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勝利と成功の科学3/選手の発言から、成功の確度を割り出すマネジメント(ニューズウィーク日本版より)

2011-08-05 13:38:05 | 日常生活
頂点を極めて
W杯を制したなでしこジャパンには物語の呪縛がなかった

Turning Words Into Touchdowns
成功する新人は言葉学で見抜け


アメフト 大学時代のインタビューで
NFLでもスターになれるかどうかを
予測する新ビジネスが注目を集めている
マイケル・アガー


もしあなたが4月のNFL(全米プロフットボールリーグ)ドラフトを目前に控えたカロライナ・パンサーズのゼネラルマネジャーだったら、どの選手を指名しただろうか。昨シーズンのチームは2勝14敗と散々な成績だったが、そのおかげでドラフトでは真っ先に優秀な新人を指名できる。

指名の最有力候補と目されていたのはオーバーン大学のキャム・ニュートン。昨年チームを全米大学王者に導き、大学最優秀選手に輝いたクオーターバック(QB)だ。パンサーズにとって、チームの要であるQBの補強は絶対に欠かせなかった。

チームは、ドラフト前にお目当ての選手を徹底的に調べ上げる。大学時代の試合の成績や映像。NFLの新入団候補選手を集めて行われる合同運動能力テスト「スカウティング・コンバイン」と知能テストの一種「ワンダーリック」の成績。コーチは直接話を聞き、スカウトはさまざまなプレーのスピードを測る。本人の性格やフィールド上の「品行」も調査対象だ。

結局、パンサーズは予想どおりニュートンを指名した。だが、ことによると事前にやり残した調査がまだあったのかもしれない。試合後のインタビューを分析することだ。例えば昨シーズンの開幕当初、オーバーン大がアーカンソー州立大を相手に勝利を収めた試合の後で、ニュートンはこう話している。

「運が良かったおかげで、しかるべきタイミングでしかるべきプレーができた」

「いつだって勝てばうれしい」

「称賛されるのはありがたいけど、自分としてはベストのゲームをしたとは思わない」

オハイオ州のアチーブメント・メトリック社によれば、何の変哲もないこんなコメントでニュートンのプロ選手としてのポテンシャルが測れるという。同社は大学のスター選手の発言を分析して、「力への欲求」「熟考」といった特徴を探す。そして同じような特徴を持つプロ選手との比較を行い、将来の成績との相関関係を導き出すのだ。例えばパスを受けるのが仕事のワイドレシーバー(WR)なら、仲間への信頼感が強い選手のほうがプロとして成功する確率が高い。

ばかげていると思うかもしれないが、政治学の研究者は何十年も前から、指導者の精神状態を知るために演説の言葉遣いや文法構造を分析してきた。


05年ドラフトの明と暗

アチーブメント社は、主に政府関係の仕事をしているソーシャル・サイエンス・オートメーション(SSA)から枝分かれした会社だ。SSAの仕事の中身は、「テロリストの特徴的言語」という05年の文書からうかがい知ることができる。この文書では、さまざまな発言のサンプルを集めて分析することで、テロリストになりやすい人物を特定する方法が紹介されている。

SSAが重視するのは、「アメリカ人を全員殺してやりたい」といった露骨な発言ではない。それよりも大事なのは「自分」「われわれ」のような単語の使い方や、修飾語句の用法だ(例えば「もしかすると自分は、アメリカ人を数人殺したいかもしれない」という発言の「自分」や「かもしれない」)。

SSAの心理学担当顧問でアチーブメント社のCEOでもあるロジャー・ホールによれば、「身元を隠した発言のテキストを渡されても、90%の確率でテロリストを抽出できる」という。

話をアメリカンフットボールに戻そう。SSAのアナリストだったスティーブン・ホフマンらが、自分たちの仕事をNFLに応用できないかと考え始めたのは約5年前。当時のNFLは選手の逮捕や不祥事による出場停止が相次ぎ、コーチやスカウトは法律をきちんと守る選手の見つけ方を知りたがっていた。

ホフマンは大学のスター選手のインタビューを集め、「自信の欠如」と「自己中心性」という2つの要素について点数を付けた。その結果、「自信の欠如」と「自己中心性」の点数が両方とも高い選手は、逮捕や出場停止のリスクが高いことが分かった(両方の点数が最も高いグループのリスクは30%)。

もちろん、この調査結果はあくまで「確率」にすぎない。それでも1人の選手に2000万ドルを投資するNFLの各チームからみれば、トラブルを起こす選手に共通の特徴を知っておいて損はない。

アチーブメント社はさらに一歩進めて、この分析を試合のパフォーマンスの予測にも使うビジネスを考えている。話し方から分かるのは、その人間の性格だけではない。話し方には、その人間のポテンシャルも反映される。つまり、将来の控え選手は控えらしく、将来の先発メンバーは先発らしく話すのだ。

ホフマンは05年のドラフトを例に挙げる。この年の最も有力なQBはアレックス・スミスとアーロン・ロジャースだった。

ユタ大学のスミスはNFLコンバインで抜群の運動能力を見せつけ、ワンダーリックでも驚異的な高得点を記録。サンフランシスコ・フォーティナイナーズから、いの1番に指名された。対照的にカリフォルニア大学のロジャースはなかなか声がかからず、ようやくグリーンベイ・パッカーズが24番目に指名した。

「期待薄」の選手は誰だ?ホフマンはドラフト1巡目に指名された選手の大学時代の記者会見を集め、「ポジティブパワー」と「内部集団への帰属意識」という2つの要素についてQBに得点を付けた。

「ポジティブパワー」は、試合や個々のプレー、その結果に対する自信の強さを表す。例えば「そんなことは考えない」「あんなまねは二度とさせない」といった発言は高得点になる。

一方、「内部集団への帰属意識」は、仲間のグループと前向きに結び付いている状態を指す。この場合は、例えば「今日のわれわれは最高だった」「うちのディフェンスはスゴい」といった発言が高得点になる。

この2つの要素は、プロ人り後の選手のQBとしての総合評価と高い相関関係がある。例えばアレックス・スミスは、発言にリーダーの自覚が感じられなかった。逆にアーロン・ロジャースの話し方は、天性のリーダーを感じさせるものだった。さて、2人はその後どうなったか。現在のスミスは平均的な選手だが、ロジャースは昨シーズン、
チームを優勝に導いた。

「ポジティブパワー」と「内部集団への帰属意識」の得点が両方とも中央値より高かったQBは、ロジャースを含めて6人。逆にどちらも中央値より低かったQBは、スミスを含めて6人いた。前者のグループはプロ入り後の通算タッチダウンパスの合計が470本、後者は290本にすぎない。

ホールとホフマンは、自分たちが論じているのはあくまで確率にすぎないと認めている。それでも今年のドラフトでは、05年とよく似たパターンが見られたそうだ。1巡目の指名が確実視されていたQBはキャム・ニュートンを含めて5人。そのうち1人は、NFLでの大活躍が期待できないグループに分類される選手だという。

ホールとホフマンは具体的な選手名を口にしなかった。カロライナ・パンサーズが指名したニュートンはアレックス・スミスに近いのか、それともアーロン・ロジャースに近いのか、その答えはゴタゴタが続いているNFLの新シーズンが開幕すればはっきりする。



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