河北新報より転載
大槌・蓬莱島の弁天さま、修復終え帰郷
東日本大震災の津波で被災した岩手県大槌町の蓬莱島に祭られ、奇跡的に流失を免れた弁財天像が31日、修復を終えて町に戻った。人形劇「ひょっこりひょうたん島」のモデルとされ、町の復興の象徴になっている島の守り神の帰郷に、出迎えた多くの町民は、前へ進む思いを新たにした。
蓬莱島を望む大槌漁港であったお迎え式には、町民ら約400人が参加。金色の厨子(ずし)に安置された弁財天像の前で神事の後、虎舞や神楽、鹿子踊をにぎやかに奉納し、帰郷を祝った。
周囲約200メートルの蓬莱島は津波で鳥居や社殿が全壊。弁財天像は社殿の中で見つかった。管理する地元赤浜の住民らでつくる「ひょうたん島復興プロジェクト」が昨年7月、横須賀市の仏師に修復を依頼。費用約200万円は民間支援団体の助成金や寄付金を充てた。
高さ約60センチの弁財天像は色鮮やかな装束や穏やかで美しい面持ちがよみがえった。式の後、山車に載せて地区を練り歩き住民にお披露目した。
本殿の修復は約3000万円掛かる見込みで、再建のめどは立っていない。プロジェクトは引き続き協力を呼び掛ける。
代表の岡本大作さん(65)は「住民の心のよりどころが復活し、支援に感謝する。弁天さまには仮設住宅で暮らす住民同様、高台にある八幡神社に仮住まいしてもらうが、本殿も再建したい」と話した。
2014年09月01日月曜日