風薫る五月、鎌倉に小さいけれど新しい名所が誕生した。
鎌倉市扇ガ谷に完成し、この15日から一般公開されている。
鎌倉歴史文化交流館だ。
鎌倉の古代から現代までの歴史を、約250点の出土品やジオラマ映像などで紹介している。
晩年を鎌倉で過ごし、日本のシンドラーと称され、第二次世界大戦中にユダヤ人を救った外交官の杉原千畝の展示もある。
この場所は、「赤尾の豆単」で知られる、以前旺文社創業者の赤尾好夫社長の旧邸宅で、建築設計はイギリスの著名な建築家、ノーマン・フォスター氏が手掛け、元の住宅設計に配慮しながら展示施設として改良したそうだ。
鉄筋コンクリート造りの本館と別館とから成り、内部は壁で仕切られている。
玄関から奥へ進んでいくと、外部の風景を取り入れながrら、館内が「暗」から「明」へ次第に明るくなっていくのがわかる。
中世以来の鎌倉という土地の来歴を踏まえつつ、日本人の価値観に合わせた建築空間が興味深い。
一部に光ファイバーが組み込まれた人造大理石や、廃テレビ管をを利用したガラスブロックといった特殊な資材が、随所に有効に使われている。
明るい休憩室でくつろぐのも落ち着ける。
出土展示品など小規模ではあるが、まだ開館したばかりで、これから図録なども整備していかねばならないと職員は話していた。
JR鎌倉駅から徒歩7分くらい、銭洗弁天の近くだ。
ここだけのためにわざわざ出かけていくには及ばない。
鎌倉観光のついでに、立ち寄って見るのがいいかもしれない。
静かな住宅地の奥にあって、日曜、休日は休館とのことだ。
TEL:0467-73-8501
次回は日本映画「たたら侍」を取り上げます。
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お元気でしたでしょうか。
あちらへは開館してすぐいらしたのですね。
あの辺りは人通りも少なくて、鎌倉ではとても静かなところでいいですね。
交流館、勿体ないくらい、立派な建造物ですね。
鎌倉市は世界遺産への出直し(見直し)を検討しているようですが、この交流館も鎌倉の文化をこれからどういう風に発信、発展させていくか、関心がもたれるところですね。