけれど・・・。気晴らしに旅行に行く訳にも行かず、電車に乗って(鉄道好きなので)あちこち行く訳にも行かず、かといって部屋の片付け・模様替え、掃除も飽きてしまったし。毎日毎日、部屋に閉じこもりテレビを頼りに日々を何とか送っています。

 朝は大リーグを見て、昼から大相撲、夜はドラゴンズと、スポーツ中継のある時はそれなりに楽しんでいます。サキさんがもし元気でいたらきっと昔のように怒られるでしょう。
「そんなにテレビが好きならテレビと結婚しや!! テレビにご飯作ってもらやー!」

 そんな日々が懐かしく思い出されます。

 サキさんに会えないのも、電車に乗ってあちこち行けないのも、みんなコロナのせいですが、それでも個人的には
オリンピックはぜひやって欲しいと思っています。医療のひっ迫や、ワクチン接種の遅れで大変なのは十分承知しているのですが、こんな時だからこそぜひ開催してほしいと思います。

 きのう行われた、体操のNHK杯。オリンピックの代表選考を兼ねた大会を見て、特に最後の種目の鉄棒の演技を見ながら涙が自然と出てきました。4年間(今回は5年間)の想い、ケガとの闘い、代表に選ばれるためにすべてをなげうって頑張ってきた選手たち。彼らの努力が無駄にならない様に、何とかオリンピックを開催するために出来る手をすべて打って、彼らの夢をかなえさせて欲しい。

 無観客でもいい。選手はホテルと選手村で缶詰状態になるかもしれないけど。

 何でもかんでも中止というのが、有無を言わせず中止というのが耐えられない。各地の祭りにしても、花火にしても。みんな、きっとちゃんとできるよ。しっかりとした(根拠にのっとった)ルールを決めてもらえば、ちゃんと守るよ。マスクして、無言で観覧(観戦)するよ。間隔も開けるよ。明確な方法、ルールさえ示してくれれば。

 根拠がないから混乱する。ルールがないから混乱する。

 野球にもルールがある。ストライクゾーンはちゃんと決まっている。そこをボールの一部が通過すればストライクだ。ただ、もう一つ上の絶対のルールがある。主審がストライクと言えば、たとえボールがストライクゾーンを通過していなくてもストライクだ。逆もしかり。主審がボールと判定すれば、いくらど真ん中でもボールなのだ。判定が覆されることはない。

 かつて「私がルールブックだ」と言った審判の方がみえた。そんな強い信念と威厳があれば、きっとみんな敬意を払って判定に従ったのだろう。

 オリンピックだけじゃなく、施設の面会にしても、各地の祭りにしても、岐阜の鵜飼いにしても(鵜飼いは開幕時期の延期だけれど)やるにはどうすればいいのか、どうすれば感染を広げずに開催できるのか、何か手立てはないのかを考えて欲しい。

 認知症の人と家族の会の岐阜県支部の総会も早々に紙面での総会に決定された。まん延防止が出るはるか前に。会員への打診は一切なく決定された。こんな時期だからこそ、直接会いたいと思っている会員もいただろうに。もちろん、こんな時期だから行かれないという方もたくさんみえただろう。ただ開催するための模索をされたのか?どうすれば開催できるのかの議論はされたのだろうか?
 岐阜県支部の家族の会の役員の方々は、ほとんどの方が専門職の方で、万が一にも職場にコロナを持ち込むわけにはいかない。だから、やらなくて済むならやらないにこしたことはない。そういう判断ではないのか? 面会も制限されている介護家族、コロナのせいで一人自宅にこもっている会員の皆さんは、どんな思いなのだろうか。

 何でもかんでも中止ではなく、みんなの想いを少しでもくみ取って欲しい。その上で、何か方法は無いのか、何をクリアすれば開催できるのかに、知恵を寄せ集めて検討してほしいと思います。


 サキさんは、オリンピックきっとこう言うだろうな。「どっちでも」ただ、「オリンピックのために私たちが何かガマンしなきゃいかんのならイヤやでね」

 サキさんに早く会いたいな。