母の日近くに観た映画。
母親の偉大さを描くのは、やはり母親の視点のほうからがいいと思うんですよね。「東京タワー~オカンとボクと、時々、オトン~」みたいに、子どもの視点から描くと、しかも成長した子どもからだと、こんな立派な子どもを育てたんですよ、と自慢話になっちゃいます。
ドイツのある街の有名レストランで一流のシェフとして働くマーサ。彼女は天才的な味覚をもち、自分の腕前にも絶大な自信をもっているが、その高慢さゆえに、自分の舌とあわない客とのいさかいが絶えない。
ある日、唯一の身内であった姉を交通事故でうしない、姪のリナを引き取ることに。
しかし、仕事一筋でやってきたマーサは子どもの扱いに慣れない。気難しいリナに振り回されているマーサに追い討ちをかけたのが、職場で新たに採用されたイタリア人シェフのマリオ。几帳面なマーサと、楽天家で大ざっぱなマリオはとかく反りがあわない。職場での地位をのっとられるのではないか、と危惧するマーサはマリオに対抗意識を燃やすが、イタリア人の父親をもつリナは、彼になついてしまう。
度重なるリナとの軋轢にも、マリオが仲裁となって、あたかもほんとうの家族のように接する日。料理のレシピのように扱えない子どもの心に辟易するマーサが、母親の愛情にめざめていくくだりはなかなか。自分がいかに小さな世界での女王様でしかなかったか、痛いほど知ってしまうわけですね。
これといって大きな事件があるわけじゃないですが、子どもを抱えた女性にはなんとなくわかる、といった映画ですね。
マリオを演じたのは映画「赤いアモーレ」で、色に溺れる外科医を演じたセルジオ・カステリット。この映画でも、いいオトコぶりを発揮です(笑)
主演のマルティナ・ゲデックはドイツNo.1女優と評される演技派で、「善き人のためのソナタ」で舞台女優のヒロインを演じたことでも有名。この映画の女流シェフもかなり知性を感じさせます。
イタリア男にドイツ女の組み合わせ、日本でいうならさしずめ、大阪人男性に神戸女というカップルでしょうか。そういえば、その組み合わせで破綻した芸能カップルがいましたよね…。
(〇九年五月六日)