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パチンコ「30兆円の闇」

2010-01-23 03:16:16 | 成功するための教養本
「スウェーデンのGDPと同じ30兆円のパチンコ産業は警察の植民地」
筆者/溝口 敦 出版社/小学館 580円

◆目次
1章 パチンコと警察の「銀球癒着」
 1、「年商500億円」でも上場できない
 2、「巨大な蜜壺」が呼び込んだ腐敗
 3、ホールを鉄火場にした「3店方式」

2章 悪徳ホール「搾取の手口」
 4、メガヒット『新海物語』と「裏ロム」の関係
 5、「大連チャン」「大ハマリ」も自由自在
 6、ピンポイントで客を沈める「遠隔操作」
 7、「特設ジェットカウンター」が出玉をカット

3章 神出鬼没!ゴト師たちの「裏技」
 8、電波ゴトの「秘密兵器」を紹介
 9、「3億円」を強奪した中国人ゴト師
 10、せしめたカネは中国に「還流」
 11、「分業」と「非情」で進めるパチンコ犯罪

4章 パチンコに寄生する「周辺産業」
 12、「攻略ビジネス」の表と裏
 13、情報会社元社員が「詐欺商法」を告白
 14、検定料を食う番人「保通協」の内幕
 15、警察天下り「84歳のドン」を直撃
 16、「偽札」も乱舞する仁義なき戦い

5章 吸い込まれた「カネ」の行方
 17、メーカーが強いられる「裏金づくり」
 18、「脱税マネー」は北朝鮮へ渡った
 19、一発当てれば「億万長者に」

6章 「30兆円産業」に明日はあるか
 20、政治家たちとの秘められた「蜜月」
 21、「依存症」は100万人!?地獄の現実
 22、韓国で巻き起こる「パチンコブーム」
 23、「フィリピンネットカジノ」が台頭  


どんな駅の前にも、パチンコ屋は必ずあります。

どんなに不況時でも、パチンコのCMはなくなりません。

パチンコ産業は好況不況に関わらず根強い人気を誇っており、人気の機種に芸人が挑戦する番組『今夜も千両箱』の確変シーンには、思わずチャンネルを止めてしまうこともしばしばです。

チェーンのオーナーともなれば、モデルや人気女優と結婚もできます。

今や日本において、飛ぶ鳥落とす勢いの産業の一つと言ってもいいでしょう。

そんなパチンコ産業の闇の部分に深く切り込んだのが、ジャーナリスト溝口敦著『パチンコ「30兆円の闇」』です。

著者の溝口敦氏は日本のヤクザを描いた著書が多いノンフィクションライターで、ここまで身の危険を顧みずアンタッチャブルなゾーンに突撃取材をしている方はあまりいないと思います。

事実、あまりにも突っ込んだ取材をするので山口組に襲撃を受けたこともあるそうです。

著書のラインナップを見ても、『新版・現代ヤクザのウラ知識』、『カネと暴力と五代目山口組』、『渡辺芳則組長が語った「山口組経営学」』、『日本人 山本次郎 山口組外伝 三代目直系「山次組」組長』…となかなか迫力に満ちています。

本書で著者は、「スウェーデンのGDPと同じ30兆円のパチンコ産業は警察の植民地だ」と分析しています。

自動車産業が41兆円、医療産業が31兆円ですから、いかにその産業が巨大か実感できます。

この本では、いかにパチンコ店が設定を操作し、サクラを使って玉が出る台を見せて煽り、一般客には遠隔操作で出玉をコントロールするなどして、その“お金を吸い上げる仕組み”とその利権を維持するための警察とのずぶずぶの関係を具体的に明らかにしています。

私自身も学生時代、好奇心でパチンコのホールのアルバイトをしたことがありますが、その時でさえ集中管理室では台ごとの損益がグラフで表示されており、完全にデジタル管理になっていました。

釘を読み、出る台と出ない台を見極められるアナログな時代から、デジタルで管理・操作できる時代の到来を感じ、それを機にすっぱりやる気を失いパチンコをやめてしまいました(笑)。

アメリカもかつては、カジノの利益はマフィアの有力な収入源でした。今のカジノは、マフィアと関係を持てば免許を取り消される仕組みになっています。その変遷は、マーチン・スコセッシの名作、映画『カジノ』にも描かれています。

印象的だった箇所を、以下に紹介します。


3回異動すれば家が建つ!?

なぜこうも警察はパチンコ店を庇うのか。

東京・池袋の指定暴力団系幹部がいう。

「パチンコ業界がおいしいからに決まっている。大都市の繁華街を管轄する署の署長ともなれば、異動すると業者からの餞別が凄い。額からいえば退職金の2度もらい、3度もらいと一緒だ。盆暮れの付け届けは当然、生活安全課長や係長クラスに対しても、何かと理由をつけちゃP店(パチンコホール)がカネを運んでくる。

下っ端のお巡りもそのことは知っているから、こぞって生活安全課に行きたがる。あそこは質屋や古物商、風俗営業、銃砲刀剣なんかが担当で、女の子でもやれる。しかも刑事試験を受けずに行ける。安全課の連中は楽でカネになるから、刑事にならなくてもいいというわけ」

パチンコ業界に詳しい研究センター主宰のA氏も指摘する。

「だいたいパチンコホールは警察署単位で組合をつくってる。鎌倉なんか1店だけのくせに1組合という異常事態です。いかに警察がパチンコ店を意のままに繰ってるか、自明じゃないですか。署長は1回動くたびに400万~500万入る。場所がよければ3回異動すれば家が1軒建つとさえいわれてる。

県単位の業者の集まりに出ると、だいたい地元の警察でテーブルを2つ占めている。生活安全部長や暴力追放センターの専務理事なんかが筆頭です。しかも彼らのいうことは『おい、組合長、最近、顔見せんじゃないか。どこでゴルフやってんだよ』と暗にゴルフ接待を強要する。かと思えば『どうも俺、クラブが合わなくなってな』とゴルフクラブを贈れと迫る。実に露骨です」

パチンコと警察の癒着はパチンコ業界を悪くするだけではない。同時に警察も劣化させている。品性の下劣さでは開発途上国の警官と同一レベルだろう。



ロム解析など朝飯前だ

「だいたいパチンコ台に使われているチップ(ロム)は20年前の技術なわけ。ものすごく古い。裏ロムづくりが簡単なのは当たり前なの」

裏ロムをホールに流し技術指導する“ウラ屋”のE氏は自信たっぷりに言い切った。

盛り場に立地するホテルの一室である。テーブルにはE氏が運び込んだ裏チップやメイン基板、証紙、設定マニュアルなどが並んでいる。

E氏はルームサービスの紅茶を脇にどけると、メイン基板を引き寄せて基板に刺さるチップを指差した。頭の後ろで束ねたポニーテールが揺れる。

「今の洗濯機や炊飯器、電子レンジなんかには制御用のコントローラーとしてマイコン(マイクロコンピュータ)が入ってるよね。パチンコのチップはあれと同じなわけ。ワンチップ・マイコンは周辺LSI(大規模集積回路)の機能やメモリを1つのプロセッサに組み込んだものだけど、エルイーテック製の正規のチップも8ビットマイコンにロム(読み込み専用メモリ)やラム(読み書き専用メモリ)を合体させただけ。昔1個300円で売っていたIC(集積回路)の技術が核になってる」(※中略)

「液晶の絵や音はサブ基板、サブサブ基板で処理する。そっちに規制はなく、台メーカーは自由にチップを使える。絵柄や音は客付きに関係するんだから派手で当たり前。だけどパチンコで大事なのは大当たりの抽選や出玉率でしょ。それを決めるのがメイン基板のチップで、それがたいした技術じゃないってこと」

なるほど。要するにパチンコファンは電気炊飯器並のチップに振り回されて、一喜一憂しているらしい。



「1日40万円」も命がけ

「電波ゴトなら自分の得意のテーマですよ。自分じゃやらないけど、デジパチ(セブン機)の『ギンギラギンパラダイス』や『モンスターハウス』、権利モノの『ギンギラV』、『フルーツパッション』、スロットの『大花火』なんかの発信機をつくってきたから。なぜ自分じゃやらないかっていうと1,2~1,9ギガヘルツという高周波を使うから、一日中やっていると脳が煮立っちゃう。日に電波ゴトで40万円も抜いていた中国人だって『俺たちゃ命がけだ』というぐらいでね、若くて元気のいい人間にしか使えないんだ」



月に1億円以上稼いだことも

ところでO氏は電波ゴト機械の開発や製造でどのくらい設けたのか。

「末端での価格は1セット70万~150万円でしたね。甚だしいのは200万円で売っていた例さえある。だけどたとえ200万円だしても1日40万円抜けるんだから、5日で元が取れる。買った客の7割が中国人、残り3割が日本人と見ていい。卸値は50万円ぐらい。原価はその1割、5万円ぐらい。もっと安いだろって?そんなことはない。これでいけるとなると、皆が皆いっせいに部品買いに走る。パワーモジュールなんか、国内であまり需要がないタイプだったら、たちまち品薄になって値上がりする。

ただしそのような時でも秋葉原のある無線屋に行けば、たいてい手に入った。一時期、その無線屋はそういう業者のたまり場みたいになっていた。まァ、いざとなったら台湾や韓国の市場では安く入手することはできましたけどね。私は最盛期、月に1億円以上稼いだ。実際、この業界には人気機種向けの電波ゴト機械の開発でナントカ御殿、ナントカ億ションを建てたなんて陰口も方々で聞かれるくらいでね。目端のきく者はべらぼうに稼いでます」



日本のカジノ構想は、こうした構造を変革する大きな契機になればと思いますね。


最後に、著者のプロフィールを以下に記します。

◆溝口敦(ミゾグチアツシ)
1942年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒業。
暴力団や中国マフィアなどの犯罪組織から宗教、食の安全まで丹念な取材で幅広くレポートを発表している。『食肉の帝王―巨富をつかんだ男 浅田満』で講談社ノンフィクション賞受賞(2003年)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


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