ZF

メインはtwitterで、ここは書庫。
twitter ID : @ZF_phantom

北朝鮮のEMP攻撃

2017年09月06日 | 安保・国益


北朝鮮が水爆の地下核実験と前後してEMP攻撃を言い始めた。

【北朝鮮核実験】北「電磁パルス攻撃」も可能と主張 日米韓防衛網を無力化 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/world/news/170903/wor1709030041-n1.html



はるか上空で核爆発が起きると、日常ではありえないほどの急峻な電磁パルスの発生によって微細な半導体回路などが焼損し、そういった半導体を使った民生用電子機器などが故障する。人への直接の殺傷力はほとんどない(核爆発を直視した場合は網膜はやられる)はずだが、電子機器が壊滅するとインフラも社会システムも完全停止してしまう。自動車すら動かない。
よって、物流システムも止まるし、都市生活者の餓死などが免れない。自給自足の農耕などで食べられる人以外、生き残れないかもしれない。

米国を狙ったEMP攻撃の場合は、下図のように射程9,000km、高度400kmの爆発で、半径2,293kmが壊滅する。全米の他に、カナダのほぼ全域、メキシコも半分程度は壊滅。







ミサイルの軌道はアラスカ上空を通る。北米中央部の高度400kmで爆発させるとしたら、アラスカ上空で高度1,000km程度だろうか。技術的にはおそらくは迎撃可能な範囲だろう。

もし撃たれた場合は絶対に迎撃成功させてもらわないと、米国が死ぬ。世界経済も死ぬ。




次に日本を狙ったEMP攻撃の場合。



爆発させる高度によって破壊の範囲が変わる。房総半島上空で爆発させるとして、破壊範囲は以下の通り。

高度100kmで、日本壊滅(半径1,133km)
高度200kmで、朝鮮半島も壊滅(半径1,609km)
高度400kmで、北京まで壊滅(半径2,293km)

北朝鮮が、自分には被害が及ばないようにするためには、高度100km付近まで落とす必要がある。これ以上だと自分も死ぬ。

高度200km程度以下なら、海自のSM-3で迎撃可能な範囲だろう。ただし、ロフテッド軌道で撃たれて、弾頭の落下速度が著しく速い場合に命中させられるか。

それでも、もし撃たれた場合は絶対に迎撃成功させてもらわないと、日本が死ぬ。世界経済も死ぬ。




【一筆多論】EMP攻撃で「文明」は崩壊…日本は何千万人も餓死に追い込まれる 榊原智 - 産経ニュース
http://www.sankei.com/column/news/170304/clm1703040007-n1.html


【クローズアップ科学】「電磁パルス攻撃」の脅威 上空の核爆発で日本全土が機能不全に - 産経ニュース
http://www.sankei.com/premium/news/170827/prm1708270021-n1.html




もしかすると、多くの方にはこの危機感は伝わりにくいのかもしれないが、軍用の基準でシールドされた電子機器以外は完全に故障する可能性が高い。近年は半導体がさらに微細化されているから、原理的にはEMP攻撃にますます弱くなっている。

例えば、EMP攻撃を受けても戦車は動くはずだが、駐屯地の給油システムが稼働するかどうかは怪しい。そして、燃料を供給しているであろうエネオスは完全機能停止。そのような事態に至る。

EMP攻撃後に、さらなる軍事攻撃がなかったとしても、社会インフラが完全停止しているから、外国から船便などで大量の食料とともに、運送用のトラックまで持ち込んでもらわないと日本国民を救えない。そして、そのトラックへの給油システムはどうするのか、など大変な混乱になる。

物流システムはもちろん、電力も水道も止まるはずだから、もたもたしていると全国で餓死者が続発する。通信も途絶しているから、どこで何が起きているのかも誰も把握できない。

社会システムを復旧させるためには、全部の電子機器を交換しないといけないから、それまで何ヶ月かかるのか何年かかるのか想像もつかない。そして、それまでに農耕などで食いつなげる人はそう多くないはずだから、どれほどの国民が死亡するのかも想像もつかない。

また、警察機構も機能不全になるから、犯罪の抑止も効かなくなる。

そして、“救援”という名目で近隣敵対国の軍隊に上陸されても何も抵抗できないし、その過程でどれほど国民が殺害されても報じられることもない。さらにそのまま占領されてしまうことも考えられる。

その意味では、核兵器での直接攻撃よりも人的被害が多く、そして日本国壊滅のリスクが高いかもしれない。煽りすぎに聞こえるかもしれないが、私はそう懸念する。





以上。








コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 北朝鮮ミサイル問題の黒幕 | トップ | 北朝鮮の漂着船 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

安保・国益」カテゴリの最新記事