徒然草

つれづれなるままに、日々の見聞など、あれこれと書き綴って・・・。

映画「シークレット・アイズ」―善と悪そして愛と憎しみの交錯する13年間―

2016-08-13 17:00:00 | 映画


 真実を握りつぶしたのは誰か。
 「ニュースの天才」(2003年)でデビューを飾った、ビリー・レイ監督作品だ。
 この作品は、2010年にアカデミー賞外国語映画賞受賞した、アルゼンチン映画「瞳の奥の秘密」リメイク版だ。
 当時絶賛された驚愕のラストシーンに、さらなるひねりを加え、本格的なサスペンスドラマとして再登場となった。

 ビリー・レイは、本作のような緊迫感のある物語の名手としても知られている。
 それに、ハリウッドのトップに君臨する二人の女優、ジュリア・ロバーツニコール・キッドマンの初競演に、主演男優キウェテル・イジョフォーを配している。
 ドラマは、罪悪感と使命感の間で揺れる、三人の鬼気迫る演技に注目である。
 見応えのある、極上のサスペンスだ。





2002年、ロサンゼルス・・・。
殺人事件の現場に駆けつけたFBI捜査官レイ・カスティン(キウェテル・イジョフォー)は、若い女性の遺体を見て絶句する。
被害者は、テロ対策合同捜査班のパートナーで、親友でもある検察局捜査官ジェス・コブ(ジュリア・ロバーツの最愛の娘キャロリン(ゾーイ・グラハム)だったのだ。

レイは、エリート検事補のクレア・スローン(ニコール・キッドマン)とともに捜査に乗り出した。
一度は容疑者の男マージン(ジョー・コール)を捕まえるのだが、男がテロ組織の情報屋だったことから、上層部は男を釈放して自由の身にしてしまった・・・。
それから13年、失意のもとにFBIを辞めたレイが、クレアとジェスのもとに還ってくる。
新たな手がかりを見つけ、FBI組織内の事情で闇に葬り去られてしまった捜査を、開始するためであった。
・・・やがて、想像を絶する事実が解き明かされていく。

家族同然の親友の娘を救えなかったことに苦悩し、犯人をその手で逮捕するため、クレアへの愛までも封印してしまった正義漢レイに扮するキウェテル・イジョフォーの演技が熱い。
娘を奪われた母親の怒りと悲しみを、ほぼノーメイクで演じたジュリア・ロバーツ、美しくエレガントな検事補役で容疑者を自白に導こうと、高度な罠を仕掛けるニコール・キッドマンと、3人の駆け引きから目が離せない。
レイとクレアとの関係については、もう少し詳しい説明があったほうがよかった。

ビリー・レイ監督(脚本とも)アメリカ映画「シークレット・アイズ」は、緊迫感の溢れるサスペンスドラマで、冒頭から終盤までハラハラし通しだ。
ドラマティックな展開に引き込まれる一方で、ハードボイルド的な一面もあり、キャロリン殺しの捜査と並行して描かれるレイとクレアの秘めたる恋愛劇も、もっと見せ場があってしかるべきだった。
13年前の過去と現在とが交錯し、二つの時代にまたがって、キャラクターや心情の衣装などへの投影や撮影方法には、おやっと思われるような細やかな気配りも感じられる。
犯罪ドラマファンにとっても、見逃せない楽しめる一作となった。
     [JULIENの評価・・・★★★★☆](★五つが最高点
次回はアイルランド・イギリス・カナダ合作映画「ブルックリン」を取り上げます。