陽出る処の書紀

忘れないこの気持ち、綴りたいあの感動──そんな想いをかたちに。葉を見て森を見ないひとの思想録。

はじめての『エヴァンゲリオン』(前)

2007-05-29 | テレビドラマ・アニメ

拝啓、私の読者様。
やったー、ついにやりました。とうとう明日なんです。
待ちに待ったアレとコレとソレが届く日が。
ここのところ四六時中、京四郎ネタを繰り出して神無月妄想をリチャージしていた甲斐がありました。
夢の極致です。天上の喜びです。

ああ、なのになのに。
寝耳に水の、大臣とZARDさんの悲しい訃報にくわえて、うっかり羽目を外して鬱々アニメに現を抜かしてしまったがために、
すっかり盛り下がってしまいました、私のジョイフル日常曲線…。


以前から気になっておりました話題のアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』、近頃観る機会を得ました。といいましても、レンタルビデオでシリーズ全巻しっかり隈なくチェックには至らず。以下はその半端な鑑賞記録でございます。

文化庁の後押しもあって、全国民がシリーズ通して一番よく観たアニメと謳われているほどの超有名作品。おそらく観てなかったのは、私と新生児ぐらいのもんだったでしょう(そうか?)
『エヴァ』はいつか観なきゃいけないなぁと思っていた物語のひとつでした。
昔、渋谷の澱んだ瘴気にまみれたようなガングロ女子高生三人さんを掴まえて、『エヴァ』TV版のビデオを視聴させる番組がありまして。
見終わったあと、なんと彼女たち大粒の涙ながしていたのですよ。小麦色の肌に不満そうに膨らませていた両頬を輝かせながら、とめどなく伝ってゆく、とても透明できれいな涙。小生意気に尖らせていた唇は、もどかしげな子供のように甘く歪んでしまっていて。灰色で重たそうに開けていた眼がもう真っ赤になっていて。それはまがりなりにも優雅な泣き方なんてものではない。けれど、その潤った瞳はとても純粋に瞬いて、とても好意的なものに映りました。
少女たちの日頃押し込めていた感情を瞳の先に溢れさせる、そんな力がこの物語にはあるのだろうか。私はそう思っていつかは観たいそう願ってはいました。とはいうものの、時間がないのを口実にして避けていました(ようするにめんどくさがりだ(笑))

同志というものはありがたいもので、その寸刻を心惜しみする小心な私の背中をぽんと押してくれた一声がございまして。『京四郎と永遠の空』アニメ作中にでてきたワンシーンが、『エヴァ』のある場面とうりふたつ、加えて『エヴァ』は後続の作品に多大な影響を及ぼしたパイオニア作品、との進言をいただきまして、やっと触手がうごいたのであります。

それで、最近もうすっかり動画鑑賞にはまりきりでしたので、やはりこれはネット鑑賞で楽しむしかない。ということでおなじみの動画サイトへ直行。(もうその時点でまっとうな受容のしかたをしていない)
フランス語字幕のついた『神無月』にも慣れっこの今日この頃でありますので、はじめてみる映像とはいいましても、下の英語字幕もさほど気になりません。

しかし問題はここから。
OPを含めた斬新な映像手法には魅了され、晩酌を欠かさないミサト姉さんの豪胆な性格には惹かれたものの。
あのバイオモルフィックなロボット、腕をもがれ鮮血ほとばしるグロ戦闘…耐えられなかったです。ロボアクション物だと信じ込んでいましたので、思いの外バトルシーンがなかったのは安堵したのですが…それに代わるほどうんざりなのが、主人公シンジくんのネガティヴ思考。第二話にして戦闘放棄で家出。第三話おわりでやっとミサト嬢が捕獲(笑)『神無月』の1クールハイパージェットコースター展開になじんでしまった脳みそには、二話かけて主人公が悶々としていてそれが晴れない状況は、もうけだるすぎるのです。でも昔の一年も二年もやっていたテレビアニメなんぞは、おおかたこんな緩やかさで、人物の溜息ひとつ、効果音と沈黙のあいだにもじゅうぶんな間をとって心情をひきだしていたものですから、それが懐かしいとも思えるアニメでもあります。

正直いいいますと、現今の萌え絵柄ではない庵野ガイナックス流キャラ造形は私の好みではありましたし。月野うさぎをかどわかしていたあのステキ天王星お姉様の声の人が、あんなおどおどキャラを演じてみせるのも新鮮でした。しかも三石嬢とセットで。
でなにより嬉しいのが、清川元夢さんのダンディボイスです。すこしくぐもったような紳士的な話しかた、とても大好きでした。
それで思い出すのは、オリーヴ肌のヴェジタリアン少女がヒロインの某国営放送アニメ。制作会社も同じでしたね。彼が演じた、とんがりコーンみたいなあやしい仮面かぶった悪者組織の親分は、いまでも私のベストダークヒーローです。タンタラタンタンターン、タラリラタラリラ…というバッハの小フーガの如くに目眩をおこすような怪しいピアノ小曲をBGMにいつも登場するのが、すてきでした。

で話がそれてしまいましたが、次の四話がリストになぜかなかったので『エヴァ』第五話を再生。
このあたりでもう観る気が失せてしまっていました。
前回でてきた関西弁しゃべるジャージ姿の友人も、たいそういやでしたし。(そこまでいうか)意味もなく大阪人=おどけキャラという図式をあてがっているアニメや漫画を目にしますが、好きじゃないです。タレントならいいですけど、二次元の美形キャラはやはり、きれいな日本語つかってほしいと思うのですよ。CLAMP漫画はなんで毎回かならずひとりはいるんでしょうか、大阪人。『カードキャプターさくら』で関西弁のケロちゃんは、清楚な亜美ちゃん声が崩れてノーサンキューでした。いくら久川綾さんが大阪人だからって、やはりひどすぎます(どーでもいいです)


【後編につづく…らしい】

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EVAキター! (SS)
2007-05-29 16:16:18
性別がばれた(ばらしたんだろうがよ 
SSです。居ていいと温かい御言葉
有難うございます  

さて…EVAですか…
自分も子供の頃コレやってたのに、
見なかったクチなんですよね
所が一人暮らしになって「神無月」のDVD買って
以来、アニメ熱が暴走した為 全話見ることになりました(ロボットアニメ見る経緯が大間違い)

で、…興味深い評価ですね
この話は、余りにも監督の人格が投影されすぎていて
ソレが受け付けられない人か否かで評価が大きく変動
するものだと思います
ガンダムの監督(富良野)さんなんかは、キャラが
全員非人間的に見えるとあからさまに嫌悪していますし
シンジ君もミサトさんもレイもアスカもゲンドウも
冬月もリツコも
どいつもこいつも根っこに同じものが見えるのですよ
言っちゃあ悪いが…根暗、痛がり
そんな感じですね


あと、まあ、アニメを見るときは、声優に求めるものは
合ってるか否かが全てって思って見ていますんで、
(流石にのだめと宮様には戦慄し、
 VP2のアリーシャと野原しんのすけ、
 GWのリリーナ同一声優には度肝を抜かれましたが)
まあ、
ジャージの彼は、あんま悪い奴ではないので…!
ってか、大阪人キャラを今日の今日まで自然に
受け入れていた私って…OTL

あと、EVAは漫画版のほうを個人的にオススメします
何故か…となると、貞本さんの人格で描かれた
話の方が私にとって魅力的だったからとなりますがね


EVAはキャラ、ロボ(人造人間)等の外見的萌え要素
がふんだんに詰まっている上
視覚効果、演出もずば抜けていますが、
ぶっちゃけ人間ドラマそのものでした
貴女には如何思えたのか、後編を期待します



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書き逃げしちゃダメだ、書き逃げしちゃダメだ、書き逃げしちゃダメだ…(自戒) (万葉樹)
2007-05-29 21:26:02
ごきげんよう、SS様。
さっそくのコメントありがとうございます!

後半の感想記事みていただいたらわかりますとおり、あまりに投げやりな中傷と脱線ばかりしていますので、エヴァフリークの皆さまにどなりこまれるんじゃないかと、びくびくしてました(苦笑)

>どいつもこいつも根っこに同じものが見えるのですよ

あぁ、なるほど。物語の登場人物はすべて創作者の分身という言葉をよく耳にしますよね。最終話みていたら、これって庵野監督の私小説を、アニメという共同作業のメディアで実現したものじゃないかって思えてきました。内面といいますか、キャラの外形(瞳が角張っていて衣装や髪の毛が硬質な感じ、リニアーな体系)も類型化されてるような。

>ジャージの彼は、あんま悪い奴ではないので…!

いや~彼に罪はないのは判っているのですけれど(笑)あんなうじうじ君の主人公の横にいると、関西少年の明るさがなんだか空回りしているようにみえるんですよね~。大阪人はちゃんとボケたら、ツッコミいれる相方がいてくれないと物語上浮き上がってしまいますね。あ、ちなみに『ぼく地球』の田村兄さんと未路来くんは、例外として大好きな関西人です(それも、どーでもいいです)

>EVAは漫画版のほうを個人的にオススメします

『神無月』連載していた頃『少年エース』誌に掲載されていて読んだことあります。綾波が傷つきながらも、シンジ君に訴えかける場面かなにかで(うろ覚え)けっこう心に響くものがありました。でもコミックって、まんまアニメの原作というわけじゃないんですよね。まさかアニメがあんな鬱々なものだとは…。

結局、堪え性ががない万葉樹は数浅い理解でおわってしまったのですが、かわりにSS様が新しい方向から詳しく解説してくださって助かりました。思わぬ読者様の見解がいただけたときに、ブログやっていてよかったなぁといつも思います。

映画版のほうが物語の謎が回収されて出来がよいという風評をききますが、現時点では観る気おきないです。そういえば、これハリウッドで映画化の企画があったり(頓挫している?)、日本でも映画新作が今秋公開されるみたいですけれど、あまり期待していないです。ぶっちゃけ、あのボディラインくっきりな戦闘服と、面妖なロボットがちょっと苦手で…(苦笑)

ではまた。
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