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Symphonyeel!(シンフォニエール!)

ようこそ。閲覧者の皆さんとのメッセージが響き合う場となってほしいナ―という想いで綴ってます

29th Movement 「『ボディワークの天才』の心が震えた言葉(調べ)」 ①

2009-01-18 11:35:10 | SWEET SWEET SUITE
今回は、私が愛してやまないコミック(アニメ)、「湾岸ミッドナイト」の登場人物の一人、「高木優一」をクローズアップして、その高木が出会った・発した言葉に私の思いを馳せてみることにしよう。
大きく流れているのは「仕事人を育てる心意気」「職人魂」「心が熱くなる、『その気にさせる』メッセージ性」だ。

ここで、その高木優一について解説しよう(湾岸ミッドナイトIndexより一部引用)。作中では「BODY SHOP SUNDAY」という自動車板金修理のショップを経営するオーナーだ。「ボディワークの天才」「鉄とアルミの天才」と呼ばれる男だが、幼い頃はプラモデルも買えない貧しい家で育った苦労人(やっと買ってもらったプラモデルも、「タミヤ」のような一流どころではなく、三流メーカーの「ショボイの」だったらしい)。スキンヘッドのヤクザな風貌になったのは独立後のことで、以前はおかっぱ頭で汗水垂らしながら働いていた。
「15でこの世界に入って 3年間はただの使いぱしりだった」とアニメーション内の胸中で語っているように、中学を出るとすぐに板金屋に就職し、一日も休まず、半ベソをかきながら仕事を覚えていったのだ。
その就職先で高木は一人の先輩に会う。15歳という若さでその世界に入った高木を指導した先輩で、「職人の仲の職人」と言える人物だ。

【「何度言えばわかるんだおメーはッ
鉄もアルミも生きてんだヨ 人間の皮膚とおンなじで呼吸してんだ バカヤロォ」】
【「もっと話せ もっと対話しろ へこんだ鉄は何をしてほしがってる!? ゆがんだアルミはどうしたら喜ぶ!?
叩いてのばしてあぶって 鉄の気持ちになれ アルミの気持ちになれ」】


思い切り殴られ、厳しい口調で言われたこの職人魂こもった言葉が、高木の技術を支えているといってもいい。それが後述する数々の仕事に表れることとなる。
「ガキの頃から人に好かれたコトとかないのヨ 女はもちろん 男にも全然な」というものの、主人公・朝倉アキオを始め、さまざまな人物から絶大な信頼を得ている。車が好きで、好きすぎて、免許は取らなかった、という純な男だ。その純粋さは、直したての車に、オーナーの恋人と思しき女性が、車に乗り込む際、カバンの金属部分でボディに傷が付いただけでも涙するような姿にも―
そんな優しき手と心を持った修行時代の高木。その直後、高木の先輩は、

「つまんねェコトで泣くんじゃねーよ バ――カ 客の勝手なんだヨ どう使おうが」
【あのオーナーにはわかんなくても 車はきっと喜んでる】

と高木を慰めている。 就職や転職など、まったく別の世界に身を投じ、右も左もわからない人間は、発芽していない種のようなもの。その人間にとって、仕事上学ばなくてはならないこと、身につけなければならない事を、どのようにして会得するかによって、その方向性、成長・開花する姿は大きく左右される。厳しさでもって教えられたことと、そこから得られる「認められること」ということがあるのとないとの差は、先に進もうとする心と、仕事への「心の込め方」の差を生む。若き頃の高木は、純粋な性格でありながら、怒られても殴られてもめげない「なにくそ根性」が根底にあったのだろう。殴られ、叱られた後もボディに向き合い、ハンマーを握っていた。
私を含め、現代の若者にそれがある人は数少ないと周りの先人たちはいう。
しかし、自他共に「いい仕事」が出来た、といえた後の「短い褒め言葉」が得られたときは、晴れ渡る空のような爽快感に包まれる。
その場しのぎの褒めコトバではなく、真の褒めコトバ―
私も含め、「短くても『褒められて』勇気がわく」タイプの人間は、厳しい事を言われても、そーゆう人間がいてくれると嬉しい。仕事をはじめ、物事に向かう姿勢が変わる。背筋が伸びる。そういう人間に恵まれる人間は数少ないが、それを得た人間は、はじめは精神的に脆くても、次第に自信が付く。

【褒め言葉をもらえれば、それだけで二か月間幸せに生きられる】
(作家 マーク・トゥエイン 代表作『トム・ソーヤーの冒険』)

【ほめて、ほめて、ほめて・・・ 天にも昇るような気持ちにさせて人を元気にする】
(ダイエーCEO 林文子)

湾岸ミッドナイト作中の高木の店で、BMWの修理見積もりが出されるシーンがあって、ふと思い出した言葉だが、BMW東京の社長からダイエーのCEOに就任した林文子氏は、褒め方についてこう語っているという。
「どんな部下にも、必ず、光るところがある。そこを褒めて大きく育てる。そうこうしているうちに、やがて全体が光る存在になっていく」と。
具体的にどのようにして褒めていったかは割愛するが、そうした関係が生まれると、人間関係は長く、熱いものへと生まれ変わる。多少嫌なことがあっても、自分は頑張れる、自分が今生きている世界から降りない・離れないぞ、という強い意志が生まれる。

高木の先輩は、職人気質だったこともあり、後人を育てるのが上手だった=高木にとって大切な、「お互いに恵まれた人間」だったのだろう。そうして身に着けていった技術は、地獄のチューナー・北見淳と作り上げた「悪魔のZ」のボディで、一つのヤマを迎えたといってもいい。高木曰く、「静かに息をしているような生きている鉄とアルミ」で、Zのボディを、600馬力のパワーと時速300kmに耐えられるように補強したのだ。そうして、北見と高木の間にも、常に心を通い合わせ信頼しきれる関係が築かれていくことになるのだ。 それについては次の楽章へと続けることにしよう。


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