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技術力で勝る日本が、なぜ事業で負けるのか

2010-01-20 12:20:30 | 成功するための教養本
「画期的な製品が事業で惨敗してしまう理由を今解き明かす」
筆者/湯之上 隆 出版社/光文社 2,520円

◆目次
 第1章 成長か?発展か?─モデル錬磨とモデル創新
 第2章 イノベーションモデルの基本型─二つのサイクルモデルと一つの促進モデル
 第3章 インテル・インサイド、アップル・アウトサイド─計算ずくで創られるイノベーション
 第4章 イノベーションモデルのイノベーション─新しい十分条件の登場
 第5章 技術のオープン化が市場を拡大する─「内クローズ、外オープン」の衝撃
 第6章 イノベーションイニシアチブと「三位一体」経営─「発明」と「普及」を組み合わせる戦略的シナリオ
 第7章 ビジネスモデルと知財マネジメント─事業競争力の保持・強化に向けて
 第8章 可変的/発展的イノベーションモデルへ─科学技術立国・日本に至る道
 補章  思考イノベーションのヒント


日本の技術力は、世界でも最高レベルであることは周知の事実です。

ただ技術単体でのレベルの高さと、事業全体の競争力とはまた別の次元があることも事実です。

象徴的な事例が、半導体です。

日本の半導体産業は、当初技術的な優位性があったにも関わらず、今や世界の後塵を拝する状況に陥ってしまいました。

総合的に事業として“勝つ”ためには、“計画的”に造られる“イノベーション型競争モデル”が必要だと説いています。

日本弁理士会の知財ビジネスアカデミーで知財コンサルティングを担当している著者は、知的財産とビジネスの関係について、豊富な事例を挙げて説明しています。

通常技術的に先行している企業は、後進国に技術供与する代わりに、特許等の権利を確保し、ライセンス収入を増やしながら市場の拡大を図ります。IBMやキャノンなどは収入の1~2割は特許関係という事実からして、知財戦略は日本企業の重要な経営テーマであることは間違いありません。

特に印象に残った言葉が、以下です。

「オープンにするということが囲い込みなのだというパラドックスを、理解できていない」

Googleしかり、amazonしかり。

なぜ、インテルやアップルが強いのか。なぜ、台湾が強力なIT産業国になったのか。

一人でも多くの人に使われる状況を作り出すことが、究極の囲い込みにつながり、莫大な先行者利益を生み出す。その重要性は、今後日本でもっと議論される予感がしています。


最後に著者のプロフィールを以下に記します。

◆妹尾堅一郎(セノオケンイチロウ)
東京大学特任教授(知的資産経営)。NPO法人産学連携推進機構理事長。慶應義塾大学経済学部卒業後、富士写真フイルム(株)を経て英国国立ランカスター大学博士課程修了。
産能大学、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科、東京大学先端科学技術研究センター(知財マネジメントスクール校長役)等を経て2008年より現職。
CIEC(コンピュータ利用教育学会)会長。一橋大学MBA、放送大学、九州大学大学院、青山学院大学大学院の客員教授を兼務(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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