『この世の全部を敵に回して』 

2008-07-04 12:21:41 | 文学







『この世の全部を敵に回して』 白石 一文 


まず私が本書を手に取った理由は
『この世の全部を敵に回して』というタイトルだ。

なんとまぁ魅力的なタイトルではないか!

本書は著者の友人の手記というスタイルで、
白石自身の哲学、、言い過ぎであれば、考え方、
を一冊の本に纏め上げたもので、難解な哲学用語などを一切使わず、
平易に、かなり思い切ったことを書き述べている。

読み始めていきなり共感したのは『孤独は罪ではない』という言葉で、
全く私が常々思っている事を書いてくれてると嬉しくなった。

また、ある数学者の言葉として
『私は数学なんかをして人類にどういう利益があるのだと問う人に対しては、
 スミレはただスミレのように咲けばよいのであって、
 そのことが春の野にどのような影響があろうとなかろうと、
 スミレのあずかり知らないことだと答えてきた』
と述べており、
その通りだと深い共感を抱いた。

しかし反面、家族に対する言葉
『私も家族を愛していないし家族も私を愛していない』や
宗教観、死生観、スピリチュアルに対する考え方などは全く受け付けられなかった。

全体的な印象としては、
なかなか思い切ったことを述べたものだ、と彼の勇気に思いを致すと同時に、
この内容が『この世の全部を敵に回して』しまう事はあるまいし、
看板倒れだとも思った。


もっと露悪的であって欲しかった。




★★★☆☆



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